日経グッデイ

月イチゴルファーが2年でシングルを目指す!!

スイングが速くても「硬い」が向くとは限らない!

第5回 ベストマッチのクラブではやシングル気分

 池田 悟=日経Gooday

鬼編集長の業務命令で、「2年でシングルを目指す」という途方もない目標のゴルフ企画を担当することになった40代記者。「上達には自分に合ったゴルフクラブを探す」という山口信吾先生からの命題を与えられていたある日、会社からの帰り道で通りかかったヤマハゴルフスタジオ高輪で、クラブのフィッティングをすることになった。独自のスイング分析によって、自分にピッタリな“運命のクラブ”がいよいよセレクトされることになった。

 スタジオでのフィッティング(詳しくは前回の「ゴルフクラブのフィッティング、メーカーのスタジオで初体験」をご参照ください)がひと通り終わると、いよいよクラブがセレクトされることになった。

 まずは、記者のスイングについて、ヤマハのクラブ開発担当の米山太基さんの分析結果から。

60分のフィッティングを経て、しなりの量が少ないことが判明。「軟らかめ」のシャフトが選ばれることになった。
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米山さん 「スイングの解析では、シャフトのしなりを見ているわけですが、特に『トップ』『切り返し』『ダウンスイング』におけるしなりの量に重点を置いています。測定した結果、お客様はしなりの量が少ないスイングのタイプであることが分かりました。このタイプは軟らかめのシャフトが合う可能性が高いです」

記者 「はぁ。しなりの少ないスイングタイプ、ですか?」

ヘッドスピードが速くても硬いシャフトが向くとは限らない

クラブを「トップ」の位置までバックスイングして「切り替えし」したら(Aのゾーン)、腰を回して「ダウンスイング」に入る(Bのゾーン)。このゾーンでのシャフトのしなりの量がフィッティングの肝になる。なお一般的に、AとBのゾーンでクラブヘッドのスピードが一定に上がる人を「ヒッター」、Bのゾーンでインパクトに近くなるほどスピードが上がる人を「スインガー」などと呼んでいる。
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 初心者やこれからフィッティングをするゴルファーに向けて、米山さんの言葉を補足しよう。

 「トップ」とは、ゴルフクラブを最大までバックスイングしたときの姿勢(またはクラブの位置)。次に、トップから腰を回してクラブを振り始める動作が「切り返し」。そして、クラブをボールのインパクトに向けて加速させている動作が「ダウンスイング」である。これら3つのポイントにおけるシャフトの上下左右のしなりを細かく計測することによって、ゴルファーのスイングの特徴を可視化し、それぞれのスイングパターンに合ったシャフトを見つけ出すというのが、ヤマハゴルフスタジオにおけるフィッティングの肝なのである。


記者 「私の場合、ヘッドスピードが41 m/sと表示されていましたが、クラブ選びの基準とはあまり関係ないのですか? 『42m/sまでならばR(軟らかめの)シャフト』『38~45 m/sはSR(SとRの中間)シャフト』『42 m/s以上はS(硬めの)シャフト』みたいなことを聞きますが」


米山さん 「ヘッドスピードは1つの目安になりますが、それよりも私たちが注目しているのはシャフトのしなりの量の個人差です。しなりの量の大きい人に硬めのシャフトを、しなりの量の小さい人には軟らかめのシャフトをお薦めしています。たしかにヘッドスピードの速い人ほどシャフトのしなり量が大きくなりやすい傾向がありますので、ヘッドスピードの速い人は硬いシャフトが合うことが多いです。しかし、ヘッドスピードが速いけれどしなりの量は小さい人もたくさんいらっしゃいます。そのような人には、たとえヘッドスピードが速くても軟らかいシャフトをお薦めしています」

ヘッドの動きを再現する解析モニターで、米山さんが記者のスイングを丁寧に解説してくれた。
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ゴルフクラブを選ぶ際、ヘッドスピードに適合するとされるシャフトの硬さを示した。プロ並みのヘッドスピードであれば「X」、女性ゴルファーであれば「L」「A」という選択肢もある。
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アイアンは振りやすさを重視して選ぶ

ドライバーの試打を経て、アイアンのフィッティングへ。シャフトは軽く感じた「カーボン製」よりも、少しだけ重みを感じる「スチール製」のほうが振りやすかった。
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自分に合ったクラブを使えば、飛距離もきっちり伸びる。画面にある154.9ヤードの表示は、7番アイアンを試打したときの結果。理想的な飛距離だ。
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 自分のしなりの量とシャフトの硬さが合わなければ「飛距離をロスするどころか、インパクト効率が下がり、球筋も安定しないことにつながりやすい」と、米山さんはアドバイスする。つまり、「初心者または非力だからRシャフト」とか、「上級者でヘッドスピードが47m/sなのでSシャフト」といった決め方は避けたほうがいいわけだ。昨今では、シャフトのフィッティングを行ってくれるゴルフショップのほか、シャフト専門店もあるので、ぜひ一度、足を運んで打ち比べてみるといいだろう。


記者 「フィッティングではドライバーを初めに決めましたが、アイアンはどのように選べばいいですか?」


米山さん 「アイアンのシャフト選びでも、硬さと重さが重要です。まず硬さですが、ドライバーでのしなりの特徴が分かれば、アイアンもほぼ同じ傾向になり、選択肢は絞られてきます。また、重さについては、振りやすいかどうかを意識して選ぶのがいいと思います。一般的に、スチール製は『重い』、カーボン製は『軽い』という認識でいいと思います」


 こうして、フィッティングよって最終的に米山さんに選んでもらったクラブは下表の通りだ。ちなみに、ドライバーのシャフトの硬さは「R」フレックスだった。アイアンも同じタイプになったが、こちらのシャフトはスチール製になった。フィッティングされたクラブを使って打ってみると、「今までのクラブはいったい何だったの!?」と思うぐらい、とても振りやすくて、いい打球音がして、すぐに上達してしまうような錯覚をするほど。ベストマッチのクラブを手に入れて、はやシングル気分! 思えば、これまでのクラブは「S」「SR」「R」が混在していたような…。

フィッティング後、最終的にセレクトされたクラブセッティング
クラブ番手/商品名 シャフト(素材・長さ) 希望小売り価格(税別)
1W(ドライバー)
RMX 01
ディアマナR60 ・R
(カーボン45.25インチ)
8万5000円
4FW(バッフィー)
RMX FW
ディアマナR60 ・R
(カーボン42.5インチ)
3万8000円
5UT(ユーティリティー)
RMX UT
RMX85 ・R
(スチール39インチ)
2万7000円
5I~PW(アイアン)
RMXマレージング
RMX85 ・R
(スチール38.25~35.5インチ)
10万8000円 ※1
AW(アプローチウェッジ)
RMXフォージド
RMX85 ・R
(スチール 36.5インチ)
1万8000円
SW(サンドウェッジ)
RMXフォージド
RMX85 ・R
(スチール 35.25インチ)
1万8000円
※1: 5I、6I は別売各1万8000円(税別)を含む

記者 「米山さんに全11本を選んでもらいましたが、クラブは全部で14本まで使えますよね?」

米山さん 「そうですね。もちろん最初から14本のフルセットで組むのもいいと思いのますが、今後の上達に合わせて、クラブを足したり、組み替えたりしながら、最終的に14本で組んではいかがでしょうか。後々、ロングアイアンの代わりにユーティリティーやショートウッドを入れたり、ロフト角の違うウェッジを入れたりするのもよし、です」

 そんなアドバイスを聞きながら、その日、記者が経験したフィッティングの詳細と感動を記事にできないかとの打診を、米山さんにそっと差し向けてみた。

米山さん 「日経Gooday…、シングルを目指す企画? 恐らく、大丈夫だと思いますが、上司に相談してみますね」

「ぜひヤマハのクラブでシングルを実現させてください」

 フィッティングを終えてから1週間後、取材先からグッデイ編集部に戻ると、記者宛に大きなダンボールが6箱届いていた。てっきり「引越しをせよ」を意味する、鬼編集長からの突然の異動命令かと思った…が、目を何度こすって見直しても、そのダンボールには「YAMAHA」の文字が刻まれている。

RMXの2015年モデルが発売された当日、なんとフィッティングしてもらったクラブが編集部に届いた。
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 …詳しい経緯は割愛するが、ヤマハのご厚意で「モニター」としてクラブセットを貸与してもらうことになったのである。同社のゴルフブランドは、主に上級者層に認知、愛用されることが多かったようで、2015年モデルからはゴルフにアクティブに取り組みたい、もっと上達したいと思っている初級者層にまでPR対象を広げて、ブランド力をさらに高めたいとの理由からだった。

 「どうぞこのクラブで練習に励まれ、ぜひ当社のクラブでシングルを実現させてください」

 2年後にシングルになれなかったら「残念ながら罰金を徴収します」とは書かれていないし、「定期的に試験を受けてもらいます」とも綴られていない。内心「ラッキー」とは思いながらも、有名メーカーのPRを担えるほど力があるのか…。だって、ヤマハといえば、2012年の日本男子プロゴルフツアーで賞金王に輝いた藤田寛之プロも使用しているではないか!!!

 いやいや、これは大変な重責を担うことになったぞ…。その夜、一連の経緯をわが師匠の山口信吾先生に伝えると、静かにこう語ってくれた。

山口先生 「ヤマハ、そうですか! クラブ作りに妥協しないメーカーですね。これはきっと世界に通用するピアノを作り続けている楽器メーカーならではの哲学が、クラブにも反映されているのだと思います」

 これまた大変なプレッシャーである。

山口先生 「それと、クラブはすべて重さを量り、折れ線グラフを作って可視化するといいですよ。ドライバーなどのウッド系、ユーティリティーやアイアンなど、クラブのタイプに応じて、グラフの線がなだらになるほどいいセッティングです。上達してからもクラブのバランスはとても気を遣うポイントです」

全部11本あるクラブを1本ずつ量ってみた
一般的に重たくなるほどクラブは振りにくくなるとされるが、全体のバランスも大切だ。「異なるメーカーやブランド、また素材が違うシャフトなどのクラブの組み合わせは初心者は避けたほうがいいと思います。グラフの線が急に上下するところは、往々にして苦手な番手やミスが出やすいことが多い」(山口先生)。
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 そこで、クラブを計量してグラフにしたもの(上図)を先生に診てもらうと、「文句なし! さすがにヤマハのクラブは本格的です」と、無事に合格を頂いた。早速、新しいクラブを携えてコースを回り、また先生にチェックをしてもらう運びとなった。

 心の底では密かに、

 「いゃ~、見違えるほど上達したじゃないですか。これはたいたしもんだ!」

 と、目を細める山口先生の顔に思いを馳せたまではよかったのだが…。

山口信吾先生が薦める3分ドリルで手首の「コック」を使ったスイングを習得!

 前回のドリル「基本動作2」で紹介した「コック」「リリース」「リコック」という手首の動きに、腰と体幹を回す「ヨコ」の動きを加えてみよう。「ゴルフの難しさの1つは、手首は『タテ』に動かすのに対して、腰と体幹は左右に回す『ヨコ』の動きが加わるため、2つの動作のリズムやタイミングが合わせにくいことにあります」(山口先生)。


 いざ試してみると、頭では理解したつもりでも、コックを忘れたり、タテとヨコの動きが上手くかみ合わなかったりするのが分かる。実際にコースに出たときにも、つま先や左足の“上がり・下がり”など、姿勢を真っすぐ保てないライ(ボールが置かれている状況)の中で、この『タテ』と『ヨコ』のタイミングは保つ必要があると山口先生は説明する。「目をつぶりながら、コック・リリース・リコックを意識して、体に染み付くほど素振りをしてみてください」(山口先生)。


 最初からビュンビュン素振りするのではなく、「超スローモーションを再生するように、とてもゆっくり行う」(山口先生)といい。少しずつ手首をコックさせる「タテ」の動きと、腰・体幹を回す「ヨコ」の動きがかみ合ってきたら、スイングのスピードを上げていこう。


「ヨコ」と「タテ」の動きを身に付けるドリル1
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手首の動き
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肩幅にスタンスを取り、股関節から上体を前傾させ腰を入れて(重心を少し下げる)クラブを構える。手首はリラックスさせた状態で。
「ヨコ」と「タテ」の動きを身に付けるドリル2
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手首の動き
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腰と体幹を右に回していきながらバックスイングを始め、手首を少しずつコックさせていく。両脚にあった重心を右脚に乗せていくのを忘れないように。
「ヨコ」と「タテ」の動きを身に付けるドリル3
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手首の動き
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腰と体幹を深く回してクラブがトップの位置に来るのと同時に、手首を深くコックさせる。重心は右脚に乗せること。
「ヨコ」と「タテ」の動きを身に付けるドリル4
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手首の動き
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トップから切り返し、腰と体幹を左に回しながら、手首のコックを解いていく。
「ヨコ」と「タテ」の動きを身に付けるドリル5
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手首の動き
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インパクトの位置で、手首をリリースする。右脚に乗っていた重心は、左脚へと移っていくように。
「ヨコ」と「タテ」の動きを身に付けるドリル6
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手首の動き
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クラブが床の上をこすった(インパクトをイメージする)瞬間から、腰と体幹を左に向けて回しながら、手首を再びタテに動かしてリコックを始める。重心は左脚に乗せていくように。
「ヨコ」と「タテ」の動きを身に付けるドリル7
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手首の動き
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腰と体幹を左に向けて最大まで回しながら、手首を深くタテに上げてリコックする。フォロースルーからフィニッシュの間に、重心は左脚に乗せる。

(次回は、「打ち納めのリベンジラウンドで大叩き…」の予定です。ぜひご覧ください)

(写真:相田克己・フィッティング/竹井俊晴・ドリル)

山口信吾(やまぐち しんご)さん
ゴルフ作家
山口信吾(やまぐち しんご)さん 1943年生まれ。九州大学工学部を卒業後、同大学院を修了。69年に竹中工務店に入社。72年にハーバード大学大学院を修了後、シカゴの大手設計事務所に勤務。75年に帰国し、竹中工務店に復帰。43歳からゴルフを始め、還暦を前に一念発起し、独自の練習法によって2年でシングルを達成した。ベストハンデキャップ8。新聞および雑誌に寄稿多数、ゴルフの著作は14冊にものぼる。
     
撮影協力
西宮高原ゴルフ倶楽部
衣装/ポロシャツ(グレー、オレンジ、イエロー、ブルー)7020円、パンツ(ホワイト)1万800円、ゴルフインナー(ホワイト)5400円、ベルト(ホワイト)8100円、フリースパンツ(オリーブ)9720円、CGサーモフィッティド(ホワイト)8100円、以上すべてアンダーアーマー