息を吐いた後に手を前に戻す順番が正解!
横呼吸のイメージがつかめたところで、まずはビート板を使いながらストロークの練習に進んだ(写真4)。最初にビート板の上に両手を置き、バタ足で泳ぐ。次に左手をビート板の上に乗せたまま、右手だけでストロークをして横呼吸を行い、右手をビート板に戻す。その次は右手をビート板の上に乗せたまま、左手だけでストロークを行う(呼吸はしない)。これを交互に繰り返しながら進んでいく。
高橋監督から「右腕も左腕も真っすぐ伸ばした状態で、ストロークを行ってください」と注意を受けながら進む。たしかに、水を大きくかけるので推進力が増した気はするが、腕を大きく回し続けるのは結構大変だ(写真5)。疲れてくると、初心者は肩が回らなくなり、小さいストロークになってしまうという(写真6)。
先ほど教わった「斜め後ろ」を見ながらの呼吸を意識すると、「斜め前方」を向いた呼吸を行う場合と比べて、肩が大きく回ることに気づいた。左腕のストロークでは呼吸はしないが、腕を後ろへ回す際には水中で顔を斜め後ろに定めれば、同様に肩を回しやすくなる。肩を回しやすい姿勢でストロークを行っていると、疲れにくくなるように感じた。かつて野球をやっていたので肩はよく回るほうとはいえ、キックの練習と比べればストロークの練習は取り組みやすく、効果も感じやすいので楽しい。
美しい横呼吸の仕上げは、呼吸のタイミングと右腕の位置の修正だ。呼吸は「パッ」「ハー」「ウン」の流れで行うが、のんびりしていると、息を「パッ」と吐くころに右腕が上に来てしまう(写真7)。こうなると、「上に伸ばした腕の重力がかかるため、呼吸時に下半身が沈みやすくなる」(高橋監督)という。
このため、「ハー」で息を吸い込みながら、右腕を上げていくことが望ましい(写真8)。「息を吐いた後で、後ろにある手を前に戻すと意識すればよいでしょう」(高橋監督)。人それぞれやりやすい方法があると思うが、自分は「パッ」「ハー」「ウン」を早いリズムで短時間で済ますことにより、ちょうどこのタイミングで呼吸できるようになった。
(次回は、ビート板なしで息がゼイゼイしないクロールのマスターに取り組みます!)
(撮影:竹井俊晴)
(衣装協力:ミズノ/取材協力:ワイジェイティー)
中央大学 理工学部教授、水泳部監督
