こんな予防方法があるとは! 体調管理のプロの驚異の徹底ぶり
さらに、大谷さんは不特定多数の人が触れる電車やバスのつり革、オフィスのエレベーターのボタン、ドアノブなどの触り方についても注意を促す。
「ウイルスの感染経路には、不特定多数の方が触れるつり革やエレベーターのボタンなども考えられます。米ミネソタ大学の研究によって、金属やプラスチックなど、表面が滑らかなところについたインフルエンザウイルスは24~48時間も生存可能という結果も出ています」(大谷さん)
大谷さんは、ウイルスを避けるために、エレベーターのボタンなどを押す際には、指先を使わず、指を曲げて第二関節でボタンの端のほうを押す、そしてドアノブは肘や手のひらを使うようにすることも勧める。
加えて、大谷さんは、不特定多数の人の手に触れる硬貨を極力使わず、キャッシュレス決済を利用するといったことまでしているそうだ。「小さなリスクをこまめに潰していくことが体調管理には欠かせません」と大谷さん(*1)。
こんな予防方法があるとは! そしてここまで気をつけているとはスゴすぎる!
これまで考えもしなかったが、ここまで徹底しているからこそ、大谷さんは30年間も風邪とはほぼ無縁でいられたのだろう。
いくら酒が風邪予防の効果が期待できるとはいえ、飲むだけで予防できるわけではない。マスクと手洗い、そして指先をなるべく使わないという風邪予防の基本をしっかり覚えておこう。
風邪予防ならビタミンCよりビタミンD!?
次は食事である。酒のつまみを含め、普段からどんなものを食べるといいのかを大谷さんにアドバイスいただこう。
「風邪予防だけに限らない“総合的な体調管理”を考えるなら、血管にダメージを与える血糖値の急上昇(食後高血糖)を防ぐために『食べる順番』は大切です。食物繊維が豊富な野菜を先に摂取することを心掛けましょう(ベジタブルファースト)。酒席なら海藻を選んでもいいですね。もずく酢、めかぶ酢、海藻サラダなど、居酒屋定番メニューにも海藻類はたくさんあります。そして、炭水化物は最後にしてください(*2)」(大谷さん)

そして、「筋肉などを作る材料となるたんぱく質を意識して摂取してください。たんぱく質は、肉や魚だけでなく、乳製品や卵、大豆製品など、さまざまな食品から摂取するのがお勧めです。そして、ビタミン類やミネラル類、食物繊維もバランス良くとりましょう」と大谷さんは話す。
たんぱく質は、酒の肴からも多くとることができる。例えば、鶏もも肉のグリル、冷ややっこ、刺身の盛り合わせ、納豆の天ぷらなど、思わず喉が「ゴクッ」となるものばかりだ。なお、糖質の摂取量については、「減らしすぎることなく、総エネルギーの50%程度を目安に適量をとってください」と大谷さんはアドバイスする。
そして、風邪予防のために意識してとってほしいビタミンがあると大谷さんは話す。
風邪予防のビタミンといえば、レモンなどでおなじみ「ビタミンC」であろう、と思いきや、意外な答えが返ってきた。
「風邪予防をメインに考えるなら、ビタミンCよりもビタミンDを多く含む食材を選んだほうがいい」と大谷さん。えっ、「風邪にはビタミンC」が常識じゃなかったの!?
「エビデンスの観点から言うと、ビタミンCよりもビタミンDのほうが風邪予防には有効と言えます。実はビタミンCに関する研究は結果が一致しておらず、結論が出ていないのが現状です。それに対しビタミンDは風邪、インフルエンザ、さらに肺炎も含む呼吸器感染症の予防に役立つというエビデンスがあるのです」(大谷さん)
これまでせっせとビタミンCをとっていたが、ビタミンDも意識してとらなくては…。ビタミンDを多く含む酒の肴は、いわしやさんまなどの青魚、あんこうの肝、サケなどと、これまた酒飲みにとっては、涎(よだれ)が出るものばかり。「適量」という言葉が思わず頭から吹っ飛びそうになるが、適量を守りつつ、ビタミンDたっぷりで低糖質、さらには高たんぱく質の肴で一杯やれば、しっかり風邪予防につなげられそうである(*3)。