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左党の一分

健康診断の結果が悪い人が酒を飲み続けるとどうなる?

γ-GTPだけじゃない、血糖、血圧、中性脂肪、コレステロールと酒の関係

 葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト

「顔が赤くなる人」が注意したい病気とは?

 ここまでは、健康診断などの検査結果を基に、酒による病気のリスクについて考えてきた。ほかにも気をつけたいことがある、と浅部さんは言う。

 例えば、「酒を飲むと顔が赤くなる人」だ。

 「お酒を飲んで顔が赤くなる人を『フラッシャー』と呼びます。顔が赤くなる原因は、アルコールの代謝物であるアセトアルデヒドです。フラッシャーは、顔が赤くならない人に比べ、アルコールの代謝が遅く、アセトアルデヒドの毒性に長くさらされることから、咽頭がん、喉頭がん、食道がんに罹患するリスクが高い傾向にあります」(浅部さん)

 特に、フラッシャーでかつタバコを吸うとなると、さらに食道がんのリスクが上がるという。「副流煙(受動喫煙)に関しても、フラッシャーの方は影響を受けやすいという報告もあります」(浅部さん)

 国立がん研究センターの多目的コホート研究において、「顔が赤くならない非喫煙者・またはライトスモーカー」で飲酒量が1日に2合未満の人に比べ、顔が赤くなるヘビースモーカーで1日に2合以上の飲酒量の人は、食道がんのリスクが3.4倍に上がるという報告もある(*1)

 「フラッシャーの方はこうした事実を踏まえ、飲む量や頻度を減らすほうが賢明です。もちろん禁煙も検討してください」と浅部さんは話す。

*1 Cancer Lett.;2009,18,275(2):240-6. 参考記事「お酒を飲んで顔が赤くなる人、ならない人は何で決まるのか

 そしてフラッシャーに次いで、気を付けたいのが女性だ。前回も紹介したが、厚生労働省の定めた飲酒の適量は、純アルコールに換算して1日20g程度で、日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本、ワインなら2~3杯が目安となっているのだが、女性はアルコールの影響をより受けやすいので、その半分から3分の2程度が適量だとされている。

 「なぜ影響をより受けやすいのかというと、その理由の1つとして、女性のほうが男性よりも体が小さく、そのため肝臓も小さいので、その分アルコールの分解が遅くなるということが考えられます。もちろん個人差はありますが、一般に肝臓の大きさは体の大きさに比例するようです」(浅部さん)

 女性というだけで適量の目安を減らされてしまうのは残念だが、乳がんのリスクも考えると、やはり検討しないわけにはいかない(参考記事「日本人女性の「飲酒」と「乳がん」の関係、16万人のデータから判明!」)。

◇     ◇     ◇

 2回にわたって浅部さんから、酒と病気のリスクに関する話を聞いてきた。自分が何に気をつければいいのかが分かれば、毎年受ける健康診断や人間ドックの検査結果でその数値に気を配り、その都度、飲酒量や飲む頻度について考えていくことができる。

 「お酒による疾患のリスクをゼロにしたいのであれば、断酒しかありません。でも、生きていれば何かしらリスクはあるのですから、『リスクを知った上で気をつけて飲む』ことが大事なのだと思います」(浅部さん)

 確かにリスクを知っているのと知らないのとでは、酒に対する意識がまったく違ってくる。筆者自身、酒と健康をテーマに記事を書くようになり、明らかに飲み方が変わってきた。無茶な飲み方はしなくなったし、飲む量も意図的に減らせるようになった(たまにやらかすけれど)。乳がんの検診も欠かさない。

 「50歳を過ぎたら、自治体や会社の健康診断だけでなく、自治体のがん検診や、人間ドックなどでさらに詳しく病気のリスクを調べるといいでしょう」と浅部さん。病気のリスクを避け、酒を長く楽しむためにも、こうした検査をうまく活用したいものだ。

(図版制作:増田真一)

浅部伸一(あさべ しんいち)さん 自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科元准教授 肝臓専門医
浅部伸一(あさべ しんいち)さん 1990年、東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院、虎の門病院消化器科、国立がん研究センターなどを経て、肝炎免疫研究のため米サンディエゴのスクリプス研究所に留学。2010年より自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科に勤務。現在はアッヴィ合同会社に所属。好きな飲料はワイン、日本酒、ビール、ハイボール。最近、泡盛も加わった。

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