亜鉛が不足すると味覚障害にも!?
亜鉛不足になると、味覚障害になる可能性もある。私たちの体のなかで細胞分裂が盛んな場所がもう一つある。それは、舌の表面にある味蕾(みらい)だ。味蕾は味を感じる器官で、味細胞と支持細胞から成るが、味細胞は約10日間で生まれ変わるといわれている。
「亜鉛が不足すると、味蕾の新陳代謝が十分に行われなくなるため、味がわかりにくくなったり、感じなくなります。また、何も食べていないのに塩味や苦味を感じたり、何を食べても嫌な味になるケースもあり、思いのほか辛い症状です」(上西氏)。
ベジタリアンや加工食品ばかりの人は要注意
亜鉛は魚介類のカキに豊富に含まれていることが知られているが、貝や肉などの動物性食品に多く含まれているのが特徴だ。
「亜鉛は通常の食事で欠乏することはまずありませんが、植物性食品に偏った食生活を送っている人では不足することがあります。また、味覚障害は若い女性に多いという報告があります。これは、肉を食べないような極端なダイエットが原因の一つだと考えられます」(上西氏)。
亜鉛は吸収率が低く、腸管からの吸収率は約30%ともいわれている。「穀類や豆類に多いフィチン酸や青菜に多いシュウ酸は、亜鉛と結合することによって亜鉛の吸収を妨げるため、ベジタリアンの人は、とくに亜鉛が不足しやすく注意が必要です」(上西氏)。
では、肉をしっかり食べていれば大丈夫かというと、そうともいえない。「加工食品に含まれている添加物のリン酸塩やポリリン酸なども亜鉛の吸収を妨げます。つまり、加工食品ばかりの食生活を送っている人も亜鉛が不足しやすくなります」(上西氏)。
男性18~29歳 | 男性30~69歳 | 女性18~69歳 | |
推奨量 | 10 | 10 | 8 |
耐容上限量 | 40 | 45 | 35 |
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- 摂取頻度にもコツあり