「自転車のペダルはひたすら踏み込むもの」。そう思っていた私が、引き足の力をうまく使うために、ビンディングペダルに挑戦することになりました。靴がペダルに固定されるビンディングは、いかにも自転車上級者のイメージ。緊急時にスムーズに解除できるだろうか? など、初めてのビンディングは不安だらけです。
ある日の午後―。
「Mちゃん! ペダル踏んで! こいで!!」
5歳になる娘は今、自転車の補助輪を外す特訓中です。足をペダルに乗せてから、ハンドルをしっかり握ってペダルを踏み込むよう、私は横を走りながら声をかけます。娘は、何度も足を地面につきながらも、必死にペダルをこいでバランスを取ろうと奮闘しています。
自転車のペダルは左右交互に“踏み込んで”進む。怖いと思ったら“すぐにペダルから足を外して”地面につける。そう、これは、小さい頃から体に染みついている動作なんだよなぁ…。
娘の後姿を見ながら、ふとそんなことを思いました。
しかしビンディングは、体が覚えているそれらの行動の延長線上では操作できません。そもそもが、靴とペダルを固定し、引き足(ペダルを1番下の位置から上まで引き上げるときの力)を使って効率よくペダルを回転させるためのもので、効率の良い走りを実現する上では強い味方になってくれます。ただ、いざ乗ろうと思うと、足がペダルに固定されてしまうことに、どうしても恐怖が先立ちます。
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