下表は標準的な肌タイプの日本人が、顔と両手の甲を露出して日光浴をしたとき、体内で10μgのビタミンDを生成するのに必要な時間だ。
7月 | 12月 | |||||||||||
9時 | 12時 | 15時 | 9時 | 12時 | 15時 | |||||||
札幌 | 14分 | 8分 | 24分 | (904分) | 139分 | (4985分) | ||||||
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つくば | 11分 | 6分 | 18分 | (193分) | 41分 | (493分) | ||||||
那覇 | 16分 | 5分 | 10分 | 142分 | 14分 | 31分 |
一方、こちらの表は日光浴を始めてから肌が赤くなり始めるまでの時間を調べたものだ。
7月 | 12月 | |||||||||||
9時 | 12時 | 15時 | 9時 | 12時 | 15時 | |||||||
札幌 | 39分 | 25分 | 64分 | (714分) | (227分) | (1667分) | ||||||
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つくば | 32分 | 20分 | 52分 | (313分) | 98分 | (625分) | ||||||
那覇 | 46分 | 16分 | 29分 | (294分) | 42分 | 86分 |
例えば、札幌の場合、7月の朝9時は、14分間日光を浴びれば有効なことが分かる。しかし、12月の朝9時だと、約15時間も日光を浴びなくてはならない。しかも、約12時間で肌に有害な影響が出てしまう。つまり、冬季の北日本の場合、日光を浴びることからだけでは、ビタミンDが不足しやすいといえそうだ。
詳しくは、国立環境研究所地球環境研究センターのウェブサイト(*3)で閲覧できるので、参考にしてみてはいかがだろうか。
ちなみに、どこに住んでいても、顔、首、手、足などの露出している部分に日焼け止めを塗っている人や、昼夜逆転の生活を送っている人は、ビタミンDが不足しやすいので注意が必要だ。また、「加齢により皮膚でビタミンDを合成する力は衰えるので、高齢者の場合、日光浴はあまり有効ではありません」(上西氏)。
これらの人は、まず、魚を積極的に食べることだ。難しければサプリメントで補うことを考えてもいいだろう。
*3 http://db.cger.nies.go.jp/dataset/uv_vitaminD/ja/
環境省『紫外線環境保健マニュアル2015』
http://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full.pdf
女子栄養大学栄養生理学研究室教授

徳島大学大学院栄養学研究科修士課程修了後、雪印乳業生物科学研究所を経て、1991年より同大学に勤務。
専門は栄養生理学、特にヒトを対象としたカルシウムの吸収・利用に関する研究など。
『日本人の食事摂取基準2015年版』策定ワーキンググループメンバーを勤める。