上り始めると、サイクルコンピュータが表示する速度は低空飛行のまま…。しかし、ビンディングで足がペダルに固定されているので、そう簡単には自転車から降りることができません。「降りたいけど降りられない」という状態で、ノロノロと坂を上り切りました。
絹代さんのアドバイスもあり、脚の血流を良くするために履いたコンプレッションタイツのおかげで、脳貧血になることはありませんでした。おお、やった!
しかし、上り坂の疲れがてきめんに出てきた場面がありました。道に迷ってしまったときのこと、自転車を押して移動しなければならないときに、右足のビンディングが外れず自転車ごと転倒してしまったのです。倒れた瞬間に荷重がかかったのか、右のブラケット(ハンドルでレバーが付いている部分)が内側に大きく曲がってしまうという事態に…(驚)。「自転車、壊しちゃったかも」と肝を冷やしました。
応急処置として、絹代さんに協力してもらって腕力でハンドルを元の形に戻し、先に進みました。絹代さんに聞くと、シフトレバーやワイヤーなどに異常があると、自転車が制御できなくなることもあるので、スポーツバイクを扱っている専門店に持ち込み、点検してもらったほうがいいとのこと。
そんなアクシデントに見舞われながらも、総距離55.9kmを走り切り、ホノルルセンチュリーライド完走を目指しての追い込みを終えました。このときは「完走できそう、でも、完走できないかも」と、自信は半分くらいでした。
ハンドルが曲がってしまった自転車は、その後、近所のスポーツバイク専門店に持って行き、メンテナンスをしてもらいました。「ホノルルセンチュリーライドを走りに行くんですよ、仕事ですけどね」なんて、恥ずかしくておちゃらけて見せましたが、店員さんから「しっかり整備しますから、完走してきてくださいよ!」と励まされると、「頑張らなくちゃ」と気持ちが引き締まりました。
ホノルル行きが近づくにつれ、不安と緊張感が増しましたが、絹代さん、自転車の用具を借りたメーカーの担当者さんなど、本企画でお世話になった人々や編集部のみんな、家族からの「がんばって!」のエールに背中を押され、「完走できる自信はないけど、きっとなんとかなる!」と自分を鼓舞しながら、旅の支度を始めました。その後のセンチュリーライドの様子は別の記事で紹介した通りです(参照記事:「ホノルルセンチュリーライドに向け、いざ出発!」「ずぶ濡れライダー、センチュリーライドで落車」「11時間の泥だらけライドで手に入れた160kmのゴール」)。
これからも自転車を乗り続けます!

2014年10月以来続けてきたこの連載も、この回をもって終了します。今まで読んで応援してくださった皆さん、ありがとうございました。雨の中のライドや疲労感を残さない走り方など、まだ課題は残っているので、これからも私は自転車を趣味の一つとして続けたいと思います。この連載を通して、1人でも多くの人に自転車が興味を持ってもらえたら嬉しいです。
自転車:17万円(税別)(FELT ZW7)
ビンディングペダル・クリート:9500円(税別)(LOOK KEO クラシック2)
スポーツウォッチ:5万2000円(税別)(SUUNTO Ambit3 Sport HR Coral)
コンプレッションタイツ:1万8000円(税別)(アライメントライドロングタイツ)
固定ローラー:2万8600円(税込)(Minoura Quattro-C)
サイクルライフナビゲーター・健康管理士・自転車活用推進研究会理事・飯田市エコライフコーディネーター
