日経グッデイ

ママチャリライダーがセンチュリーライドを目指してみた

メカ音痴が挑戦! クロスバイクの“最低限”メンテナンス

チェーンと空気圧の2つをチェック

 中西奈美=日経Gooday

私にとってクロスバイクが、良き“相棒”となりつつあります。でも、車体が軽く、作りが繊細なわが相棒。大切な存在だからこそ、メンテナンスをしてあげたい…。機械に不慣れな私にもできる最低限のメンテナンスについて、教えてもらうことにしました。

 前回の記事「勘違いだらけだったクロスバイクの乗り方・降り方」では、本企画でアドバイザーをお願いしているサイクルライフナビゲーターの絹代さんにクロスバイクの乗り方を点検してもらい、3つの勘違いに気付きました。(前回の記事と絹代さんのプロフィールはこちらから)

 勘違いを正すと、クロスバイクが乗りやすくなり、休日は自宅の周辺を走り回るように。帰宅後、屋内の駐輪スペースに自転車をしまいながら、ふと、「クロスバイクって細かな部品でできているギアが付いているし、メンテナンスしなくていいのかな」と心配になりました。

 でも、私は機械が苦手…。パソコンなどの電化製品を修理したはずが、逆に壊していた…ということが、これまでの人生で数えきれないほどあります。

今回、お話を聞いたブリヂストンサイクル スポーツ車事業部マーケティング課の宮崎景涼(けいすけ)さん。今回は愛車とともに登場です。
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 そこで、スポーツバイクのメンテナンスについて、ブリヂストンサイクルスポーツ車事業部マーケティング課の宮崎景涼(けいすけ)さんに相談しました。宮崎さんは、クロスバイクのサイズ合わせ(3回目の記事「自分の体に合ったクロスバイクを選ぶ」)でお世話になった方です。

 宮崎さんは自身もかつて自転車の選手だったこともあり、メンテナンスにとても詳しいのですが、今回、私がメカ音痴であるため、最低限必要なものを教えてもらうことにしました。

 愛車のロードバイクに乗って颯爽と取材現場に登場した宮崎さん。「スポーツバイクのメンテナンスのお話を…」と切り出すと、ポケットなどからいろいろな道具が出てきました。

メンテナンス1 乗る前の空気圧

宮崎さん「タイヤの空気、毎回入れてますよね?」

「え!! 抜けてると思った時だけに入れればいいんじゃないんですか!?」

タイヤに入れる空気圧が高いため、空気を入れるのも一苦労…。
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 「スポーツバイクはタイヤ内の空気圧が高いため、乗っていない状態でも少しずつ空気が抜けてしまいます」と宮崎さん。ママチャリでもしばらく乗らない期間があると、タイヤの空気が抜けてベコベコになっていることがあります。私は、乗る前にタイヤを指で押してみて、簡単にへこんでしまうときに空気を入れればいいのかと思っていました。

 しかも、スポーツバイクはママチャリと空気を入れるバルブ(入口)の形状が違うといいます。「いわゆるママチャリは英式バルブ、スポーツバイクは仏式バルブが使われています」(宮崎さん)。

 英式バルブは金属の軸の中に通称、虫ゴムと呼ばれるゴム製の弁が付いているものです。高い空気圧には耐えられない上、空気圧の微調整はできないそうです。一方、仏式バルブは先端に金属製の小さなナット(ネジ)が付いていて、ナットを緩め、先端を押し込むとチューブ内の弁が開く構造です。高圧での充てんが可能で、タイヤ内の空気圧を測ることができるのが特徴です。

英式バルブ
バルブキャップがついたおなじみの形。虫ゴムと呼ばれるゴム製の弁で空気圧を調整している。(撮影:記者本人。右も同)
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仏式バルブ
写真はバルブキャップを外したところ。金属製の芯(コア軸)の先が弁になっていて、先端をナットで固定する。
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 バルブの構造が違うと、使える空気入れの口金も違うと宮崎さんが教えてくれました。ということは、今、私が使っているママチャリの空気入れは、英式バルブにしか使えない…。クロスバイク用に新調しなくてはいけないので、どのような空気入れがいいか尋ねると

ゲージ(空気圧計)付きの空気入れなら、タイヤの空気圧を確認しながら空気を入れることができる。(©Wasin Raktham-123rf)
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宮崎さん「タイヤの空気圧がひと目でわかるゲージ付きのものが、絶対いいですよ!」

 「空気圧がひと目でわかる…??」 私の頭の中はクエスチョンマークでいっぱいになってしまいました。

 宮崎さんによると、自転車はタイヤによって適切な空気圧が決められていて、ママチャリのタイヤは2.5~5bar(*)ほど。クロスバイクだと3~6bar、ロードバイクだと8barを超えるものもあるそうです。適切な空気圧は、タイヤのへりに書かれています。ちなみに、我が愛車(ママチャリ)のタイヤは2.8~4.5bar、本企画でブリヂストンサイクルからお借りしているCYLVA F24に装着されているタイヤは3.5~5.9barでした。低い空気圧(空気が抜けている状態)のまま乗ると、パンクしやすくなるといいます。

写真はCYLVA F24に装着されているタイヤ。タイヤの側面に適切な空気圧が書かれています。
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 確か自動車教習所でも「空気圧が低いと、タイヤがパンクしやすくなる」と習ったことがあります。でもなぜパンクしやすくなるんだっけ…。

 「空気が抜けたまま走ると、タイヤにかかる荷重によってタイヤの側面に撓み(たわみ)ができてしまいます。そのまま段差に乗り上げるとタイヤの内側に入っているチューブがタイヤとリム(ホイールの外周)にはさまれてチューブに穴が開いてしまうのです」(宮崎さん)

空気圧が低いとタイヤの側面に撓み(たわみ)が出てしまいます。この状態で段差に乗り上げるとタイヤのチューブが痛んでしまいます。
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 宮崎さんによると、空気圧が高い方がタイヤの接地面が小さくなり、効率的に走ることができるそうです。素人考えで、タイヤに目一杯空気が入っている方が荷重に耐えきれず、パーン!と勢いよく破裂してしまうのではないかと思っていましたが、決められた数値内ではそのような心配はないそうです。「タイヤに書かれている空気圧の範囲で、自分の好きな乗り心地を見つけてください」(宮崎さん)。

手軽にタイヤの空気圧が計れる自転車用タイヤゲージ(空気圧計)。乗り心地を確かめるのに重要なツール。
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*barとは…メートル法の圧力の単位の1つ。空気圧を表す単位はこのほかに、psi(pound per square inch:重量ポンド毎平方インチ)やkPa(キロパスカル)などがある。

メンテナンス2 チェーンの注油

 メカ音痴なサイクリストでも最低限やるべきメンテナンス、2つ目はチェーンの注油です。

宮崎さん「チェーンに油を差したことありますか?」

「ありません。油を差さなくてもママチャリは特に問題なく動いてますよ!」

宮崎さん「!!!」

 宮崎さんが驚いたことに内心驚く私。ママチャリを買ってから、いや、自転車に出会ってからこれまで、チェーンを気にしたことがありません…。

 チェーンは脚力を自転車に伝えるパーツのひとつで、サビや汚れは、その動きを邪魔してしまいます。「特に、雨の日や海沿い、砂埃の多い路面を走ると、チェーンの油が取れてしまうのでメンテナンスが必要です」と宮崎さんは強調します。

 注油の方法はさまざまあるそうですが、宮崎さんはペダルを逆回転させながらスプレータイプの機械油をチェーンのコマに差し、余分な油を古布でふき取る方法を教えてくれました。「チェーンを一周させれば十分ですよ。チェーンのつなぎ目を目安にペダルを回しながら、油を差していきます」(宮崎さん)。

1.機械油を差す
ペダルを逆回転させながら、コマの部分に油を差していきます。チェーンの継ぎ目を目安に一周させれば注油は十分。
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2.汚れと余分な油をふき取る
古布でチェーンを軽くはさみながらさらにペダルを逆回転させる。こちらもチェーンを1周させれば余分な油をふき取れるそうです。
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汚れと余計な油を取り除くと、こんなにきれいになりました。
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 ふき取った古布は泥と油汚れで真っ黒になり、チェーンに程よく油が残りました。「街乗りをする人であれば、月に1回ほどチェーンのメンテナンスをしてください」と宮崎さんはアドバイスしてくれました。さらに、注油が必要なタイミングはチェーンが回転する音でもわかるそうです。「ギシギシときしむような音がしていたら、注油が必要なサインです」(宮崎さん)。

 ちなみに、ママチャリでもチェーンに油を差すといいそうです。チェーンの油が衣服に着かないように、カバーが付いているものが多いのですが、カバーで覆われていない部分からチェーンに油を差し、古布でふき取ればOKとのこと。

 買ってから一度もメンテナンスをしたことが無い、私のママチャリのチェーンは油が完全に乾いて白くなっていました。宮崎さんに教えていただいた手順でチェーンに油を差してみると、輝きがよみがえり、若干キシキシしていた音がしなくなりました。

ママチャリでもカバーからチェーンが出ていれば注油することができるそうです。1回の注油でもチェーンの輝きがよみがえり、気になっていたきしみが直りました。
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 メカ音痴でもできるメンテナンス術を教えてもらいましたが、「走行中にこれまでに聞いたことがない異音がする、違和感がある場合には、専門店でのメンテナンスをお勧めします」(宮崎さん)。ちょっとした整備不良が事故につながることもあるそうです。油断は禁物!なのですね。

自転車5万3800円(税別)(CYLVA F24:ブリヂストンサイクル)

(写真:横川 誠)

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