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知ってトクする栄養学

卵1日1個はウソ?! コレステロールのホントのところ

第20回 コレステロールの摂取目標量が撤廃されたワケ

 村山真由美=フリーエディター・ライター

春に健康診断を行う企業は多い。結果が気になっている人も多いのでは? 健診のなかでも、コレステロール値は引っかかる人が多い項目だ。今回は、コレステロールについて解説しよう。

コレステロールの目標量がなくなったワケ

コレステロールを多く含む卵。健康な人はむやみに制限する必要はないが、既に高コレステロール血症と診断されている人などは、食べ過ぎないほうがいいようだ。(©George Tsartsianidis 123-rf)

 「食事摂取基準」をご存じだろうか。これは、日本人が健康を維持・増進するために摂取するべき各栄養素やエネルギーの基準量で、厚生労働省により5年ごとに発表される。2010年版では、コレステロールの目標量は、成人男性は1日750mg未満、成人女性は1日600mg未満だった。しかし、2015年版では、コレステロールの摂取基準(目標量)がなくなった。

 「コレステロールは体内で合成できる脂質で、食事で摂取するコレステロールの影響は少ないということが分かってきたのです。摂取目標量を決める科学的根拠が少ないため、最新版の食事摂取基準では、コレステロールの目標量がなくなりました」(女子栄養大学栄養生理学研究室教授の上西一弘氏)。

 食事からの影響が少ないというのは、具体的にはどういうことなのだろうか。

 実は、私たちは肝臓で多くのコレステロールを合成している(体重50kgの人で1日当たり600〜650mg、※1)。これは、意外に知られていない。コレステロールは、細胞膜や胆汁酸、ホルモン、ビタミンDをつくる材料になる成分で、毎日新たに一定量必要になるため、食事だけに頼らなくていい仕組みになっているのだという。

 「食事でとったコレステロールのうち吸収されるのは、体内でつくられるコレステロールの1/3〜1/7程度にすぎません。また、コレステロールは食事でとる量が少なければ体内で多く合成され、食事でとる量が多ければ、少なく合成されます。常に一定量が保たれるようになっているため、食事からの影響は少ないのです」(上西氏)。

 つまり、「食事摂取基準」からコレステロールの摂取目標量がなくなったのは、健康な人においては、食事中のコレステロールの摂取量と血中コレステロール値の相関を示す、十分な科学的根拠がないことが分かったためだ。

※1 Di Buono M, Jones PJ. Beaumier L, et al. Comparison of deuterium incorporation and mass isotopomer distribution analysis for measurement of human cholesterol biosynthesis. J Lipid Res 2000;41:1516-23.

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