心拍数の変化で体の状態を客観的に知る
まず、気になるのが自分の今の実力です。スポーツバイクに乗り始めたばかりの頃より、速く遠くまで走れるようになってきました。…ということは、だいぶ体力がついてきたような気がします。ただ、本当に100マイルを走り切れるのでしょうか。
自転車に乗っていると、「今日は楽にたくさん走れた!」などと感じることがあります。そのような感覚は、体にかかっている負荷を知る上で参考になりますが、数値化することはできません。「より客観的に自分の体の状態を知るには、心拍数が一つの目安になりますよ」と絹代さん。

心拍数とは、1分間にドキドキ(拍動)する回数のこと。運動すると全身に酸素を行き渡らせようと、心拍数が上がります。心臓から送り出される血液が多ければ、さほど回数を増やさなくてもいいのですが、少ないとたくさん拍動しないといけません。
「実は、多くのスポーツで、今自分が行っている運動の強度、つまり体にどのくらい負荷がかかっているかを知る目安として心拍数が活用されています」(絹代さん)
運動強度は、「安静時を基準に、運動中にどのくらい心拍数が増えているか」で表します。具体的には、起床直後など、呼吸をしている以外何もしていない状態で測った「安静時心拍数」を運動強度0%、運動中の「最大心拍数」を100%としたときにどのくらいのレベルになるかで表し、一般的に運動強度が50~70%だと有酸素運動、70%以上だと無酸素運動とされています。
「運動強度が50~70%レベルだと、主に脂肪が酸素とともに消費されます。ところが70%を越える辺りから、体内で酸素の供給が追いつかなくなり、無酸素運動と呼ばれる、酸素を使わずに体内(血液中、肝臓内、筋肉内)の糖質(グリコーゲン)を分解しながら筋収縮のエネルギーを生み出す運動に切り替わっていきます」(絹代さん)
こうした知識を基に、有酸素運動や無酸素運動をしているときの自分の心拍数がそれぞれどのくらいになるかをあらかじめ計算し、その数値を目安に運動強度をコントロールしながら自転車に乗ることで、効率よくトレーニングができると絹代さんは言います。
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