日経グッデイ

失敗しない 糖質ちょいオフ食事術

「案外普通に食べられる」のが“ちょいオフ”のいいところ

1日にとる糖質の目安は、男性332g、女性219g

 村山真由美=フリーエディター・ライター

一大ブームを巻き起こした糖質オフダイエット。チャレンジしたことのある人も多いだろう。しかし、「確かにやせた。でも、リバウンドした」という人もまた多いのではないだろうか。実は、糖質オフダイエットの極意は、完全オフではなく“ちょいオフ”なのだ。ハードな糖質制限に挫折した人こそ必読! 地味ながらも効果的な糖質オフ術をご紹介しよう。

「1日に摂取するエネルギーの50%を糖質からとるには、ご飯を控えめにした一汁三菜の食事が理想です」(牧野氏)。
(イラスト:サイトウトモミ)

 前回の記事(「あなたの糖質制限はここが間違っていた!」)では、糖質はとりすぎてもとらなさすぎてもリスクがあることを述べた。では、どれくらいが適量なのだろう。管理栄養士で料理研究家の牧野直子氏に聞いてみた。

 「1日に摂取するエネルギーのうち、少なくとも50%は糖質からとりましょう。必要なエネルギーは活動量によって異なりますが、デスクワークが主で運動量が少ない人の場合、1日当たりの糖質量は男性332g、女性219gが目安になります」(牧野氏)。

 …と言われても、“何にどれだけ糖質が含まれているか”が全く想像できない人も多いだろう。

主食に含まれる糖質量を知っておこう

 糖質が含まれている代表的な食品は、ごはん、パン、めん類などの主食や甘いものだが、糖質は野菜、果物、いも、肉、魚、調味料など、さまざまな食品に含まれている。栄養の専門家ではない我々が、食事の糖質量を正確に把握することは、実はとても難しいことなのだ。

 「病気の治療が目的の糖質制限の場合、糖質量を厳密に計算する必要がありますが、ダイエットが目的であれば、特に糖質が多く含まれている主食、果物、いも、間食の糖質量を合計して、1日の目安量の中におさまるようにすればいいでしょう」(牧野氏)。1食当たりの目安量は、下記の通りだ。

1日当たりの糖質の目安量 : 男性332g  女性219g

1日当たりの糖質の目安量は男性332g、女性219gなので、単純に3で割ると、1食当たりの目安は男性110g、女性73gとなる(間食する場合はもっと少なくなる)。

※糖質量は『日本人の食事摂取基準2015年版』のPFCバランスより炭水化物の最小値である50%を基に算出。PFCバランスについては、こちらの記事を参照。

 では、もっとも注意したい主食の糖質量を知っておこう。

 主食である、ごはん、パン、めんに含まれる糖質量は以下の通りだ。

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あなたの「茶碗1杯のごはん」は何グラム?

 上記のように、ごはんは、茶碗1杯を150gとすると、含まれる糖質量は55.2g。3食食ベると合計165.6gとなる。

 「果物やいも類は糖質が多いですが、ビタミンや食物繊維などの重要な供給源でもあるので、毎日とりたい食品です。果物は1日に200g、いもは100gとるのが目安です」(牧野氏)。これを具体的な食品に当てはめると、以下のようになる。

ごはん150g
●ごはん 茶碗1杯(150g)×3  ・・・糖質165.6g
●みかん 1個(80g)  ・・・糖質8.8g
●キウイフルーツ 1個(85g)  ・・・糖質9.4g
●さつまいも 1/2本(90g)   ・・・糖質26.3g

   ⇒合計210.1g

 これですでに、女性の場合は1日の糖質量がほぼ埋まるので、この上、おやつを食べると糖質オーバーになってしまう。男性の場合は、まだまだ余裕があると思うかもしれない。しかし、ごはんの量が落とし穴だ。

 普段、自宅で食べている茶碗1杯のごはんが何gかを、是非量ってみてほしい。ごはんの量は、茶碗のサイズや盛り方によってかなり違ってくる。150gは普通サイズの茶碗にふんわり7~8分目まで盛った量だ。実際に量ってみると「意外に少ない」と感じる人が多いだろう。

 ちなみに、外食のごはんはかなり量が多い。定食屋などのごはんは普通盛りで180~200g、大盛りは300~350gくらいあることも少なくない。市販の弁当のごはんも同様だ。1食のごはんの量を250gとした場合、合計は以下のようになる。

ごはん250g
●ごはん 丼1杯(250g)×3  ・・・糖質276g
●みかん 1個(80g)  ・・・糖質8.8g
●キウイフルーツ 1個(85g)  ・・・糖質9.4g
●さつまいも 1/2本(90g)  ・・・糖質26.3g

   ⇒合計320.5g

 つまり、男性の場合もごはんの量が多ければ、1日の糖質量はほぼ埋まる。これにプラスしておやつを食べると糖質オーバーになってしまう。外食のごはんの量を多いと感じていない人は、主食をとりすぎている可能性が高い。

 「“糖質ちょいオフ”食事術では、主食を抜く必要はありません。“とりすぎている人は減らす”と考えます。つまり、大盛りにしなければいいということ。外食の際は、『ごはんは少なめに』とオーダーするか、思い切って残す勇気を持ちましょう。ごはんひと口は約15gなので、4口残せば約60g減となり、糖質を約22gも減らすことができます」(栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅氏)

「案外普通に食べられる」のが“ちょいオフ”のいいところ

 もちろん、おやつは高糖質なので控えたほうがいい。例えば、どら焼き1個の糖質量は44.3g、ショートケーキ1個の糖質量は51.2gだ。

 「間食で気をつけたいのは、砂糖入りの缶コーヒーやスポーツドリンクなどの飲み物です。男性に多いのが、朝、デスクについて缶コーヒーを1本、仕事の合間の水分補給にスポーツドリンクを1本、という人。それだけで糖質量が40gを超えてしまうこともあります」(牧野氏)。

 女性に多いのは「体にいいから」と果物を食べ過ぎている人だという。「最近の果物は糖度が高くておいしいので、ついつい手を伸ばしているうちに、あっという間に200g以上食べてしまいます。果糖は吸収が早くエネルギーになりやすいので、活動する前に食べるのはいいですが、夜の団らんの時間に食べる習慣があると、体に脂肪を溜め込むことになります。果物は朝食で食べるように改めましょう」(栗原氏)。

 以上をまとめると、

  • ごはんは大盛りを避ける
  • 間食はできるだけ控える
  • 飲み物は無糖のものにする
  • 果物は食べ過ぎに注意し、朝食べる

 この4点に気をつけるのが“糖質ちょいオフ”食事術だ。つまり、「案外、普通に食べられる」のだ。

 極端な糖質制限は減量には確かに効果的だ。しかし、昔からごはんをベースに食事をしてきた日本人が、主食を抜くような食生活を長く続けるのはかなり難しい。「短期間で一時的に体重が減ったとしても、無理なく続けられる食事のスタイルでない限り、リバウンドしてしまうのは明白です。それよりも、一生続けられる食事のスタイルを身につけるほうが、はるかに安全で効果的だと思いませんか?」(栗原氏)。

 次ページに、身近な果物、いも、おやつ、飲みものに含まれる糖質量を示した。主食の糖質量と合わせて、普段、自分がどれくらい糖質をとっているかを確認してみよう。

 1日当たりの目安量の中におさまるように、「おかずがポテトサラダだから、ごはんは控えめにしよう」、「おやつを食べたいから、果物は半分にしておこう」と調節できるようになるのが目標だ。

果物に含まれる糖質量
品目目安量(正味量)目安量当たりの糖質量(g)
りんご1個(255g)33.4
かき1個(182g)26.0
もも1個(255g)22.7
なし1個(213g)22.2
ぶどう1房(128g)19.5
バナナ1本(90g)19.3
グレープフルーツ1個(210g)18.9
キウイフルーツ1個(85g)9.4
みかん1個(80g)8.8
いちご1粒(16g)1.1
ビタミンや食物繊維が豊富なので、1日200gを超えない範囲でしっかりととりたい。ドライフルーツやジャムのとり過ぎに注意。
いもに含まれる糖質量
品目目安量(正味量)目安量当たりの糖質量(g)
さつまいも1本(180g)52.6
じゃがいも1個(150g)24.5
里芋1個(60g)6.5
果物と同様に1日100gを超えない範囲できちんととりたい。おかずで食べる量が多いときは、主食や果物の量を減らして調節を。
おやつに含まれる糖質量
品目目安量(正味量)目安量当たりの糖質量(g)
ショートケーキ1個(110g)51.2
ポテトチップス1袋(100g)50.5
大福もち1個(95g)47.8
どら焼き1個(80g)44.3
アップルパイ1切れ(100g)31.4
ドーナッツ1個(50g)29.6
みたらしだんご1串(60g)26.9
ミルクチョコレート1枚(50g)26.0
カスタードプリン1個(125g)18.4
塩せんべい1枚(20g)16.5
もちやあんこが使われる和菓子は糖質が多い。甘くないせんべいやポテトチップスも米やいもが原料なので意外に高糖質。
飲み物に含まれる糖質量
品目目安量(正味量)目安量当たりの糖質量(g)
甘酒200mL37.6
スポーツドリンク(イオン飲料)500mL31.0
炭酸飲料(フルーツ味・無果汁)200mL26.2
ヨーグルト(加糖・ドリンクタイプ)210g25.6
コーラ200mL23.4
サイダー200mL20.9
コーヒー牛乳210g17.9
缶コーヒー(砂糖・ミルク入り)190g15.6
野菜・果物ミックスジュース200mL14.9
乳酸菌飲料70g11.5
ヘルシーなイメージのものが意外に高糖質なので注意。スポーツドリンクは薄味だが、意外に糖質を多く含んでいる。

 ※おやつや飲み物は商品によって含まれている糖質量が異なります。大体の目安として活用してください。次回は、肝機能の数値から、糖質のとりすぎをチェックする方法をご紹介します。

 (栄養計算:牧野直子/写真:安田裕/スタイリング:高橋ゆかり)

牧野直子(まきのなおこ)さん
管理栄養士、料理研究家、ダイエットコーディネーター
牧野直子(まきのなおこ)さん 女子栄養大学卒。生活習慣病予防、ダイエット、女性の美容や健康、食育などをテーマに、テレビや雑誌などのメディア出演、著書の執筆、料理教室、食品メーカーの商品開発、講演など、幅広く活躍中。