しなやかに足首で蹴って推進力をアップ
アップキックは主に脚のももやふくらはぎの筋肉を使って行う動作だが、足首から指先の部分の使い方にもポイントがある。「足の動きが固い人が多いのですが、一言でいうとしなやかに動かすことを心がけてください」と高橋監督。しなやかなキックとはどのようなものなのか。「例えば、イルカの尾が動くようなイメージで、足首はもちろん、脚全体がムチのようにしなるような動きを目指してください」と教えてくれた。
自分のこれまでのクロールでは、とにかく力強くキックすることに気を取られていた。「脚全体に力を入れたり、膝を直角に折ってキックしている人をよく見かけますが、力を入れて進んだつもりになっていても、膝下しか使えていなかったりして、実際はあまり推進力が得られていないのです」(高橋監督)という。
実際にしなやかなキックに挑戦してみたが、脚全体に力が入っているとうまくいかない。特に、アップキックになるように意識しながら、脚の力は抜くというのが難儀だ。そこでまた、道具の力を借りることにした。ダイビングでお馴染みのフィンを使うと、足の甲の動きが感じやすくなるという。使ってみると、水の抵抗が大きくなるので、足の甲が自然とゆったりした動きになった。
これまでの自分のクロールでは、長い距離を泳ぐと疲れ切って、足の甲の当たりがつってくるのが気になっていた。しかし後日、今回教わった、しなやかなアップキックを近所の区営プールで練習していると、ある程度の距離を泳いでも、足が疲れていないことに気が付いた。自分としてはキックの推進力が強まったことよりも、疲労がたまりにくい効果の方が大変有り難かった。
(次回は、ビート板なしでスマートなアップキックを完成させます)
(撮影:竹井俊晴)
(衣装協力:ミズノ/取材協力:ワイジェイティー)
中央大学 理工学部教授、水泳部監督
