日経グッデイ

月イチゴルファーが2年でシングルを目指す!!

残り250y…ラフからのセカンドは「100y先に刻む」が吉

第21回…攻める? 守る? 一度目のミスの挽回を捨て「スコア87」

 池田悟=日経Gooday編集部

鬼編集長の業務命令で、「2年でシングルを目指す」という途方もない目標のゴルフ企画を担当することになった40代記者。連載もいよいよ2年目を迎えて、スコアアップを目指すラウンド術を実践することになった。今回のテーマはセカンドショットのマネジメント。ドライバーがいい当たりだったのに、セカンドショットから乱れた…との経験は、初心者ゴルファーであれば、誰しもがあるに違いない。スコアアップにつながる攻守の切り替えについて、記者が課題にしていることについてまとめた。

 前回の記事(「気持ちは五郎丸選手! OBを防ぐ魔法のルーティン 」)では、ルーティンを見直すとともに、ドライバーショットをどう安定させるかについてご紹介した。まずティーショットが、真っすぐ前に飛び、できるだけフェアウェイに残すことがスコアメイクに欠かせない基本であることに触れた。

 今回は、そのティーショットを次にどうつないでいくか。すなわち、「セカンドショット」について、記者が取り組んでいることを取り上げたいと思う。

500ヤードを超えるパー5の2打目。まだ250ヤードも残っているが、深いラフにつかまったセカンドショットだったため、PWで100ヤード先のフェアウェイに戻すことを最大の目的とした。

 400ヤード前後の「パー4」、そして500ヤードを超えるような「パー5」において、セカンドショットに求められることはライによって様々だが、およそポイントは2つに絞られるに違いない。1つは、「パーオンを狙えるかどうか」。そしてもう1つは、「どれだけ距離を稼げるか」であろう。

 シングルプレーヤーの山口信吾先生とラウンドしたときのエピソードである。

 ホールの設定は399ヤードのパー4。山口先生はドライバーでコントロールショットに徹して、220ヤード先のフェアウェイど真ん中。対して記者は、芯喰いの当たりで260ヤード先、やや深めの左足上がりのラフ。ピンまでの残りを単純に比較すれば、40ヤードのアドバンテージがあるにもかかわらず、山口先生はパーを楽々とキープし、記者は「素ダボ(*1)」という結果になった。こうしたことがしばしば、いや、いつも起こる。

 技術力の差はいうまでもないことだが、とにもかくにもセカンドショットからの攻守の切り替えと精度の違いがグリーンに近づくほど現れてくるのだ。

(*1)OBやロストボールといったトラブルがなかったにも関わらず、ダブルボギーを叩いていしまうこと。

クラブを7本も携え2打目に向けて“お引っ越し”

 山口先生のセカンドショットをつぶさに見ていると、パーオンを狙う「攻め」、グリーンの手前に刻んで“寄せワン”を狙う「守り」が明確なのだ。だが、記者を含むアベレージゴルファーがやってしまいがちなミスは決まって2つある。まずは、「1打目がよく飛んだから積極的に」と、例えば深いラフといった難しいライからでもお構いなしにグリーンを狙いに行ってミスをするパターン。次に、1打目をミスして、なんとか距離を取り戻そうとして、大きいクラブを選択してミスをすることだ。

 こうしたミスの連鎖を防ぐために、3つのルールを設けてラウンドしたことがゴルフの女神を呼び込んだことは、既に前々回の記事(「リスク回避の3つの決め事で「ハーフ39」の奇跡!」)でもご紹介した通り。

 昨今のプライベートでのラウンドでは、セカンドショットが傾斜地のラフにあると推測されるときなどには、たとえパー4のホールで残りが200ヤードだったとしても迷わず9I(記者の場合、ラフからの飛距離は110ヤード前後)やPW(同、100ヤード前後)も携えて向かう。初心者臭さを承知で告白すると、FW2本、ユーティリティー1本、ミドルアイアン2本を合わせた計7本のクラブを抱えてボールを探しに行くこともある。ほとんど“お引っ越し”である。

セカンドショットを「優・良・可・不可」に分けて考える

 今、セカンドショットで記者が心がけているのは、とにもかくにも3打目もボールを打ちやすいフェアウェイを「キープすること」、もしくはフェアフェイに「戻すこと」である。芝の深さや目によってクラブが喰われやすいラフから打つリスクと比べれば、フェアウェイからの方が、スコアアップのためには断然有利になることはご存じの通り。記者がこの夏、プライベートのラウンドで経験した「深くて強いラフ」に難儀したことも、セカンドショットに細心の注意を払うようになったきっかけにもなっている。

セカンドショットは、フェアウェイからフェアウェイに運べれば「優」とする。次に、ラフからフェアウェイに戻せれば「良」。フェアウェイからラフは、残りの距離やグリーン周りの状況に応じて「可」。落第に当たる「不可」は、ラフからラフ、またはバンカーに入れることで、これは絶対に避けるものとした。写真ではやや見づらいが、砲台になったグリーンの手前には、大きなガードバンカーが待ち構えている。
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 学校の成績表ではないが、セカンドショットの結果を「優・良・可・不可」の四つとし、まずフェアウェイからフェアウェイに運べれば「優」とする。次に、ラフからフェアウェイに戻せれば「良」。フェアウェイからラフは、残りの距離やグリーン周りの状況に応じて「可」。落第に当たる「不可」は、ラフからラフ、またはバンカーに入れることで、これは絶対に避けるものとした。

 特にミスを起こしやすいのはパー5の2打目。傾斜地やラフからのショットになった場合、初心者にとってフェアウェイウッドでコントロールすることは難しいうえに、ミスをすれば再びラフや、バンカーにつかまりやすいコース設計になっていることがほとんど。もちろん、チョロやトップをするリスクもある。

 ロングホールのセカンドショットでは、飛ばそうと意識せず「優」か「良」を目指す。記者が実践しているのは「ゆったり振ってまずはボールに当てること」を優先させ、ミスの“ドミノ倒し”をとにかく防ぐこと。芝が逆目になったラフやディポット、構えたときに足元が不安定になる傾斜地など、ミスショットになるリスクがあれば、たとえ残りが250ヤード以上あっても、9IやPWを使って100ヤード先のフェアウェイに戻す。

フェアウェイに戻すが功を奏して!? 「46+41=87」

 こうして“臆病”なほどミスするリスクを避けながら、山口先生が実践している「最善手」を自分なりに真似しながら、ひとホールずつ回る。こんな心がけをセカンドショットで持つことだけでも、『100切り』は手に届くスコアであることはもちろん、安定して90台前半で回れるポイントになると記者は身を以て実感している。

パー5の2打目。つま先下がりのライで、コースは右にドッグしていく設計。左に曲げればラフ、右に曲げればラフ沿いにOBが迫る。通常は4Wで打ちたくなるところだが、ライを考慮して7Wでリスクヘッジ。
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 ちなみに、直近のプライベートラウンドでは、セカンドショットを打つ14ホール(パー3は除く)のうち、ティーショットでフェアウェイをキープできたのは半分の7ホール。ラフからセカンドでフェアウェイに戻したのが5ホールあったが、そのうち3ホールでパーを奪取(もちろん、フェアウェイからラフ、ラフからラフもあったが…)。

こうしてセカンドショットを意識することが功を奏したのか、

「イン46+アウト41=87

 でラウンドすることができた。(ちょっと嬉しい…)

ゴルフは成功よりも失敗することの方が多いスポーツ

山口先生 「自分にルールを設け、状況に応じてマネジメントしていくことはゴルフの上達に欠かせない絶対条件の1つです。たとえば私の場合、ピンまで残り150ヤード以内を『有効射程距離』と決め、バーディやパーを狙いに行く基準にしていることはお伝えしましたね。ですが、これも杓子定規にルールを運用しているわけではなく、有効射程距離の中にあったとしても、グリーンを狙いづらいときもあります。そこでは当然ながら、『ミスをしないこと』と『その次をどう狙っていくか』を考えたうえでの“最善手”を選ぶことになるわけです。将棋で言えば、『凌ぎの手筋』です」

記者 「グリーンを狙うのか、手間に刻むのかという選択は、今ではスコアを左右する大切な要因であることがよく分かります。ですが、これまでの経験を振り返ると、どんな状況であっても『無心』でグリーンを狙っていたことの方が多いと思います。自分も含めて、マネジメントの基本を知らないゴルファーが多いというのが現実かもしれません」

「ゴルフは成功よりも失敗することの方が多いスポーツであることを知っていれば、プロゴルファーのように『攻め続ける』ことは、アマチュアにとっては無謀なのです」(山口先生)

山口先生 「目の前にあるボールを『何も考えずに打つ』ことから、ライに応じて『考えてから打つ』、さらにその次のショットを見据えて『攻守を選んでから打つ』ようになったというのは、ゴルフの上達に欠かせない素晴らしい進歩だと思います。ゴルフは成功よりも失敗することの方が多いスポーツであることを知っていると、プロゴルファーのように『攻め続ける』ことは、アマチュアにとっては無謀だともいえるわけです。もっとも、賞金を稼ぐためのプロの方が攻守をシビアに選択していますが」

馬を操るように自分の気持ちもコントロールする

記者 「ボールを目の前にして、ピンの方向を見ると、『なんだかいいショットが打てそうな気がする』と思ってしまうのも、またゴルフの罠でもあり、難しさでもあります」

山口先生 「その通りです。『マネジメント』という言葉は、今のビジネスシーンでも『管理』や『運用』という意味で使われていますが、そもそもはラテン語をルーツとして『手を使って馬を操ること』から派生したとの説があります。これをゴルフに置き換えると『自分対コース』という側面だけではなく、『自分対自分』という要素もあると私は考えています。例えるならば、もう1人の自分である『馬』を、上手くなだめながらどのように操っていくかが大切だとも言えるわけです」

記者 「ゴルフは精神的なものが影響しやすい、極めればメンタルだと言われるゆえんですね」

山口先生 「メンタルという言葉は、『意志が強い、弱い』『気持ちが前向きか、後ろ向きか』といった二元論的に語られることは多いのですが、先のたとえに当てはめると、毎打変わる状況に応じて、乗り手と馬とがかみ合わないとうまく前に進んで行けません。体調やショットの調子も含めて、その日の良し悪しはどうしてもでてくるもの。馬とコンタクトしながら攻守を選んでいければ、もう一段階、二段階ステップアップしていけるはずです」

 今回ご紹介したセカンドショットのポイントは、中上級者を目指すためには避けられない必須課題。ドライバーショットをセカンドに繋ぎ、さらにサードショット、そしてグリーン上のパットへと続いていくマネジメントは、まさに「点と点とを結ぶ」ために、どれ1つとして疎かにできないゴルフの面白さであり、難しさでもあるのだろう。

 シングルプレーヤーの証であるスコア70台まで、まだ8打も詰めていかなければならない。未だバックティーから80台すら達成していない、というよりハンデ15以内になれないとラウンドできる条件が得られないことを考えると、目が眩みそうなほどの『絶壁』を感じているのだが…。


(写真:水野浩志)

山口信吾(やまぐち しんご)さん
ゴルフ作家
山口信吾(やまぐち しんご)さん 1943年生まれ。九州大学工学部を卒業後、同大学院を修了。69年に竹中工務店に入社。72年にハーバード大学大学院を修了後、シカゴの大手設計事務所に勤務。75年に帰国し、竹中工務店に復帰。43歳からゴルフを始め、還暦を前に一念発起し、独自の練習法によって2年でシングルを達成した。ベストハンデキャップ8。新聞および雑誌に寄稿多数、ゴルフの著作は14冊にものぼる。現在、「WEBRONZA」(朝日新聞社)において、『ゴルフがある喜びと幸せ』を連載中。