社会人になって以降、プールなど滅多に行かない中年記者。しかし、ぎくしゃくした泳ぎを小学生の息子にばかにされ、一念発起。大学最強水泳部の監督の指導を仰ぐことに。心許ないクロールしかできないわが身も省みず、流ちょうな4泳法メドレーを1年で完成させることが目標だ。
クロールを美しく見せるためのハイライトとも言える「リリース」「リカバリー」。前回(「美しいクロールのハイライト、水上で腕を戻す動きを学ぶ」を参照)のレッスンでは、腕を水中から水上に出して前に戻すこの行程を、中央大学水泳部の高橋雄介監督に教わった。プールサイドで腕の動きを模倣する“シャドウスイミング”では、肩甲骨を内側に寄せて進行方向へずらす動きを行うのに四苦八苦。しかし、プールに入り、ビート板で左腕を支えながら右腕だけでストロークを行う練習に進むと、肩甲骨がスムーズに動くようになってきた。そのコツは、リカバリーの際に体を少し横に傾けることだった。
「今回はビート板を使わずに泳いでもらいますが、ちょっと複雑なリリース、リカバリーの動きのポイントを今一度整理しておきましょう。まずは腕を動かそうとするのではなく、肩甲骨を内側に寄せて上げる動きを主導に、指先や手首の力を抜くこと。そうすると、自然に指先は後ろ(進行方向の逆)を向き、親指が下側に来るはずです」(高橋監督)
「さあ、いよいよ実戦だ」と記者が気合いを入れたところで、「いえいえ、次はミニフィンを足に付けてやってみましょう」と高橋監督に待ったをかけられてしまった。腕の動きの練習なのに、なぜミニフィンを使うのかと思ったが、フィンを使うと進みやすくなるので、その分だけ腕の動きに集中できるのがその理由だった。
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- 利き腕でない左腕のコントロールに苦労