日経グッデイ

ママチャリライダーがセンチュリーライドを目指してみた

クロスバイクひとりライド「初めての公道」

車両の波と冷や汗と、大きな“忘れ物”

 中西奈美=日経Gooday

坂道で転んだり、雨に降られながらも、初めて20kmを完走し、自転車の乗りこなし方に自信がついてきました。自転車での行動範囲がぐっと広がりましたが、そこでまた失敗をやらかすことに…

 前回の記事(「転んで、濡れて、走り切った20km」)では、初めての長距離ライドに挑戦した様子をお伝えしました。転倒や降雨といった、予想外の出来事がありながらも、完走…その“やりきった感”に、しばらく浸っていました。右膝に負った名誉の(?)負傷は、曲げ伸ばしするたびに存在感をアピールし続けましたが。

週末が待ち遠しい

 次の土曜日から、愛車( CYLVA F24)との自転車ライフの再開です。会社の就業規則では残念ながら自転車通勤が認められていないので、実際に乗れるのは土日だけ…。平日、通勤途中で自転車に乗っている人を見かけると、週末が待ち遠しくなります。

愛車のCYLVA F24
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 絹代さんや仲間と一緒に20㎞走り切った自信からか、自宅近くの公園や路地を周回するだけでは物足りなくなってしまいました。…というより、これまで、自動車の交通量が多い公道を走る勇気がなかった…というのが正しいかもしれません。

 それが、長距離ライドの後は、「車と併走するのは怖いなぁ」「もし、うまく止まれなかったらどうしよう」といった不安が和らぎ、公道に出て、少し遠くまで足を伸ばしてみたくなりました。

初めて一人で公道を走ってみた

 そこでまず思いついたのが、週末決まって、家族と出かけるショッピングモールに行ってみること! 距離にして自宅から片道7㎞ほど。いつもならバスで出掛けていたので、どの道を通れば着けるかだいたいわかるし…。

 これまで公道をあまり走りたがらなかった私に、家族が「本当に大丈夫?」と心配してくれました。うん、きっと大丈夫。きちんと地図で道を確認したし、タイヤの空気圧などのトラブルもなし! 到着する目安の時間を伝え(出発から1時間ぐらい)、現地集合目指していざ出発です。

車道を走る時はいつも緊張。頭がフル回転しています。
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 「いってらっしゃーい!」と家族に見送られ、自転車を引いて幹線道路まで出ましたが、まず、湘南の道に比べ交通量の多さに面食らいました。「流れに乗れるかな?」と緊張して体に力が入ります。

 自転車をまたぎ、こぎ出す前には、同じ車線を走ってくる車はいないか、車線変更してくる車はいないか、すぐ先の交差点で左折しそうな車はいないか…など、左右と後方の確認を繰り返し、なかなか発進できないありさま。

 しかも、いざ車道に出てみると、都内は路上駐車がやたらに多い! 右隣の通行帯に寄って駐車車両を追い越すときには、減速してしっかり振り返り、後続車両に「これから右に寄りますよ」と意思表示! ちょっと不格好ですが、気にしません。

 20㎞のライドでは、仲間が先導してくれたのでそれに着いていけば良かったのですが、独りだとすべて自分でやらないといけない…。初めて通る道では、「○○通りを××方面に」「△△交差点の次で左折」など、いつも以上に頭を使います。不安になったら安全な場所で自転車を降りて、スマートフォンの地図で道を確認しながら進みました(自分の居場所と、これから向かう先が分かるので便利! スマホを忘れたら悲劇かも…)。

 途中、道に迷いながら到着するまでに50分ほどかかってしまいました。緊張しっぱなしで疲れた…。「帰りはバスにする」と私が口にすると、「自転車はどうするの!?」と家族から総ツッコミ。帰りは同じ道をたどって、のんびりと家路につきました。

一人で遠出の途中。スカイツリーと愛車がうまく決まりました。
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パンクのことを考えていなかった…!

 さて、週末にバスの代わりに自転車に乗って出かけるようになったことがうれしくて、早速絹代さんに報告しました。すると、またしても失敗が発覚してしまいました。

 絹代さん 「そういえば、自転車のチューブやポンプは持って乗っていますよね?」

 私 「チューブ? いえ、持ってないです…」

(写真:横川誠)

 絹代さん 「!! もし遠出した先でタイヤがパンクしたら、そこから先どうやって移動するのですか? 大変ですよ!」

 私 「自転車ってそんなに簡単にパンクするんですか?」

 絹代さん 「自分ではパンクさせないように注意して乗っていても、見えないくらい小さなとがったものが落ちていたり、チューブの劣化など、パンクする原因はたくさん考えられます。絶対パンクしないと過信しない方がいいです。長い距離を走るなら、その分パンクのリスクも高まりますので、チューブやポンプを持っていくのは常識です」

 私 「そうなんですね(汗)。自分のタイヤがパンクする可能性なんて全く考えていませんでした。でも、チューブやポンプってかさばりませんか? 愛車にはカゴが付いていないので、持ち運ぶのが大変かも…」

 絹代さん 「チューブはたためば手のひらに乗るくらい小さくなりますし、携帯用の小さなポンプもありますよ」

 私 「そうなんですね。でも、タイヤのパンクって自分で直せるんですか!? メカ音痴でも…?」

 絹代さん 「大丈夫。一度、やり方を覚えてしまえば多少力が必要かも知れませんが、一人でできるようになります。今度練習しましょう」

 絹代さんの言葉に、これまでパンクせずにいられたのは単にラッキーだったのだと気付かされた私。乗っている間にパンクしたら、と考えると確かにゾッとします。

まさか自分の自転車がパンクするなんて、全く考えていませんでした。パンクしたらこんな感じになるのでしょうか…。(写真:横川誠)
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 ママチャリの感覚では、自転車がパンクするのはよっぽどのこと…。もしパンクしても、自転車屋さんに駆け込めば何とかなると思っていましたが、甘かったようです。

 「自転車によって交換するチューブのサイズが違うので、店によっては在庫がない場合がありますよ!」と絹代さんからアドバイス。その日の帰り道、自転車ショップでチューブを注文したのは言うまでもありません。

 自転車のチューブ交換にもコツがあるとのこと。次回以降、絹代さんにパンク修理について教えてもらうことにしました。

自転車に乗るなら道交法を知っておこう
「自転車は車両。歩行者に近い存在だと考えている人が多いが、それは間違い」と強調する小林さん。

 自転車で公道を走るようになったのを機に、自転車が守るべきルールについて、『自転車“道交法”BOOK』(枻出版)の著者の一人である自転車活用推進研究会理事長の小林成基さんに話を聞きました。

 「道路交通法(道交法)では、自転車は軽車両に分類されています。運転免許は必要ありませんが、名前に『車両』とつくように、自転車は原則として車道を左側通行しないといけません」と小林さん。自動車の流れと逆らって走る(逆走)自転車は道交法違反に当たり、もっとも事故に遭いやすく危険です。

 また、「多くの人が、自転車は歩行者と同じ立場、もしくはその延長線上にあるものだと勘違いしています」(小林さん)。例えば、街中では歩道を走る自転車が多く見られますが、自転車の通行が認められている歩道以外の歩道を自転車で走ることは、本来であれば道交法の違反に当たるそうです。「歩道を通る場合、自転車から降りて押すか、最徐行」(小林さん)が原則。ここでいう最徐行とは、とっさの出来事に対してすぐに止まれる速度を指し、厳密には定義されていないものの、おおむね時速7km前後(早歩きくらいの速度)だといわれています。「自転車はスピードが出るし、そのものが凶器となる可能性があることを忘れないで」と小林さんは強調します。

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 一方、車道を走る場合も、自転車のルールは自動車と同じという訳ではないので注意が必要です。交差点で右折をする場合には、自転車はすべての交差点で、交差点の側端に沿って曲がる二段階右折が義務づけられています。ですが現実には、自動車と同じ軌道を描いて交差点を右折していく自転車を見かけます。

 「多くの人は、自動車の免許を取る前に自転車に乗り始めるので、道交法が定めるルールを学ばない状態で乗り回しているんです。公道を走る自転車の縦横無尽な動きに、ドライバーや歩行者としてヒヤッとした経験のある人は少なくないのでは」と小林さんは指摘します。「歩行者や自動車、そして自転車が気持ちよく走るためには、まずはルールを知ることが大切です」(小林さん)。実際には、自転車で公道を走る上でのルールは交通事情によって異なります。『自転車“道交法”BOOK』では、ケーススタディを多く扱って分かりやすく解説しています。

 自転車5万3800円(税別)(CYLVA F24:ブリヂストンサイクル)

絹代(きぬよ)さん
サイクルライフナビゲーター・健康管理士・自転車活用推進研究会理事・飯田市エコライフコーディネーター
絹代(きぬよ) 1975年横浜市生まれ。東京大学農学部卒業後、国際協力事業団(JICA)勤務を経て、英国大学院で身体運動と栄養について学ぶ。自転車ロードレースの実業団、日本代表の広報スタッフも経験。現在は雑誌、TV、ラジオなどのメディア、各種イベントで、MCや、自転車フィットネスの提案を行うなど、自転車を軸に健康、美容、エコのフィールドで活躍中。また、自転車を使った町おこしや、女性のためのイベント、子ども自転車教室のスタッフも務めるなど、自転車の活用や普及、啓発のためにも積極的に活動している。近著に『チャリーナのための自転車BOOK』(幻冬舎エデュケーション)『自転車でカラダとココロのシェイプアップ』『自転車と旅しよう!』など(ともに枻出版社)がある。