日経グッデイ

ママチャリライダーがセンチュリーライドを目指してみた

体力作りの自転車トレーニングで分かった3つの課題

アップダウンのコースで「ハンガーノック」「暑さ」に打ちのめされる

 中西奈美=日経Gooday

本企画で目標としている、ホノルルでのセンチュリーライド完走のためには、走り続ける体力が必要です。自分の心拍数を“見える化”し、体力作りに生かす方法を学んだので、今回は絹代さんと一緒にアップダウンの多いコースでトレーニングをすることに。真夏の暑さの下、走ることで、次に乗り越えなければならない自分の課題が見えてきました。

心拍計を着けて絹代さんと一緒に走ってみました
[画像のクリックで拡大表示]

 前回(「長距離ライドでも疲れない体を作るトレーニング法」)は、サイクルライフナビゲーターの絹代さんに、心拍数をベースにした体力底上げのための自転車の乗り方について教えてもらいました。

 「有酸素運動時の心拍数の範囲内で、スピードを上げて走れるようパフォーマンスを上げていきましょう。そのためにはまず、有酸素運動心拍数の範囲で乗る時間を増やして、体を慣らす必要があります。さらに、運動強度が上がっても耐えられるように、上り坂など少し頑張るシーンも入れてみましょう」(絹代さん)

 撮影の後の自主トレでは、心拍数も測定できる活動量計を使って、体への負荷を意識しながら、ロードバイクで走るようになりました。ただ、私が住んでいる場所の周辺は信号ばかりで止まることが多いうえ、家事と育児の合間に近場でトレーニングをしようとすると、2時間程度しかとれません。

 そこで今回は、思い切って自宅近辺から離れ、神奈川県北部にあるダム湖津久井湖を周回することに。 「アップダウンのある道は適度に体に負荷をかけるので、体力アップのいい方法になりますよ」と絹代さん。

 津久井湖の周辺は、プロの自転車選手もトレーニングのためにやってくるそう。偶然にも絹代さんのご主人(TEAM UKYO 畑中勇介選手)も津久井湖周辺でトレーニングをするということで、途中まで先導してくれることに。「遅れないようについていかなくちゃ!」と気持ちを奮い立たせ、自転車にまたがりました。

絹代さんと一緒にスタート直前、「がんばるぞ!」と気合を入れます。
スタート直前に「がんばるぞ!」と気合一発。この後、ダウンするなど思いもよりませんでした。
[画像のクリックで拡大表示]

暑さに体がついていかない…開始15分でバテる(涙)

 しかし、あろうことか、この日は関東地方に梅雨明け宣言が出た日。朝から雲ひとつない快晴で、走り始める頃には気温は30度を超えていたと思います。なんと最高気温の予報は34度…!?

 その前の週まで、最高気温が30度を超える日はなかった(むしろ涼しかった)ので、久しぶりの真夏日は私の体力を猛スピードで奪っていきます。情けないことに、スタートから15分しないうちに、緩やかな上り坂でダウンしてしまいました。

 息が上がって、気分が悪くなり、目の前がクラクラ…。学生の時に、脳貧血で倒れたときの感覚に似ています。「このまま走り続けたら倒れてしまうかも」と、本能が危険信号を察知したので、車道の左端で減速し自転車を降りました。とにかく座りたい。頭を低い位置にして、息を整えたい…。絹代さん、カメラマンに気遣いなんてできる状態でなくなっていました。もう、最悪です。

 「暑さに体が慣れていないところに、ハイペースで走ったので、血の巡りが悪くなったのかもしれませんね」と絹代さんは心配そうに声をかけてくれました。あぁ、本当にすみません。

スタートから15分…上り坂の途中でふらふらになったところ
スタートから15分…上り坂の途中でふらふらに。このまま続けられるのでしょうか。
[画像のクリックで拡大表示]

 10分ほど休むと、息も整いなんとか立ち上がれるように。よかった…。とはいえ、まだヨレヨレの状態。でも、今日のロケをこれで終わりにするわけにはいかない!と、自動販売機のある場所まで移動して、冷えたスポーツドリンクで水分補給していると、お腹が空いたような感覚に襲われました。そこで、サドルバッグに入れてあった大好物の羊羹を口にすると、ようやくカラダが復活してきました。

10分ほど休み、冷たいスポーツドリンクと羊羹で復活!
10分ほど休み、冷たいスポーツドリンクと羊羹で復活!
[画像のクリックで拡大表示]

 気を取り直して、再出発です。意外にも羊羹が効いたような気がします。さっきのはもしかして、ハンガーノックだったのかも? その後、同じようなことが起こることはありませんでした。

しっかり休んだら、再び炎天下を走ります。
しっかり休んだら、再び炎天下を走ります。
[画像のクリックで拡大表示]

苦手な上り坂、息苦しくなり自転車を何度も降りる

 トレーニング開始後早々、自分のダメっぷりをさらしてしまい、絹代さんにも「今日は走る距離を短くしましょうか」と、気を使わせてしまった私。傾斜3〜10%のアップダウンのコースに入ると、「なんとか名誉を挽回しなくちゃ!」と気を引き締め直しました。しかし…、上り坂は大の苦手。これまでも何度も、打ちのめされてきた坂道(参考記事:「追い風が吹いた! 50kmのサイクリングでクロスバイクを卒業」「転んで、濡れて、走り切った20km」)に、そうたやすく打ち勝てるはずがありません。

 2つ、3つ上り坂が続くと、息が上がって、ペダルを回せなくなっていきます。すると、「自転車に乗っているより、降りて押した方が早いんじゃない!?」と、自分の中の“弱気の虫”が騒ぎ出して、自転車を降りてしまう…ということが何回か続きました。脚の筋肉が疲れてダウンというより、息苦しさで運動が続けられないという状況です。

ペダルを踏んでも進んでいかない、上り坂は苦手。
ペダルを踏んでも進んでいかない、上り坂はやっぱり苦手…(涙)
[画像のクリックで拡大表示]

 下り坂の加速を利用して、登坂に反動をつけても次第にスピードは落ち、自分の貧脚ではもう前に進めない…。活動量計を見ると心拍数は170(回/分)を超えていました。

 自転車で上るのを諦めて、ロードバイクを引いてとぼとぼと歩いていると、「大丈夫!?」と軽トラックに乗った地元の人が声をかけてくれました。聞くと、私のようにダウンしている人がたまにいるのだとか。「これを食べると元気が出るよ!」とお手製の梅干しを差し入れてくれました。嬉しい…。 ありがとうございます!

上り坂の途中でダウンしている私を心配して、通りかかった地元の方が梅干しを差し入れてくれました。
上り坂の途中でダウンしている私を心配して、通りかかった地元の方が梅干しを差し入れてくれました。
[画像のクリックで拡大表示]

下り坂でも休んではダメ! ペダルを回し続けて心拍数を維持

 そんな中、絹代さんは「下り坂では、ギアを少し重くしてペダルをクルクル回してくださいね」とアドバイスしてくれました。というのも、今回の目標は体力の底上げ。位置エネルギーだけで進める下り坂では、私は脚や体を休めるために、ペダルを止めてラクをしていたのですが、ペダルを回さないと心拍数はおのずと下がり、体力強化には繋がらなくなるからです。

上り坂では息も絶え絶え。もう、なりふり構っている余裕はありません!
上り坂では息も絶え絶え。もう、なりふり構っている余裕はありません!
[画像のクリックで拡大表示]

 途中、牧場に寄って休憩したり、自転車乗りに有名なパン工場で遅い昼食を取ったりしながら、アップダウンありの約35kmをなんとか走り切りました。終始、上り坂ではバテてばかりでしたけど。

この日挑んだアップダウン。
この日挑んだアップダウン。このうち、自転車を降りずに上り切った坂はいくつあったのだろう…(走行記録管理アプリ「Strava」で記録)。
[画像のクリックで拡大表示]
自転車乗りに有名な「オギノパン」で、高校生女子の集団に遭遇。
自転車乗りに有名な「オギノパン」で、高校生女子の集団に遭遇。「暑いけど、お互い頑張りましょう!」と声を掛けあい、元気をもらいました。
[画像のクリックで拡大表示]

 さて、今回のトレーニングで明らかになった私の課題は次の3つ。

  • 暑い中、走ることに慣れる
  • 長時間運動を続けることに慣れる
  • 上り坂では軽いギアで回し、自転車を降りて押さずとも走れるようになる

 仕事をしながらの限られたトレーニング時間だと、これらの課題を短期間で克服するのはなかなか大変ですが、そういう人のトレーニングにぴったりと絹代さんが教えてくれたローラー台(*)を活用して、乗り越えていきたいと思います。

*ローラー台とは、自転車のタイヤに金属製または樹脂製のローラーをあてて負荷をかけてトレーニングするための機器。室内でもトレーニングすることができる。

センチュリーライドの前哨戦で100kmを走りたい

 この企画で目指すゴールは9月末に行われるホノルルセンチュリーライドの完走です。でも、いきなり160km(100マイル)を走るのは無謀かも…との心配がありました。センチュリーライドの前に、自分の実力を知っておくため、7月下旬に行われる100kmのロングライドに出てみたいと絹代さんと相談していました。

 晴れたら真夏日の中、5時間以上は走り続けないといけません。それよりはるかに短い35kmでこんな調子なのに、100kmもの距離を無事に走り切れるのか…。不安がよぎりますが、「ロングライドを完走できたら、センチュリーライドへの自信になりますよ」と絹代さん。近いうちに、100kmのロングライドに挑戦した様子をお伝えします。

自転車:17万円(税別)(FELT ZW7

(写真:横川 誠)

絹代(きぬよ)さん
サイクルライフナビゲーター・健康管理士・自転車活用推進研究会理事・飯田市エコライフコーディネーター
絹代(きぬよ) 1975年横浜市生まれ。東京大学農学部卒業後、国際協力事業団(JICA)勤務を経て、英国大学院で身体運動と栄養について学ぶ。自転車ロードレースの実業団、日本代表の広報スタッフも経験。現在は雑誌、TV、ラジオなどのメディア、各種イベントで、MCや、自転車フィットネスの提案を行うなど、自転車を軸に健康、美容、エコのフィールドで活躍中。また、自転車を使った町おこしや、女性のためのイベント、子ども自転車教室のスタッフも務めるなど、自転車の活用や普及、啓発のためにも積極的に活動している。近著に『チャリーナのための自転車BOOK』(幻冬舎エデュケーション)『自転車でカラダとココロのシェイプアップ』『自転車と旅しよう!』など(ともに枻出版社)がある。