「胃食道逆流症のうち、40%が逆流性食道炎で、残りの60%が非びらん性胃食道逆流症です。逆流性食道炎は、炎症の度合いによって4つのグレードがあります。一方、非びらん性胃食道逆流症は、内視鏡で見ても炎症を示す粘膜障害を認められません。食道の炎症はないのに、軽い逆流や知覚過敏などによって胸やけを訴えたりするのです」(秋山さん)

「逆流性食道炎は、症状によってグレードが分けられています。粘膜の赤みが5mm以内ならグレードA、5mm以上になるとグレードB。そして、複数の赤みが融合したらグレードC、さらに大きくなって食道のほぼ全周(75%以上)に渡るとグレードDとなります。ただし、以下の円グラフを見て分かるように、全体の9割近い方が、ほぼ治療の必要がない軽症のグレードAとBです」(秋山さん)
「ほとんどが軽症」と聞くと、ちょっとホッとする。だが、治療が必要なグレードに上がってしまわないよう、対策しなければならない。

胃と食道の間で逆流を防ぐ「括約筋」が緩んでしまう
しかしなぜ、酒好きの人が逆流性食道炎になってしまうのだろう? 胃酸や胃の内容物が逆流することで食道に炎症が起きるわけだが、その逆流はどのようにして起きるのだろうか。先生、教えてください。
「胃酸や胃の内容物の逆流が起こるのは、胃と食道の間の『噴門部』にあって、逆流を防止するバルブのような働きをする『括約筋』の機能低下が主な原因です。この部分を、『下部食道括約筋(LES)』といいます。一般的に、食べ物が入ってくると噴門が開き、それ以外は閉じているので、胃酸や胃の内容物が逆流することはありません。しかしさまざまな原因で括約筋の動きが鈍くなると、逆流が起こります」(秋山さん)
そして、括約筋の動きが鈍くなる原因の1つが、「食べ過ぎ」だ。