日経グッデイ

ママチャリライダーがセンチュリーライドを目指してみた

追い風が吹いた! 50kmのサイクリングでクロスバイクを卒業

ジグザグ上りで坂道にリベンジ

 中西奈美=日経Gooday

本企画のスタートとともに、クロスバイクに乗り始めてから半年が経ちました。初めは高いトップチューブに面喰い、乗り降りのたびに緊張していましたが、すっかりクロスバイクの取り回しにも慣れて走れる距離も伸びてきました。今回はアドバイザーをお願いしているサイクルライフナビゲーターの絹代さんに誘われて参加した、サイクリングツアーの模様をお伝えします。

 週末の早朝ライドがすっかり習慣になり、相棒のクロスバイク(CYLVA F24)と時間があれば20kmほど走っています。しかし、都内の道は朝とはいえ交通量が多く、信号で足止めを食らうため、「走りづらい」と思うことがしばしば。もっと自転車で思い切り走りたいことを絹代さんに相談すると、乗り慣れた自転車を連れて参加できるサイクルイベントを紹介してもらいました。

自転車ごとバスで移動するツアーに初参加

 絹代さんからお誘いを受けたライドは、4月18日、国際興業トラベル主催の「絹代さんと一緒に走ろう! 桜川の山桜&真壁の街並みサイクリング」(参加費:税込1万3800円)。つくば市を出発し、自転車用に整備されたつくばりんりんロードを北上。山桜や八重桜を鑑賞したり、真壁の街並みを散策しながら、ゴールの桜川市を目指すというもの。イベント内で走る距離は予定では47kmです。

 つくばりんりんロードは、1987年に廃線になった筑波鉄道の軌道を利用して作られたサイクリングロードです(正式名称は桜川土浦自転車道)。起伏やカーブが少なく、日本でも有数の“走りやすい”自転車道といわれています。

サイバスツアー行程表
[画像のクリックで拡大表示]
サイバスツアー地図
つくば市のスタート地点(旧筑波鉄道の筑波駅)からつくばりんりんロードを北上し、桜川市の岩瀬駅を目指します。走行距離は47kmです。(イベントパンフレットより)
[画像のクリックで拡大表示]

 このツアーの目玉の一つは、観光バスの低層部分を、自転車が乗せられるように改造したサイクリングバス。都内の集合場所まで参加者が自ら自転車を運んできた後、バスに積み込んで目的地まで運んでもらいます。「自分の乗り慣れた自転車を専門スタッフが積んで行ってくれるので、自家用車がない人でも自分の自転車で参加できますよ」と、絹代さんが勧めてくれました。

 そう、わが家は車を所有していないので、週末のライドはもっぱら自宅を起点にしたルートばかり…。そのことを少し残念に思っていたので、サイクリングバスを使ったイベントを絹代さんから教えてもらったときには、思わず身を乗り出していました。

 自宅から集合(解散)場所まで往復する距離を加えると、イベント当日の総距離は50km、早朝ライドの2.5倍の距離になります。でも、最近は体力がついてきている感じがしていたので、自分がどのくらい今、走れるのかを知るのにいい機会。しかも、「50km完走できたら、自信になりますよ! クロスバイクの卒業イベントにいいかもしれませんね」と、絹代さんから背中を押してもらい、参加を決めました。

 なにせ、センチュリーライドを走破するには、車体がより軽く、長距離走るのに向いたロードバイクにいずれ乗り換えることになっています(注:クロスバイクでセンチュリーライドを完走する人は大勢います)。「ホノルルセンチュリーライドにエントリーするなら、残された時間は5カ月しかないので、そろそろロードバイクに乗り換えておいた方がいいですよ」との絹代さんからのアドバイスもあったので、「このイベントで『50km完走』という思い出を作ってクロスバイクを卒業しよう!」と決意し、準備を進めました。

はじめての輪行スタイルに右往左往

 さて、当日は朝5時には自宅を後にしました。東京駅近くの集合場所まで、6kmほどの道のりをクロスバイクで移動しなければなりません。途中、曲がる交差点を間違えてしまい、通行人のいないオフィス街で迷子になりながらも、集合時間の6時10分には集合場所にたどり着きました。

 そこではすでに10人ほどが、乗車の準備を始めていました。自転車を毛布の上に置いて、何か作業をしています。

前輪と後輪を外したCYLVA F24/サイバスツアー
前輪と後輪を外した状態でバスに乗せます。ここまでするのに一苦労…。
[画像のクリックで拡大表示]

 「げっ!!!」。一瞬凍りつきました。なんと、前輪と後輪を外しているではありませんか。メカ音痴の私が、これまで「できればやりたくないな…」と避けていた“輪行(りんこう)”と同じスタイルです。

 輪行とは、公共交通機関を使用して自転車を運ぶこと。自転車を折りたたんだり、ホイールを外して、専有面積を小さくしてから乗り込むのが基本です。クロスバイクやロードバイクは、車輪とフレームに分解したものを、専用の袋に入れて運びます。

 以前、絹代さんにチューブ交換について教えてもらった時(「クロスバイクのチューブ交換、習うより慣れよ!」)に、ホイールの外し方も習ったのに、その日以来、ホイールを外したことはありませんでした。復習を怠った自分を反省。

 なんとか記憶をたどり、同行のカメラマンさんに手伝ってもらいながら、前輪と後輪を外し、積み込む形にすることができました。作業の途中、私たちが手間取っていると、このイベントに同行するサイクルサポーターと呼ばれる、自転車のメカニックに詳しい男性が「大丈夫ですか」と声をかけてくれました。

 準備ができた人から、バスのトランク部分に自転車を積み込んでいきます。サイクルサポーターがリアフォーク(後輪を接合させる部分)を専用の器具で固定していきます。車体を一つひとつ毛布で覆って、傷がつかないよう配慮もバッチリです。

バスの乗せた様子/サイバスツアー
[画像のクリックで拡大表示]
自転車には一つひとつ毛布を掛けてくれます/サイバスツアー
[画像のクリックで拡大表示]
リアフォーク(後輪を接合させる部分)を専用の器具で固定(左)。参加者全員の自転車を積んだところ(右)。

 途中、高速道路で休憩をはさんで、参加者全員でビデオを見ながら当日のコースをおさらいしました。イベントのゲストである絹代さんもマイクを持って、参加者の気持ちを盛り上げつつ、「走行中、並走しないこと」「減速するときや止まるときは手信号をすること」など、注意点を説明します。

バス内でアナウンスする絹代さん/サイバスツアー
イベントのゲストである絹代さん。参加者の気持ちを盛り上げながら、走行時の注意点を説明します。
[画像のクリックで拡大表示]

25人が1列になっていざ、りんりんロードへ

 午前10時ごろ、一行はつくば市のスタート地点(旧筑波鉄道の筑波駅)に到着。バスからサイクルサポーターが一台ずつ自転車を丁寧に下ろしてくれました。車体と前輪・後輪が揃った人から、自転車を組み立てていきます。

 私も見よう見まねでホイールを装着。しかし、ブレーキなどの微調整はサイクルサポーターにお願いしました。前輪のブレーキが“片効き状態”(片側のゴムでしかタイヤが押さえられないこと)になっていたので、仕上げの調整をしてもらい完成です。

 全員の準備ができたところで、記念写真を撮り、走るルート(この日は時間が押してしまったため、つくし湖に寄らないことになりました)の最終確認です。今回は、絹代さんを含め全25人の参加者が1列で走っていくと聞いて、「遅れて、みんなに迷惑をかけないようにしなくちゃ」と、気合いが入ります。さぁ、出発です。

参加者全員で記念撮影/サイバスツアー
出発前に参加者全員で記念撮影。
[画像のクリックで拡大表示]
最終ミーティング/サイバスツアー
ルートの最終確認をします。
[画像のクリックで拡大表示]

 つくばりんりんロードは踏み切りの名残で、細い車道といくつも交差していますが、自動車と遭遇することがないだけでなく、信号がほとんどないことに驚きました。少し強めの追い風も味方して、どんどんスピードが上がっていきます。都内では平均時速10㎞程度でしか走れないのに、りんりんロードでは時速20km程度(絹代さんの自転車に搭載されていた計器による)で走ることができました。

クロスバイク/サイバスツアー
[画像のクリックで拡大表示]
クロスバイク/サイバスツアー
[画像のクリックで拡大表示]

初めて、前のギアを大きいものに切り変えた

 「遅れないように」と必死にペダルをこいでいると、同行した先輩ライダーたちから声をかけてもらいました。中でも多かったのは、ギアに関する指摘。

「ペダルが空回りしてるみたい。もう少しギアを重くしてみては?」

「坂道を走るには、もっとギアを軽くするとラクだよ」

 絹代さんからも、長距離をラクに走るために、これまで操作したことがなかった、前のギアを大きい(ギアの歯数が多い)方に変えて走ってみるようにアドバイスをもらいました。ペダルからの駆動力が直接伝わる、前のギアを大きい方に変えるとペダリングは重くなりますが、ペダル1回転あたりの進む距離が長くなり効率的になります。

 左手のシフトレバーを、力を込めて「ガチャッ」と入れ替えると、確かに走り始めは力が必要ですが、変える前より一漕ぎで進む距離が長くなりました。

クロスバイク/サイバスツアー
ギアの使い方を試行錯誤してみましたが…まだコツがつかめません。
[画像のクリックで拡大表示]

 しかし、まだ坂道をスムーズに上り切るためのギアチェンジは苦手。コースの途中、さほど勾配がきつくない坂道で、重たいギアのまま気合だけで上り切ったり、坂道の途中で後のギアを軽くしてみたり、試行錯誤してみますが、まだコツがうまくつかめません。そうこうしているうちに…。

 なんと、コースの終盤に、10%の勾配がある大きな坂が待っていました。昨年秋、20㎞のポタリングに参加した時に、坂道で転んでひざを擦りむいたときのことが頭をよぎります(「転んで、濡れて、走り切った20km」)。「もうこれ以上進めないと思ったら、すぐに自転車を降りよう」と、私は心に決めて坂に挑みました。

 20メートル近く助走をつけて坂を上り始めますが、坂の真ん中あたりでペダルを踏み込んでも進まなくなってきた…。でもまだ諦めたくない。仕方なくハンドルを左右に切って、ジグザグに上ります。思わず「うおーっ」「それーっ」などと声を出しながら、なんとか自転車から降りずに坂を上りきりました。

クロスバイク/サイバスツアー
[画像のクリックで拡大表示]
クロスバイク/サイバスツアー
[画像のクリックで拡大表示]
坂道にチャレンジ! ジグザグ上りで何とか頂上まで行った私(左)に対し、絹代さんは余裕の笑顔(右)。

 坂のてっぺんで、息を調えていると後ろから絹代さんが余裕の表情で、坂を上ってきました。悪戦苦闘の末、上り切った私を見て「前回より進歩しましたね!」とお褒めの言葉をいただきましたが、私は肩で息をしているなんとも恥ずかしい姿…。

どっしり座ってしまったため、お尻が痛い…

 急な上り坂の後は長い下り坂が続き、そこで勢いがつきましたが、ふくらはぎに疲れが溜まってきた自覚がありました。疲れからサドルにどっしりと座ってしまったため、上半身の体重を支えてきたおしりが痛くなってきました。しかも、いつものリュックサックにPCを入れていたので、その分の重量もあり…。おしりが痛いのを我慢しながら、ゴールのJR岩佐駅に到着。行きに乗車したバスが参加者を待っていました。

ゴール地点でガッツポーズ/サイバスツアー
ゴール地点の駐輪スペースでガッツポーズ。
[画像のクリックで拡大表示]

 トータルで43kmのコースを無事完走です。出発から5時間半が経っていました。行きと同じく、前輪・後輪を外してサイクルサポーターに預けたら、全員で帰路につきました。ホイールを外すのも2回目となると、行きよりもなんとなくスムーズに外せるように。

 帰宅後は絹代さんに教えてもらったマッサージ(「ライドで疲れた脚はマッサージでほぐそう」)を念入りに行いました。イベントの途中からパンパンに張ってしまったふくらはぎですが、翌日に持ち越すこともなく、一安心。ただ、おしりの痛みは1週間ほど続き、椅子に腰をかけるたびに座面がじーんと響きました。

 今回のイベントは思い切り走ることができ、これまで街中では信号などで止まることが多かった相棒とのいい「卒業記念」になったことは間違いありません。しかも、これから挑戦するロードバイクを乗りこなしている人を間近で見て、「自分もあんな風に乗りこなしたいな」と、再びやる気が湧いてきました。

疲れた体を癒してくれたおやつと食事

 今回のツアーは、茨城県と桜川市が協力してくれたこともあり、イベントの途中で、地元ならではのお菓子や食事などが提供されました。あんこがたっぷり入った黄金屋の「自慢焼」(今川焼)や、日本酒の老舗、花の井酒造の酒の仕込み水は、疲れた体に効果てきめんでした。

あんこがたっぷり入った黄金屋の「自慢焼」(今川焼)/サイバスツアー
あんこがたっぷり入った黄金屋の「自慢焼」(今川焼)。
[画像のクリックで拡大表示]
花の井酒造では酒の仕込み水/サイバスツアー
日本酒の老舗、花の井酒造では酒の仕込み水が提供されました。
[画像のクリックで拡大表示]

 また、建物が登録文化財の伊勢谷旅館では、地元の名産品を使った昼食がふるまわれました。温かい汁物を口にすると、参加者は「はぁ~」と各々、ライドの疲れを癒していました。

伊勢谷旅館でふるまわれた昼食/サイバスツアー
伊勢谷旅館でふるまわれた昼食。地元の食材をふんだんに使った体にやさしいメニューでした。
[画像のクリックで拡大表示]

取材協力:国際興業トラベル

自転車5万3800円(税別)(CYLVA F24:ブリヂストンサイクル)

(写真:横川 誠)

絹代(きぬよ)さん
サイクルライフナビゲーター・健康管理士・自転車活用推進研究会理事・飯田市エコライフコーディネーター
絹代(きぬよ) 1975年横浜市生まれ。東京大学農学部卒業後、国際協力事業団(JICA)勤務を経て、英国大学院で身体運動と栄養について学ぶ。自転車ロードレースの実業団、日本代表の広報スタッフも経験。現在は雑誌、TV、ラジオなどのメディア、各種イベントで、MCや、自転車フィットネスの提案を行うなど、自転車を軸に健康、美容、エコのフィールドで活躍中。また、自転車を使った町おこしや、女性のためのイベント、子ども自転車教室のスタッフも務めるなど、自転車の活用や普及、啓発のためにも積極的に活動している。近著に『チャリーナのための自転車BOOK』(幻冬舎エデュケーション)『自転車でカラダとココロのシェイプアップ』『自転車と旅しよう!』など(ともに枻出版社)がある。