米、小麦、とうもろこしなどのアミノ酸スコアは100以下だ。しかし、植物性たんぱく質が動物性たんぱく質よりも劣っているかというと、必ずしもそうとはいえないという。「たとえば、米はリジンが不足していますが、大豆にはリジンが多い。だから、ご飯に味噌汁や納豆を組み合わせると、食事としてのたんぱく質は良質になります」(上西氏)。
また、肉には鉄や亜鉛などのミネラルが豊富で、魚には体に有用な脂肪酸が豊富だ。こういった食品の特性を取り入れるためにも、いろいろな食品を組み合わせて食べることには大きな意味があるという。最近では、牛、豚、羊などの赤身肉を過剰に摂取すると、大腸がんのリスクを上げるという報告(*1)もあるので、これらのとりすぎを防ぐためにも、魚や大豆製品を上手に組み合わせることがすすめられる。
つまり、多種多様なたんぱく質源をとることは、メリットを増やすだけでなく、デメリットを減らす意味もあるのだ。たんぱく質は過不足なく、いろいろな食品から取り入れて食事を「良質」にしよう。
女子栄養大学栄養生理学研究室教授

徳島大学大学院栄養学研究科修士課程修了後、雪印乳業生物科学研究所を経て、1991年より同大学に勤務。
専門は栄養生理学、特にヒトを対象としたカルシウムの吸収・利用に関する研究など。
『日本人の食事摂取基準2015年版』策定ワーキンググループメンバーを勤める。
