前回 は、呼吸法と水面に対して平行に浮くフラット姿勢を学んだ。今回は蹴伸びにキックを加えたバタ足をマスターすることが課題だ。実は呼吸法と同様にキックの方法にも、中央大学の11連覇を支えた高橋雄介監督(3ページのプロフィール覧を参照)の最新のエッセンスが詰まっている。そのキック法につい関心が向いたが、自分はまだ蹴伸びに合格しただけ。呼吸(息継ぎ)をしながらの泳ぎのマスターは、これからだ。
呼吸法のレッスンでは、プールの中に立って顔を沈める「ボビング」という方法で、「パッ」「ハー」「ウン」の呼吸リズムを学んだ。簡単に言うと、バタ足をしながら「パッ」「ハー」「ウン」をするだけだ。クロールの息継ぎを「横呼吸」と呼ぶのに対して、バタ足では「前呼吸」と呼ぶ。「さあ、まずはビート板を持ちながらやってみよう」と高橋監督。これは楽勝だろうと思ってやってみると、意外と難しい。
バタ足をしながら呼吸を入れると、足が沈み、フラット姿勢を保ちにくくなってしまうのだ。「息継ぎの際には、肺の空気が抜けますし、お腹の力も入りにくいので、どうしても下半身が沈みやすくなるんです」(高橋監督)。その説明に納得して、息を吐く「パッ」の後にすかさず「ハー」で吸い込むリズムに変えてみた。すると、下半身の沈み込みを若干抑えやすくなった。要は肺から空気が抜けた状態をなるべく短くするということだ。しかし、まだ完全にフラットな姿勢にはなっていない。
ところで、初心者はビート板の持ち方を間違えていることが多いという。正しい持ち方は下の写真のように、ビート板の上面に両手のひらを乗せる方法だ。
一方、両手でビート板の両端を持つのは間違った持ち方。端を持つと、ビート板が水中に沈み込みやすくなり、上半身の姿勢を安定させるのが難しくなってしまうからだ。
- 次ページ
- 最先端のアップキックで姿勢を改善