まず、とり過ぎに注意したいのは、肉や乳製品に多く含まれる飽和脂肪酸だ。「飽和脂肪酸をとりすぎると体内でのコレステロールの合成が進み、特に、LDL(悪玉)コレステロールの量が増えます」(上西氏)。
飽和脂肪酸を多く含む油は融点が高く、常温で固体なのが特徴だ。飽和脂肪酸をとりすぎると、血液の粘り気が増し、生活習慣病のリスクを高めることはよく知られている。
前述したリノール酸は不飽和脂肪酸だ。そのうちの多価不飽和脂肪酸で、n-6系脂肪酸に分類される。「不飽和脂肪酸のリノール酸、アラキドン酸、α−リノレン酸は、体内で必要量を合成できないため、食品からとり入れる必要があります」(上西氏)。
リノール酸は一時期の過剰なブームが、とり過ぎにつながる原因になったという。「リノール酸は植物油以外にも、種実類、菓子類、魚、肉など、いろいろな食品に含まれているので、通常の食事をしていて不足することはまずありません」(上西氏)。つまり、リノール酸はもう十分にとれているので、積極的にとる必要はないというわけだ。
一方、意識してとりたいのは、不飽和脂肪酸のn-3系脂肪酸だ。「n-3系脂肪酸は血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪を減らし、HDL(善玉)コレステロール値を上昇させる作用があります」(上西氏)。
n-3系脂肪酸の摂取基準は、30~49歳の男性で2.1g、女性で1.6gだが、魚にどれくらい含まれているのかをご存じだろうか?
サバ 切り身1切れ(80g) | 4.70g |
マグロ(トロ) 刺し身4切れ(60g) | 3.49g |
サンマ 中1尾(正味100g) | 3.95g |
ブリ(ハマチ) 切り身1切れ(90g) | 3.27g |
「n-3系脂肪酸の摂取基準は、魚を1日1回食べればクリアできます。肉を食べることが多い人は意識して魚を食べるといいでしょう」(上西氏)
最近人気の植物油はオレイン酸がリッチなもの
最近、スーパーの油売り場には、たくさんのオリーブ油が置かれている。オリーブ油には一価不飽和脂肪酸のオレイン酸が多く含まれているのが特徴だ。「オレイン酸は構造上酸化しにくく、LDL(悪玉)コレステロールだけを下げるといわれ、動脈硬化の予防効果が期待されています」(上西氏)。地中海周辺の国々で心臓病による死亡率が低いのはオリーブ油を使っているから、という話を聞いたことがある人もいるだろう。
また、サラダ油のうち、2種類以上の油を混合して作られるものを調合油というが、最近は、オレイン酸が豊富なキャノーラ(なたねの一種)油をベースにしたものが主流だ。
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