いろいろな健康法やダイエット法が流行っては廃れていく昨今。情報が多すぎて「何をどれだけ食べたらいいか」がわかりにくい時代。だからこそ、栄養の基本のキを押さえておきましょう。今回のテーマはビタミンKです。
ビタミンKと聞いて、「どんな働きをするのか、何に含まれているのか」が思い浮かぶ人は少ないだろう。やや地味な存在のビタミンKだが、実は、生まれて初めて口にしたサプリメントがビタミンKだったという人が多いのをご存知だろうか?
血液が凝固するために不可欠な物質

けがをして出血しても、しばらくすると自然に血が止まる。
これは、「私たちの体内に血液を凝固させる物質があるためです。ビタミンKはこの物質であるプロトロンビンが肝臓で作られるときに不可欠な成分です。ですから、ビタミンKが不足すると、出血しやすく、止血しにくくなります」(女子栄養大学栄養生理学研究室教授の上西一弘氏)。
具体的には、鼻血、月経過多、血尿などといった症状が現れることがあるそうだ。
しかし、止血したいとき以外は、血液は凝固しては困る。そのため、血液の凝固を抑える物質も機能している。この物質の合成にもビタミンKは不可欠だという。「つまり、ビタミンKは血液の凝固や、凝固を抑制する働きを、必要に応じてバランスよくこなしているのです」(上西氏)。
ビタミンはA、B、C、D、Eまではアルファベット順で、かなりとんでKとなる。ビタミンは原則、発見された順番に名前がつけられているのだが、ビタミンKだけは違う。ドイツ語のkoagulation(凝固)の頭文字をとって名付けられているのだ。生命を維持する上で、血液凝固がいかに重要な働きかを物語るエピソードだ。
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- もっとも不足しがちなのが新生児!?