和食は世界に冠たる健康食だが、「塩分が多い」という点が弱点だといわれる。塩分のとり過ぎは高血圧の原因のひとつだ。血圧が気になる人もそうでない人も、塩分とのつき合い方を知っておこう。
血圧を下げる生活習慣は“減塩”だけじゃない

日本人は血圧が高い人が多い。平成25年国民健康・栄養調査によると、成人男性の38.3%、女性の29.6%が高血圧となっている。高血圧は動脈硬化を促進し、脳卒中のリスクを高める。
親族に脳梗塞や脳出血を起こした人がいると、「うちは高血圧の家系だから、いずれ自分も…」と不安に思うだろう。確かに、高血圧の発症には遺伝的な要素が大きい。しかし、それだけではなく、生活習慣が大きく関連していることをご存じだろうか。
「血圧を下げる生活習慣=減塩と思っている人が多いですが、血圧には喫煙、肥満、運動不足、過度な飲酒、睡眠不足、過度なストレスなどが大きく関係しています。減塩の前に、まず、これらを見直してみることが大切です」(女子栄養大学栄養生理学研究室教授の上西一弘氏)。
悪者は塩分だけではないのだ。
塩分と血圧上昇の関係には個人差があり、塩分の摂取量を減らしても血圧が下がらない人もいる。つまり、基本の知識として、「減塩も大切だが、タバコをやめたり運動をしたりするほうがはるかに有効な場合もある」ということを覚えておこう。
ただし、とり過ぎは禁物! 男性は1日8g、女性は7gが目標
食塩は、ナトリウムと塩素の化合物だ。ナトリウムは細胞外に存在し、細胞内に存在するカリウムとともに、細胞の水分量や浸透圧、細胞の働きを調整し、適正な濃度を保つように調節している。
「とりすぎると問題なのはナトリウムです。体液のナトリウム濃度が上がると、体はこれを薄めようとして水分をため込みます。すると、血液量が増え、血管にかかる圧力が高くなります」(上西氏)。これが、ナトリウムをとりすぎると血圧が上がるしくみだ。
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