日経グッデイ

ママチャリライダーがセンチュリーライドを目指してみた

ケガ予防にも効くサイクリング前のウォーミングアップ

“エンジン”となる下半身、凝りがちな肩周りのストレッチを

 中西奈美=日経Gooday

公道を走って、自転車で出掛ける距離がだんだんと伸びてきました。まだケガはないけれど、自分の体もメンテナンスしないといけない?と、ふと心配に。そこで今回は、自転車に乗る上で有効なウォーミングアップとストレッチについて、教えてもらうことにしました。

初めてのチューブ交換では、チューブの入れ方に手間取ってしまいました。
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 前回の記事(「クロスバイクのチューブ交換、習うより慣れよ!」)では、トラブルの対処法として、本企画でアドバイザーをお願いしているサイクルライフナビゲーターの絹代さんにチューブ交換の方法を教えてもらいました。幸いにもまだ交換する場面には遭遇していません。

 天気の良い週末は、朝早く起きて独りで、自転車に乗るようにしています(眠気に負けて、できない日もありますが…)。片道10キロくらいなら、ゆっくりですが、往復は苦でなくなってきました。朝の道は、交通量も少なく快適に走れます。

 ある日曜の朝、自転車を自宅の駐輪場にしまいながらふと不安になりました。「準備運動もしないで、いきなり自転車に乗ってるけど、やらなくていいのかな?」

 そう、「いってきまーす」と自転車にまたがった後は序盤から本気で走っていたのです。これまで特に、自転車に乗った後に激しい筋肉痛になったり、不調を感じることはありませんでしたが、こんな乗り方でいいのかしら…。

ウォーミングアップで体を温め、筋肉を伸ばしていく

 絹代さんに週末の様子を報告しながら、自転車に乗る前ウォーミングアップについて聞いてみました。

 「週末限定ですけど、自転車に乗る距離を伸ばしています! そういえば、乗る前の準備運動やストレッチなどをしていないのですが、やった方がいいですか? 乗った後に筋肉痛になることはありません」

絹代さん 「レースのようにスピードを重視して走るなら、ウォーミングアップを十分にしないと故障しやすくなります。でも、普通に乗る程度なら、『絶対やらなきゃ!』と、そこまで考える必要はありません。乗り始めてから体が温まるまでの間、意識的にゆっくりと走ると、ウォーミングアップも兼ねられますよ」

 絹代さんによると、自転車で使う筋肉は自転車に乗って動かし、温めるのが最も効率が良い方法だそうです。でも、「いざ、出発!」の前に準備体操くらいはしておいたほうがいいような気が…。

 「体をほぐして、温めてから自転車に乗りたいのですが、そういった準備運動はありますか?」

絹代さん 「ありますよ! 自転車で使う筋肉を動かしながら、伸ばしてほぐしていく運動を今度やってみましょう」

 ということで、絹代さんにウォーミングアップの方法を教えてもらうことになりました。

絹代さんオススメ! 自転車のためのウォーミングアップ

 乗る前に体を温めながら伸ばすと、筋肉の柔軟性を高め、関節の可動域を広げるため、ケガの予防になると絹代さんは話します。「具体的には自転車のエンジンとなる太もも、ふくらはぎ、お尻といった下半身を中心に、乗る前にウォーミングアップすると良いでしょう」(絹代さん)

 ウォーミングアップは、体を動かす(筋肉を伸び縮みさせる)ことで筋肉を温める方法で、主に乗る前に行います。

ウォーミングアップ1 もも上げ

 天井から頭から吊られているような感覚で、背筋を伸ばしてまっすぐ立ち、片方の膝を高く上げて下ろします。脚を交互に上げてその場で足踏みをします。

もも上げ
片方の膝を高く上げて下ろします。脚を交互に上げてその場で足踏みをします。
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ウォーミングアップ2 膝抱え

 背筋を伸ばして立ち、膝を曲げた脚の太ももを胸に引き寄せるように片足で立ちます(写真左)。このまま前方に脚を下ろし、反対の脚を上げて下ろします。さらに、膝を外側に向けて脚を持ち上げると、ぺダリングでよく使うお尻の深いところにある筋肉(梨状筋)を温めることができます(写真右)。

膝抱えとその応用
膝を曲げた脚の太ももを胸に引き寄せるように片足で立ち、前方に脚を下ろします。これを左右交互に繰り返します。
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膝を外側に向けて脚を持ち上げると、ぺダリングでよく使うお尻の梨状筋(りじょうきん)を温めることができます。
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ウォーミングアップ3 かかとをお尻につける

 背筋を伸ばしたまま立ち、左右交互にかかとをお尻に近づけます。歩きながら行ったり、テンポを速めて行うと、より身体を温める効果が高くなります。

かかとをお尻につける
背筋を伸ばしたまま立ち、左右交互にかかとをお尻に近づける。
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ウォーミングアップ4 肩回し

 ひじを軽く曲げたまま肩の高さにくるように両腕を上げて、ひじが体側に付くように腕をゆっくり回します。

肩回し
肩を中心に腕を大きく回します。
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ウォーミングアップ5 脚上げつま先タッチ(余裕のある人向け)

 上体を起こしたまま、片足を上げ、脚と反対側の手でつま先をタッチ! このとき膝が曲がらないようにできると良いそうです。

脚上げつま先タッチ
片足を高く上げ、反対の手でつま先をタッチする。
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 これらのストレッチのほかに、「ラジオ体操を本気でやるのも手軽で有効ですよ!」と絹代さんがオススメしてくれました。「ラジオ体操は全身の筋肉をバランスよく動かすので、これをしっかりやるだけでも良いです」(絹代さん)。

いつでも・どこでもできるストレッチもオススメ

 「体が温まってきたところで、筋肉をゆっくりと伸ばしていくストレッチもオススメです」と絹代さん。自転車をこいでいる間によく使う太ももの前と後ろ、ふくらはぎといった下半身に加えて、ハンドルを握っている姿勢が続くと凝りがちな肩回りもほぐすと良いそうです。

 ストレッチのコツは、反動をつけずに、呼吸をしたままゆっくりと伸ばすこと。また、「自分の気持ちいいと感じる強さで行うことも重要です」(絹代さん)。自分の体の声に耳を傾けながら、その日のコンディションに合わせてストレッチをすることが大切なのだそうです。無理は禁物!と絹代さんはアドバイスします。

ストレッチ1 ももの前を伸ばす

 背筋を伸ばして立ち、伸ばしたい方の脚の足首を手で持ち、かかとをお尻に近づけます。

ももの前を伸ばす
伸ばしたい方の脚の足首を手で持ち、かかとをお尻に近づけます。
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ストレッチ2 ももの裏を伸ばす

 両足を揃え、上体を前に倒します。さらに伸ばしたい人は、片足のつま先と反対の足のかかとが合うように足を並べて前屈します。

ももの裏を伸ばす
両足を揃え、上体を前に倒します。
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ストレッチ3 アキレス腱伸ばし

 片方の脚を後ろに引き、かかとを地面に付けたまま、ゆっくりと前に体重をかけます。

アキレス腱伸ばし
片方の脚を後ろに引き、かかとを地面に付けたまま、ゆっくりと前に体重をかけます。
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ストレッチ4 肩甲骨を動かす

 大きなボールを抱えるイメージで、体の前で両手を組みます(肩甲骨が離れる)。手をほどき、肘を曲げながら後ろに引きます(肩甲骨が近づく)。「腕を肩甲骨から動かすことを意識するといいですよ」(絹代さん)

肩甲骨を動かす
大きなボールを抱えるイメージで体の前で両手を組み、その手をほどいてひじを後ろに引いて肩甲骨を寄せます。
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 「ストレッチは自転車に乗る前・乗った後に加えて、サイクリングの途中の休憩でやってもいいですよ」(絹代さん)。途中で体をほぐすことで、その後の走りが楽になるといいます。また、走り終えた後のクールダウンにも有効です。乗った後にすると、疲労の回復を早めてくれます。

 取材の後、ウォーミングアップを絹代さんと一緒にやってみました。デスクワークで凝り固まった筋肉がグイグイと伸び、全身に血が巡っていく…ガチガチだった体が軽くなった感じ。気持ちイイ! ますます週末の相棒との遠出が楽しみになりました。

撮影の後、絹代さんと一緒にウォーミングアップをしてみました。…私、脚が上がってない!?

(写真:横川 誠)

絹代(きぬよ)さん
サイクルライフナビゲーター・健康管理士・自転車活用推進研究会理事・飯田市エコライフコーディネーター
絹代(きぬよ) 1975年横浜市生まれ。東京大学農学部卒業後、国際協力事業団(JICA)勤務を経て、英国大学院で身体運動と栄養について学ぶ。自転車ロードレースの実業団、日本代表の広報スタッフも経験。現在は雑誌、TV、ラジオなどのメディア、各種イベントで、MCや、自転車フィットネスの提案を行うなど、自転車を軸に健康、美容、エコのフィールドで活躍中。また、自転車を使った町おこしや、女性のためのイベント、子ども自転車教室のスタッフも務めるなど、自転車の活用や普及、啓発のためにも積極的に活動している。近著に『チャリーナのための自転車BOOK』(幻冬舎エデュケーション)『自転車でカラダとココロのシェイプアップ』『自転車と旅しよう!』など(ともに枻出版社)がある。