いろいろな健康法やダイエット法が流行っては廃れていく昨今。情報が多すぎて「何をどれだけ食べたらいいか」がわかりにくい時代。だからこそ、栄養の基本のキを押さえておきましょう。
前編では、身近な食品に含まれるたんぱく質の量と、日本人のたんぱく質摂取状況について解説した。後編では、良質なたんぱく質を過不足なくとるための基本的な考え方を説明しよう。
赤身肉の方がたんぱく質が多く脂肪が少ない
たんぱく質をもっとも多く含むのは肉だ。しかし、食べすぎると脂肪のとり過ぎになりやすい。肉の脂肪に多く含まれている飽和脂肪酸は、とりすぎると肥満や動脈硬化の原因になり、メタボへとつながっていく。
肉は種類や部位によって含まれるたんぱく質の量が全く違う。「肉を構成しているのは赤身と脂肪ですが、たんぱく質を含んでいるのは筋肉組織である赤身の部分。同じ重量なら赤身が多い肉のほうがたんぱく質が多くなります」(上西氏)。
例えば、松坂牛などに代表される高級和牛は、筋肉組織の中に「霜降り」「サシ」と呼ばれる脂肪が多い。一方、オージービーフなどの輸入牛は赤身が多くたんぱく質が多い。同じ200gのステーキでも、内容は全く違う(下図)。当たり前といえば当たり前だが、これも、基本のキとして押さえておきたいことだ。

たんぱく質41.0g 脂肪9.6g
和牛(サーロイン・脂身付き) 200g
たんぱく質23.4g 脂肪95g
たんぱく質は「たくさん」よりも「いろいろ」食べるのがコツ
「良質なたんぱく質をとりましょう」という場合、それは、「アミノ酸スコア」が高いものを指す。アミノ酸はたんぱく質を構成する成分で、全部で20種類あるが、このうち体内で必要量を合成できない9種類(成人は8種類)を必須アミノ酸といい、食事でとる必要がある(下表)。
必須アミノ酸を理想的な割合で含むものを100とし、それぞれの食品の必須アミノ酸の充足度を表したものがアミノ酸スコアだ。アミノ酸スコアが100に近いほど、体内で効率よく使われるため、良質なたんぱく質ということができる。これを「桶の理論」で説明しよう(次ページ図)。