日経グッデイ

ママチャリライダーがセンチュリーライドを目指してみた

自分の体に合ったクロスバイクを選ぶ

試乗でわかった乗り心地の違い

 中西 奈美=日経Gooday

スポーツバイクでセンチュリーライドにチャレンジすることになった私。前回はアドバイザーの絹代さんにスポーツバイクの車種ごとの特徴について解説してもらい、「初めてのスポーツバイク」はクロスバイクに乗ることに決めましたが、問題は何を選ぶかです。

 知れば知るほど奥が深い、スポーツバイクの世界。自転車メーカーのウェブサイトを眺めたり、カタログを開いては、「乗るならどんなのがいいかな?」と、ワクワクしながらページをめくるようになりました。(前回の記事と絹代さんのプロフィールはこちらから)

 しかし、解説を見ると馴染みのない専門用語がズラリ。フレームサイズ? シートポスト?…これらの言葉の下に並んだ数値(サイズ)を見ても、一体どれを選べばいいのかよく分かりません。そこで今回は、自身もかつて自転車の選手だった、ブリヂストンサイクル(株)スポーツ車事業部マーケティング課の宮崎景涼(けいすけ)さんに、クロスバイクの選び方について教えていただきました。

適正身長を基準にパーツで微調整

今回、お話を聞いたブリヂストンサイクル スポーツ車事業部マーケティング課の宮崎景涼さん。「スポーツバイクを決める際は試乗がとても重要です」と強調します。

 クロスバイクのカタログに必ず書いてあるのが「フレームサイズ」。このフレームサイズとは、一般的にクロスバイクやロードバイクを構成している前輪側の三角形と後輪側の三角形に共通する辺(シートチューブ)の長さを表しています(写真1)。フレームサイズが大きい(シートチューブが長い)ということは、股下寸法が長い人=長身の人に適していることになります。また、フレームサイズが大きくなると自転車全体が大型に。メーカーによってはフレームサイズに合う、適正な身長が決められているものもあります。

 ママチャリは一般的にタイヤの直径(27インチなど)で大きさを表し、インチ数が大きくなると自転車も大きくなります。一方、クロスバイクはタイヤのサイズが統一(*1)されています。

 「まずは適正身長を基準に、シートポスト(サドルと自転車本体をつなぐ部分)でサドルの高さを調節したり、ステム(ハンドルと自転車本体をつなぐ部分)を上下させて微調整していきます」(宮崎さん)。腕や脚が長い・短いという個人差も、サドルやハンドルを合わせることでカバーできるのだとか。

写真1◎ 「フレームサイズ」とはどこのこと?
フレームサイズとはおおむね、シートチューブの長さを表しています。メーカーによって測り方が異なります。
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 最近は、通販でも手軽にスポーツバイクが買えるようになりました。けれど、「乗り慣れている人や自分でメンテナンスができる上級者を除いて、見た目だけでスポーツバイクを決めるのはお勧めできません」と宮崎さん。「自転車を専門に扱っているショップで相談しながら、実際に試乗し、調整をしてもらいながら決めると、自分の体に合った乗り心地の良い自転車に出会えますよ」(宮崎さん)

 ちなみに、より速く、より遠くまで走ることに特化したロードバイクは、オーダーメイドに近いそうです。腕や上体の長さなど、細かく体のサイズを計測してからフレームを決めていくようです。

*1 クロスバイクのホイールはほとんどが700C。Cとはフランス式のリム(ホイールの外周)と幅の規格。700Cは約28インチ。

フレームが小さいと窮屈、大きいと不安定!

 宮崎さんにご指導いただきながら、私も“自分に合う自転車”を選ぶことにしました。今回、ブリヂストンサイクルのCYLVA F24をベースに、フレームサイズの異なる自転車を試してみます。私の身長は158cm。いずれもペダルからサドルまでの高さは同じになるよう調整してもらいました。

 今回試したのはこの4つ。

フレームサイズ390mm420mm480mm540mm
適正身長139~154cm151~166cm163~178cm175~190cm

 390mmからどんどん大きいサイズに乗り換えていくと、自転車のフレームが大きくなるため、ハンドルが遠くなりました。それに伴い、ハンドル操作が不安定になっていきました。

  • 390mm:安心感がある。ペダルが最も高い位置(12時の位置)にくると、膝がハンドルにだいぶ近づく。
  • 420mm:姿勢に慣れていないので不安はあるが、こぎやすい。ハンドルをつかむと腕がまっすぐ伸びてハンドルとサドルに重さがうまく分散される感じ。
  • 480mm:乗れなくはないが、420mmに比べてハンドルが遠く、上体を深く倒す感じ。
  • 540mm:ハンドルが遠く、つかんだ手が自分の顏よりずいぶん前にいってしまい、不安定で怖い。

といった具合でした。写真で見ると次の通りです。

写真2◎ 390mmと540mmではこんなに違う!
390mm(左)では膝頭とハンドルの距離が近くなり、少し窮屈。540mmではハンドルの位置が遠く、腕が伸びきってしまっている。
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 ママチャリに乗り慣れているせいか、ハンドルが近い390mmが一番安心して乗れるような気がしました。そのことを話すと、「420mmが一番合っていますよ」と宮崎さん。ハンドルと膝が近いと脚が窮屈な状態が続き、疲れてしまうのだそうです。実際に420mmに乗った場合(写真3)、まだ姿勢には慣れていないものの窮屈な感じはなく、ハンドルと体をつなぐ腕にもゆとりがあり、ハンドル操作にも問題はありません。

写真3◎ 4つの大きさの中で最も私の体に合ったクロスバイク(420mm)
ハンドルとサドルの位置がちょうど良く、腕と上体で体重のバランスが取りやすい。
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軽い!速い!楽しい!でも、どう乗れば?

 「では、ちょっと乗ってみましょうか」と、宮崎さんはにっこり。ヘルメットをお借りし、敷地内を乗ってみることにしました。

自分に合った大きさのクロスバイクを選び、満面の笑みの私。

 チューブトップをまたぎ、ペダルに足をかけるとスッと前に進みます。ママチャリでは「よいしょ!」だったこぎ出しが、ウソみたいに軽い…。

 ママチャリに比べると目線が高く、遠くまで見えます。前傾姿勢をとると、お尻が軽くなり、ペダルを踏み込む力がそのままタイヤに伝わる感じがします。

 調子に乗ってさらにペダルを踏み込んでみると、グングン加速していきます。“風を切って走る”感じが気持ちイイ! 初めて自分が自転車に乗れるようになったときの楽しさに似ています。

 しかし、ハンドルを握る手に力が入っているのは、はたからでもわかるようで、「もっとリラックスしましょう」と宮崎さんから優しいアドバイス。

 実際に乗っていたのは10分程度なのに、ハンドルを握った手は赤く、ジンジンと痛みを感じました。自転車を降りた直後は「転ばなくてよかった」とホッと一安心。

*    *    *

 時間が経つにつれ、「また乗りたいなぁ」と、私はすっかりクロスバイクのトリコに。もっとうまく乗りこなすコツを絹代さんに教えていただくことにしました。

 次回はアドバイザーの絹代さんにクロスバイクの乗り方についてご指導いただきます。

(写真:横川 誠/取材協力:シクロパビリオン)