さらに、ALT、AST、γ-GTPの3つの検査値をセットでみることで、脂肪肝の原因を類推することができる(AST、γ-GTPについては次ページの囲み記事を参照)。
「ALTよりASTが高い場合、またγ-GTPが200~300 IU/Lを超えるほど高い場合は、アルコール性脂肪肝、つまり飲みすぎによる脂肪肝の可能性があります。一方、ALTがASTよりも高い場合、γ-GTPが基準値を少し超えるあたりから100IU/L前後くらいに軽く上昇している場合は、非アルコール性脂肪肝の可能性が考えられます」(栗原氏)
この、非アルコール性脂肪肝は、特に糖質のとりすぎによって起こりやすいという。このタイプの脂肪肝が重症化したものをNASH(ナッシュ=非アルコール性脂肪肝炎)というが、NASHを放置すると、5~10年で肝硬変に移行し、肝臓がんへ進行する可能性が高い。
「ALTが20 IU/Lを超えていたら、糖質をとりすぎている可能性があり、将来、糖尿病や動脈硬化、NASHになるリスクを持っているといえます。BMIが正常範囲であっても安心できません」(栗原氏)
生活習慣病の上流にメタボがあり、さらにその上流に脂肪肝がある
脂肪肝の人は、肝細胞そのものに炎症はなく、生活改善をすればすぐに治る。そのせいか、脂肪肝があっても、医師も患者もあまり深刻に考えないことが多い。しかし、この脂肪肝を甘くみてはいけない、と栗原氏。
「生活習慣病の上流にメタボがありますが、私は、メタボのさらに上流に脂肪肝があると考えています。だから、脂肪肝の段階で生活習慣を変えることが大切。先手必勝になるのです」(栗原氏)。ALTは基準値内であっても20 IU/Lを超えていれば、太っていても太っていなくても、脂肪肝をなくすために、糖質ちょいオフをしたほうがいいそうだ。「逆に、太っていても、肝機能や血糖の数値が正常であれば、生活習慣病を招くことはまれです。しかし、腰痛や膝関節痛を引き起こすことが多いので、2~3kgの減量がお勧めです。糖質を5%程度減らすだけで半年で3kg程度の減量は簡単にできます」(栗原氏)。
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