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50歳直前ペーパースイマー、100m「美メドレー」への道

水中で正しい姿勢を保つ呼吸とお腹の関係とは

肺を“浮袋”に代える方法があった

 稲川哲浩=日経Gooday

水中で顔は前ではなく底に向ける

 続いては、水中での姿勢の作り方だ。米国留学で最新の水泳理論を学んだ高橋監督は、「水に浮いている時の姿勢は、水面に対して平行になることが理想です」という。これを「フラット姿勢」と呼ぶが、この姿勢を作るにはコツがいる。

 「まずは手を頭の上に伸ばした状態で、水に浮いてみてください」と高橋監督。恐る恐る浮いてみると、どうしても足が沈み気味になってしまった。「特に筋肉質の男性は足が沈みやすいんですが、稲川さんはまだましなほうですよ」とフォローを入れてくださる高橋監督。

 前述したように、水中では空気をためた肺が“浮袋”となって体が浮く(その浮力の中心点を「浮心」と呼ぶ)。しかし、人間の重心はおへその2~3センチ下にある「丹田」のあたりにある。このため、胸のほうは浮くが、おへそから下は沈む状態になってしまう。

「浮心」と「重心」の位置
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「浮心」が胸にあるのに対して、「重心」はおへその2~3センチ下にある。このため、次第に足が沈んできてしまう。

 しかし、この状態で泳ぐと、水の抵抗を受けやすいため、進みにくいうえに疲れやすい。さらに、息継ぎもしにくいので、長い距離を泳ぎ続けられない。水泳の初心者に多く見られるという。

 こうした問題をどう解決すればいいのか。

 「では、顔の眉間を下に向けて、丹田に力を入れてみて下さい」と高橋監督。

「眉間」をプールの底に向けることを意識する
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 意外なアドバイスを聞いて、思わず「ん?」と顔をしかめてしまった。「そう、今、しわができた眉間を下に向けるんです」と高橋監督が指を当てて教えてくれた。ここを下に向けるということは、つまりプールの底に顔を向けるわけだ。

 「丹田に力を」というのも難しい表現だが、「まずはおへその斜め下あたりを両手の指で押して、それを押し返すようにお腹に力を入れてください」と高橋監督。これは「腹圧を入れる」と表現されることもある。

腹圧の入れ方
おへその斜め下あたりを指先で押さえる。
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指を押し返すようにお腹に力を入れる。これが「腹圧」の入った状態。
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下半身を浮かす練習に使う「プルブイ」
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太ももの間に挟むと自然に下半身が浮き、フラット姿勢のコツをつかみやすい。

 何となくイメージできたので、水中で早速試してみた。言われてみると、これまで水中では前方を見て泳いでいたことに気付いた。最初はかなり違和感があるが、あたかも水中で足もとを覗きこむように、顔をグイッと下に向ける。続けて、お腹に力を入れる。「やや猫背気味にすると腹圧を入れやすいですよ」とさらにワンポイント・アドバイスが入る。

 確かにだいぶ足が浮いてきたが、まだちょっと沈んでいる。「上達を早めるには、感覚をつかむことが大切ですので、股の間にプルブイを挟んでみましょう」と高橋監督。プルブイとは、ビート板と同じ水に浮く素材でできた、弁当箱サイズの補助器具だ。これを併用しながら、前述のコツ「眉間を下に向ける」「丹田に力を入れる」の2つを意識するだけで、美しいフラット姿勢を作ることができた。プルブイは公共プールにも備えられていることが多いので、大いに活用してほしい。

美しいフラット姿勢
プルブイを足に挟んで、美しいフラット姿勢をイメージする。
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