最近、飲酒運転についてのニュースをよく目にする。女性芸能人の酒気帯び運転及びひき逃げ事件、そして飛行機のパイロットによる飲酒問題などだ。飲酒運転はNGなことは周知のことだが、飲み過ぎた翌朝などに「酔いは覚めた」と勝手に判断して運転してしまうケースもあるだろう。ここで問題となるのが、飲酒後どれだけたったら運転していいかということ。皆さんは答えられるだろうか。人生をドブに捨てないためにも、正しい知識を身に付けておきたい。

このところやたら「飲酒運転」という言葉を耳にするようになった。それも車だけでなく、飛行機や自転車に至るまでである。
昨年秋には、女性芸能人が酒気帯び運転でひき逃げ。その後、彼女は道路交通法違反と自動車運転処罰法違反の罪で起訴された。幸い死亡事故には至らなかったものの、飲酒運転の怖さを改めて感じた事件であった。
また最近になってニュースによく上がってくるのが、飛行機のパイロットによる飲酒の不祥事だ。有名航空会社のパイロットが乗務前の飲酒により逮捕されたり、呼気チェックでアウトとなり乗務交代となった、などというニュースである。飛行機は車以上に多くの人を運ぶだけに、ニュースを聞くだけで恐ろしくなる…。
国土交通省はこうしたことを受け1月31日、乗務前のアルコールの呼気濃度を1リットル(L)当たり0.09mg未満、血中濃度を同0.2g/L未満という数値基準を設定し、同日から適用すると発表している(詳しくはこちらを参照)。
自分、そして人の命を奪う可能性がある飲酒運転は絶対にしてはいけない。しかし左党であれば、「知らぬ間に飲酒運転」をしている可能性もあるのだ。それは飲み過ぎた翌朝の運転である。
酒飲みなら、夜6~8時くらいに飲み始めた後、朝方3時くらいまで延々と酒を飲み続けたなどというケースは決して珍しくはないだろう。そして、朝の8~9時くらいに運転することになったとしよう。飲んだ量や、お酒に対する強さ(分解能力)、性差などにもよるが、それだけ飲んでいれば、大概の人は酒が残っていて、検査すれば「酒気帯び」と認定されるに違いない。
たった一度の飲酒運転で人生が暗転することも
実際、私も朝10時に待ち合わせしたカメラマンがあまりに酒臭く、顔をそむけたことがある。彼に詳しく聞くと、飲み終えたのは夜の12時と意外に早い。しかし本格焼酎(アルコール度数25度)をほぼ1本(720mL)空け、二日酔いだという。私はこれで彼がレンタカーを運転したら飲酒運転になってしまうと思い、急きょ、私が運転することにし、事なきを得た。
私と同様の経験がある人は決して少なくないはず。近年、飲酒運転に対する目は厳しさを増しており、飲んだ後にそのまま車を運転して帰るのはダメだという認識は広く定着していると思うが、その一方で、飲んだ翌朝は「よく寝て酒も抜けたし、もう大丈夫」と勝手に認識している人が少なくないように思う。実際、警察庁によると、飲酒運転した理由として、「時間経過により大丈夫だと思った」「出勤のため二日酔いで運転してしまった」などが挙がっているそうだ。
ここで問題になるのは、お酒を飲んだ後、どのくらい時間を空ければ車を運転して大丈夫かということだろう。もちろん、酒量やその人の体質などによって、その時間は変わるのだろうが、ある程度の目安を知っておくことは大事だ。
また、昨今は「○○市役所の職員、飲酒運転で処分」などというニュースも頻繁に目にする。これまで勤勉に働いてきたのに、たった一度の飲酒運転で人生が暗転する、などということがあり得るのだ。こうした事態に陥らぬためにも、正しい知識を身に付けておきたいところである。
そこで今回は、飲酒運転の怖さから、アルコールが体から抜ける時間や呼気検査の基準などについて、久里浜医療センターの院長で、アルコール問題全般に詳しい樋口進さんに話を伺った。

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