日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様

日経 Gooday

ホーム  > ダイエット・食生活  > 知ってトクする栄養学  > あの“にがりダイエット”とは何だったのか?
印刷

知ってトクする栄養学

あの“にがりダイエット”とは何だったのか?

第17回 マグネシウムとダイエットの正しい知識

 村山真由美=フリーエディター・ライター

かつて一世を風靡した“にがりダイエット”。にがりは豆腐を作る際に凝固剤として利用されることはご存じの方も多いだろう。この、にがりの主成分は塩化マグネシウムだ。今回はマグネシウムについて解説しよう。

にがりの主成分マグネシウムは医薬品では下剤

にがりとマグネシウムとダイエットの関係、一度整理してみないと…。(©puhhha 123-rf)

 今から10数年前、あるテレビ番組がにがりにダイエット効果があることを取り上げたことを発端に、にがりが大ブームになった。

 にがりは海水から塩を作るときにできる副産物だ。簡単にいうと、海水を濃縮してそこから塩(塩化ナトリウムの結晶)を取り出した後の液体を、さらに濃縮したものだ。苦味が強いため漢字では「苦汁」と表現される。

 にがりの主成分は塩化マグネシウムだが、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウムなども含む。海水にはミネラルが豊富だ。つまり、にがりは海水から塩分だけを取り除いたミネラルのサプリメントのようなものだといえる。

 だから、にがりをとると、マグネシウムをはじめとするミネラルの摂取には役立つ。しかし、「マグネシウムは医薬品では下剤として使用されているもの。にがりやマグネシウムのサプリメントを多量に摂取すると、下痢を起こす可能性があります」(女子栄養大学栄養生理学研究室教授の上西一弘氏)。

 市販の下剤には、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウムを使用したものがある。こういったマグネシウム製剤は、腸内の水分を増やし、便を柔らかくする作用がある。

 また、にがりブームの際、にがりの過剰摂取により心肺停止を起こすケースがみられた。これは、マグネシウムには筋肉を弛緩させて血圧を下げる作用があるためだ。

 「マグネシウムは尿や汗と一緒に体外に排泄されやすい栄養素です。通常の食品からとる範囲では取り過ぎの心配はありません。しかし、にがりやマグネシウムのサプリメント、マグネシウム製剤の便秘薬をとる場合、過剰摂取には注意が必要です。とくに、腎臓に障害のある人の場合、血液中にマグネシウムが蓄積しやすくなり、高マグネシウム血症を引き起こすことがあります」(上西氏)。

にがりに明らかなダイエット効果はない

 にがりブームの際、にがりは「糖の吸収を遅らせる」「脂肪の吸収をブロックする」「糖質の代謝を促進する」「エネルギー代謝を促進する」といった働きがあるとされるなど、ダイエット効果を論証するような様々な情報が出回った。これらの情報に影響されて、にがりダイエットに走った人も多かった。

 そんな中、過剰摂取による健康被害が出たこともあり、2004年7月に独立行政法人国立健康・栄養研究所は、誤解されている健康情報の事例として、「にがりと痩身効果の関連性については、確実な根拠はない。過剰摂取に十分に注意する必要がある」という異例のコメントを発表した。

 こういった動きもあり、にがりブームは下火になっていった。

 「にがりでやせたという人は、にがりの効果で便秘が改善され、一時的に体重が減ったのではないでしょうか。これは、やせたとはいいません。また、下痢で栄養が吸収されずに体重が減った可能性もあります。これは健康的なやせ方ではありません」(上西氏)。

1/3 page

最後へ

次へ

RELATED ARTICLES関連する記事

ダイエット・食生活カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 宴会で「尿酸値・血糖値・中性脂肪」を上げない賢い飲み方

    年末年始や年度の変わり目など、宴会が増える季節に、楽しくお酒を飲みながらふと頭をよぎるのが、「体重の増加」と「気になる検査値への影響」ではないだろうか。暴飲暴食が続くとさまざまな検査値に影響が及ぶ。今回は、働き盛りの世代に身近な「尿酸値」「血糖値」「中性脂肪」を上げないための、宴会での上手な飲み方・食べ方のコツをまとめた。

  • 青魚のDHAやEPAで、血管を若返らせて、メタボも抑制!

    サバ、イワシなどの「青魚」の健康効果が注目されている。青魚にたっぷり含まれるDHAやEPAは、血管を若返らせ、メタボを抑制したり、認知症のリスクを下げる効果も期待できる。手軽に食べられる「サバ缶」や「イワシ缶」も人気で、カルシウムもしっかりとれるため、骨粗鬆症の予防にもなる。

  • 老化を左右する血管! 若返りのポイントは?

    体の中に縦横無尽に張り巡らされた「血管」をよい状態に保つことは、健康を維持するため、そして老化を防ぐために極めて重要だ。では、強い血管をキープし、老化した血管を若返らせるには、何をすればいいのだろうか。本特集では、2万例を超える心臓・血管手術を手がけてきたスペシャリストに、血管の若さを維持する秘訣と、血管を強くする運動法・食事法を聞いていく。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

人生100年時代プロジェクト

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2019 Nikkei Inc. All rights reserved.