日経グッデイ

ママチャリライダーがセンチュリーライドを目指してみた

愛車も私もパワーアップ! ビンディングペダルに挑戦

ペダルを引き上げる力も有効に使う

 中西奈美=日経Gooday

 毎週末、相棒のクロスバイクとの朝の遠出がすっかり習慣となりました。ウォーミングアップで心も体も“乗るモード”に早変わり。ペダルをこぎ始めますが、後続の自転車に追い抜かされ、自分が思うほどよく走れていないことを実感…。今回は効率よく自転車で走るためのコツについて絹代さんに聞きました。

自転車に乗る前にウォーミングアップとストレッチを行うとケガの予防になります。
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 前回の記事(「ケガ予防にも効くサイクリング前のウォーミングアップ」)では自転車に乗るためのウォーミングアップとストレッチについて絹代さんに教えてもらいました。朝、起きがけにウォーミングアップをしてから自転車に乗ると、体の目覚めが早く、「運動するぞ!」というモードへ切り替わります。家の中で体を軽く動かしておけば、外の寒さはへっちゃらになりました。

 クロスバイクの取り回しにも慣れ、次に気になってきたのは、効率よく走る方法です。

 重量30キロのママチャリに比べたら、愛車(CYLVA F24)自体はとても軽く走りやすいのですが、思ったよりスピードが出ません。後ろから走ってきた自転車に抜かされることもしばしば…。途中信号で止まったりしますが、1時間で進める距離は10km程度です。

踏み込むペダリングではなく、クルクル回す

 絹代さんにクロスバイクで思うようなスピードで走れていないことを相談してみました。

 「自分ではペダルを必死でこいでいるつもりですが、疲れる割に進んでいないような気がします…。ペダリングのコツはありますか?」

絹代さん 「もしかして、重いギアで走っていませんか? ペダルは軽いギアでクルクルとリズミカルに回すと良いですよ。さらに脚の血液やリンパの流れが良くなって、美脚効果も狙えます」

 「え!? 今まで、少し重めのギアでペダルを踏み込んで走るのが良いのかと思っていました…」

 絹代さんによると、脚の筋肉に負荷をかけるような乗り方は、疲れてしまい効率が良くないとのこと。電動アシスト付きのママチャリでは、ペダルに負荷がかからないとアシストされないので、ペダルを踏み込む乗り方が染み付いていました。

絹代さん 「あくまでも目安ですが、1分間当たり90回転ぐらいをキープすると、筋肉と心臓への負担のバランスが適度だと言われています」

 「乗っている間に回転数を数えるのは難しいですね」

絹代さん 「回転数でなく、テンポで覚えるといいと思いますよ。例えば、AKB48の“ヘビーローテーション”のテンポに合わせて、1拍で半回転ペダルを回すと、90回転に近くなります(*)」

 「それは覚えやすいですね! ギアもそれに合わせて変えていくと良さそう…」

絹代さん 「そうです。例えば坂道では、入る前にギアを変えて、回転数が下がっても70〜80くらいでキープするくらいの気持ちで乗るといいですよ」

*曲のテンポがBPM(Beats Per Minute:1分間における拍数)180に近い曲に合わせてペダルを回すと、90回転に近づく計算です。車輪に取り付けて回転数を計測する機器もありますが、初心者には機器の取り付けは難しく、テンポで覚える方が分かりやすいようです。

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こいでいる割にはなかなか進んでいないような気がします。後続自転車から抜かれることがよくあります。

ペダルに足を固定して走ってみる!?

 さらに絹代さんは続けます。

絹代さん 「ペダリングの効率を良くするにはビンディングがオススメです。クロスバイクの扱いにも慣れてきたみたいですし、そろそろビンディングを付けてみましょうか」

 「!!!!」

 ビンディング(正しくはビンディングペダル)とは、シューズの裏底とペダルを固定する器具のことです。クリートと呼ばれる金属や樹脂でできた接合器具が装着されたビンディングシューズを履き、通常のべダルを専用のビンディングペダルに交換したうえで使います。

ビンディングペダルには、シューズと接合するための金具が付いています。
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 以前、スイーツライド(「転んで、濡れて、走り切った20km」)で一緒に走った仲間の中に、ビンディングを使っている人がいたのを思い出しました。ビンディングシューズを履いていると、いかにも「自転車を乗りこなしています☆」という雰囲気になり、初心者にとってはまさに憧れ…。ビンディングは上級者が使うものだと思っていたので、絹代さんの提案にびっくり仰天! そして同時に、

 「自転車のペダルに足が固定されちゃったら、転んだ時に大惨事にならない?」

 「とっさの時でもすぐに外せる?」

 …と不安で頭がいっぱいに。使いこなせる自信がない…。

引き足を使って効率よく走る

 「ビンディングを使う1番のメリットは引き足を使えることです。引き足とは、ペダルを1番下の位置から上まで引き上げるときの力のことをいいます。通常のフラットペダルでは、“左右交互にペダルを踏む力”で自転車が進みますが、ビンディングペダルなら、ペダルに足が固定されているので、踏む力に加えて、引き上げる力も使えるのです。こぐ力を効率よく走る速さに換えてくれるのがビンディングペダルの最大のメリットでしょう。特に上り坂や長時間のライディングではその効果が実感できますよ」(絹代さん)

 今回からシマノの協力で、SHIMANO CLICK’Rのビンディングペダル(PD-T420)とシューズ(SH-CW41P)をお借りすることになりました。ビンディングの中でもSPD(シマノ・ペダリング・ダイナミクス)は、初心者でも扱いやすく、シューズのソールにクリートが収まっているので、自転車を降りているときに歩きやすいのが特徴です。

クリート(接合させる部分)が靴底に収まっているので、歩いているときの履き心地はスニーカーと同じです。
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ビンディング(SPD)の使い方

1.右足を接合させる

 自転車のフレームにまたがった状態で、右のペダルの金具にシューズの裏底のクリートがつくよう右足を乗せる。真上からペダルを踏み込み、カチッと音がしたらOK。

ペダルの金具とシューズのクリートを合わせて、ペダルを真上から踏み込むとカチッと音がして接合完了です。
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接合されたところ。シューズにペダルがぴったりくっついています。
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2.自転車を漕ぎ出し、左足を接合させる

 左足でペダルを踏み込む、あるいは右足の引き足を使って走り出す。バランスが安定したらサドルに腰をかけ、左足のビンディングを接合させる。右と同じように真上から力をかける。

3.外すときはかかとを外側にねじるように

 外すときはつま先は動かさず、かかとを外側に(右足は右側に、左足は左側に)ねじるように向けるとカチッと音がして外れる。

外すときはつま先を動かさず、かかとを外側にずらします。
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*絹代さんからのアドバイス*

 車のいない、安全な場所で付け外しの練習をしましょう。目標は足元を見なくても付け外しができるようになること。

 また、シューズは自分の足の大きさに合ったサイズを選びましょう。クリートの位置は調節できますが、靴が大きすぎて内側で足が遊んでしまうと、せっかく接合しても脚の力が伝わりきらなくなってしまいます。

 絹代さんに教えてもらい、ビンディングの扱い方は頭に入りましたが、まだ不安でいっぱい。これまでのように「案ずるより産むがやすし」となるのでしょうか!? ビンディングを使ったサイクリングは次回以降にレポートしたいと思います。

自転車5万3800円(税別)(CYLVA F24:ブリヂストンサイクル)

(写真:横川誠)

絹代(きぬよ)さん
サイクルライフナビゲーター・健康管理士・自転車活用推進研究会理事・飯田市エコライフコーディネーター
絹代(きぬよ) 1975年横浜市生まれ。東京大学農学部卒業後、国際協力事業団(JICA)勤務を経て、英国大学院で身体運動と栄養について学ぶ。自転車ロードレースの実業団、日本代表の広報スタッフも経験。現在は雑誌、TV、ラジオなどのメディア、各種イベントで、MCや、自転車フィットネスの提案を行うなど、自転車を軸に健康、美容、エコのフィールドで活躍中。また、自転車を使った町おこしや、女性のためのイベント、子ども自転車教室のスタッフも務めるなど、自転車の活用や普及、啓発のためにも積極的に活動している。近著に『チャリーナのための自転車BOOK』(幻冬舎エデュケーション)『自転車でカラダとココロのシェイプアップ』『自転車と旅しよう!』など(ともに枻出版社)がある。
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