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50歳直前ペーパースイマー、100m「美メドレー」への道

キャッチアップクロールで“らくらく泳ぎ”をマスターする

落ち着いて泳げる「ハーフ&ハーフ呼吸」も習得

 稲川哲浩=日経Gooday

無心で泳ぐキャッチアップクロールに大歓声

 「ハーフ&ハーフ呼吸」や「左腕の位置」などの注意点も踏まえて、ビート板の助けも、また高橋監督の助けも借りずに、前回のレッスンでも行った両腕を頭の前でいったん揃えるクロールに、いよいよ一人で挑戦することになった。正確に言うとこの泳法はクロールではない。「キャッチアップクロール」と言って、25mを楽に泳げるクロールを身に付けるためのドリルである。

 「本来のクロールは両手が頭の前方で揃う前に、一方の手をかき始めます。しかしキャッチアップクロールでは、先ほど注意したように、水をかき出す腕は頭の前で両手がそろうまで水面に真っすぐ伸ばして保たなければなりません。この腕の位置をしっかり身に付けて、ストロークを大きくするための練習なのです」と高橋監督が教えてくれた。

 これまでがむしゃらに水をかいていた自分としては、こんなにのんびりとした泳ぎでは25mが非常に長く感じるのではないかと不安だった。そこですかさず高橋監督の優しいアドバイスが入る。「強くかこうとか、速く進もうとか、考えなくていいですからね。呼吸法をきちんと行うことに集中して、ゆっくりと優雅に泳いでください」(高橋監督)。

キャッチアップクロールで25mを完泳
[画像のクリックで拡大表示]
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フラット姿勢を維持すると、ゆったりとしたストロークの割にはスイスイと進めた。1ページ目に掲載した高橋監督の補助付きのフォームと比べると、呼吸の後に顔が入水するタイミングが早くなってしまったが、これはむしろ良いことだそうだ。(上段、下段の写真はともに3枚の写真を合成)

 呼吸、姿勢、アップキックに両腕のストロークのタイミング。気をつけることが山ほどあったので、スピードアップにまで気が回らなかったことがかえって幸いしたのか、落ち着いてキャッチアップクロールで25mを泳ぐことができた。自分としては無事に泳げてヤレヤレといった感じだったが、高橋監督やカメラマン、撮影の手伝いに来てくれた編集スタッフが驚きの歓声を上げてくれたのは意外だった。

 「OK! 何も言うことはありません。きれいなキャッチアップクロールでしたよ!」(高橋監督)。思えばこの連載の初回のストレッチで露見した体の硬さなど、これまで多くの不安材料を提供していた自分としては、少々肩の荷が下りた気分…。

 今回は速く泳ぐことが目標ではないが、フラット姿勢を保っていれば、ゆったりしたストロークでもスイスイと進めることを実感できた。ビート板がなくなったので、呼吸の最後に「ウン」と息を止めて、肺の浮力を維持する点を特に注意した。「息を吸った後の『ウン』のタイミングで腹圧を入れて体を締めてあげると、体が沈みにくくフラット姿勢を保ちやすくなるんです」と高橋監督。

 ここで、25mを楽に泳げる(キャッチアップ)クロールのレッスンは一区切りとなり、今後はクロールを美しく泳ぐためのレッスンに進む。ただし、美しいクロールをマスターするには、今の筋力や柔軟性では少々心許ない。次回からは、筋力や柔軟性を高めるためのエクササイズを2回に渡って紹介する。

(撮影:竹井俊晴)

(衣装協力:ミズノ/取材協力:ワイジェイティー)

高橋雄介(たかはし ゆうすけ)さん
中央大学 理工学部教授、水泳部監督
高橋雄介(たかはし ゆうすけ)さん 1962年生まれ。52歳。現役時代はバタフライの選手として活躍。5年間の米国留学で最先端の水泳トレーニング法を学ぶ。帰国後は中央大学水泳部のヘッドコーチ、続いて監督に就任。2004年に全日本学生選手権での11連覇を達成し、2014年には15回目の優勝を達成した。今では、米国仕込みの新しい水泳法「フラットスイム」を全国のスイミングクラブに伝えており、個人向けの指導も行っている。

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