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知ってトクする栄養学

目指すは「昭和50年代の食卓」

第1回 バランスの良い食事とは何か?

 村山真由美=フリーエディター・ライター

バブル期をはさみ「ご飯とみそ汁」の基本スタイルが崩れていく

 その後、バブル期をはさみ、食の欧米化はますます進む。平成24年(2012年)になると、ご飯と味噌汁という組み合わせはもはや必須ではなくなる。「おかずがベース、主食はサブ」「魚よりも肉」という人が増え、PFCバランスはより欧米型に近づいている。また、単純にエネルギーを取りすぎている人も多い。昭和35年のご飯と平成24年のおかずを組み合わせたら、エネルギー過多になってしまうのは明らかだ。

図3◎ 平成24年(2012年)頃のPFCバランス
・農林水産省『食料需給表』を基に算出。PFCの各数値は、昭和55年(1980年)のPFCバランス(たんぱく質13%、脂質25.5%、炭水化物61.5%)を100としたときの指数。
・食事のイラストはイメージで、PFCバランスに基づき計算したものではありません。
[画像のクリックで拡大表示]

再び、一汁三菜のススメ

 こうした欧米型の食事バランスやエネルギーの過多が、現代人の肥満や生活習慣病の原因になっている。

 最近では、低炭水化物食(糖質制限食)ブームの影響でPFCバランスを崩している人も少なくない。炭水化物を減らすと、その分のエネルギーを補うために脂質やたんぱく質の摂取が増える。「PFCバランスはあくまでも三大栄養素の摂取総量を100とした場合のそれぞれの比率なので、炭水化物の摂取量を減らせば、相対的にPFCバランスは脂質・たんぱく質増加に傾き、バランスが崩れます。そのことを意識していない人が多いようです」(上西氏)。

 PFCバランスはさまざまな知見をもとに定められたものだ。それを無視して「やみくもに炭水化物を減らす」よりも、「今現在とりすぎている人は適正量に戻す」という考え方の方が賢明だろう。

 「栄養素の50~65%を炭水化物からとるには、やはり、主食をベースにすることが大切です。パンやめん類よりもごはんを主食とした一汁三菜の食事形態にするとPFCバランスが自然に整いやすくなります」(上西氏)。

 そこで、手本になるのが昭和50年代の食事、というわけだ。あのころの食卓を思い出して(あるいは想像して)、自分の食生活を見直してみてはいかがだろうか。

 (次回はたんぱく質を取り上げます。)

 (イラスト:サイトウトモミ)

上西一弘(うえにし かずひろ)さん
女子栄養大学栄養生理学研究室教授
上西一弘(うえにし かずひろ)さん 徳島大学大学院栄養学研究科修士課程修了後、雪印乳業生物科学研究所を経て、1991年より同大学に勤務。
専門は栄養生理学、特にヒトを対象としたカルシウムの吸収・利用に関する研究など。
『日本人の食事摂取基準2015年版』策定ワーキンググループメンバーを勤める。

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