日経グッデイ

月イチゴルファーが2年でシングルを目指す!!

気持ちは五郎丸選手! OBを防ぐ魔法のルーティン

第20回…ルーティンは、端折っても加えてもダメ!

 池田 悟=日経Gooday

鬼編集長の業務命令で、「2年でシングルを目指す」という途方もない目標のゴルフ企画を担当することになった40代記者。連載もいよいよ2年目を迎えて、スコアアップを目指すラウンド術を実践することになった。まずはラウンドを始める第一歩、そして各ホールの第一打目に向けた「意識改革」から。ティーショットが安定しない記者が、真っ先に見直したのが「ルーティン」。これだけで驚くことに、ドライバーでのティーショットから「OB」の二文字が消えた!

 この連載「月イチゴルファーが2年でシングルを目指す」も、いよいよ2年目を迎えることになった。お陰様で、読者の皆様からの温かい励ましや声援によって、なんとか「連載打ち切り」だけは免れた。これまでの経緯は、前々回(参照記事:「 リベンジラウンドでスコア92の大躍進! 目指すは80台」)に詳しくまとめた。さらに、前回は「幸運の女神」によってもたらされた80台というスコアを達成した(参照記事: リスク回避の3つの決め事で「ハーフ39」の奇跡!)ことをご報告した。

山口信吾先生とのラウンド。先生はテキパキとルーティンを終えると、ワッグルせずにすぐにスイングに入る。ボールは見事、狙い通りのフェアウェイに。
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 これからは第2ステージと位置づけ、スコアアップにつながる「コースマネジメント」をテーマに、記者がラウンド中に気づいたことを交えながら、上達のヒントになる内容をお届けしたいと思う。だが問題は、目的とするテーマに、記者の上達が追いつけるかどうか…。もちろん、失敗のシーンが目に浮かぶような七転八倒ぶりも包み隠さずにご紹介するつもりだ。

とにもかくにもOBスタートだけは避けたい!

 さて、コースマネジメントとひと口に言っても、「ティーショットの落としどころ」「2打目、3打目の刻み方」「グリーン手前から攻める」…と、ポイントは様々にある。とはいえ、記者を含む初心者ゴルファーにとって、ゴルフの難しさに直面するのは、とにもかくにも第1打目のティーショットであろう。

 その象徴とも言うべき、今も鮮明に思い出せるシーンがある。昨年、13年ぶりにクラブを握ってからの初ラウンド、そこでの記念すべきドライバーショットは見事な2連発OBだった(参照記事:「体づかいの悪い癖はコースに出て学べ!」)。

 「フオア~ァァァァ~~~~」を連呼した後、キャディさんからいただいた「グッドマナーです(うふふっ)」という優しい言葉。一連の映像は脳内にアーカイブ化され、望みもしないのにしばしば勝手に再生される。

 以来、ドライバーの練習は積めどもティーショットは安定せず、「引っ掛け」「プッシュアウト」、はたまた「トップチョロ」…と、本コースでやらかしたことは数知れず。まして、初対面のプレーヤーとラウンドするときなどは、否応なしに緊張感もMAX…。さらにスタートホールで引く打順を決めるくじで「1番目」などを引こうものならば、酸欠になりそうなほどの重圧がかかりだす。もはやティーグラウンドに立つ前から、「前にだけは飛んでくれ…」と神に祈るばかりだった。

ドライバーのOBがなくなった要因は「ルーティン」の見直し

 しかし最近、プライベートでのラウンドにおいては、ドライバーでOBを打つことはなくなった。緊張を強いられるような場面でも、平常心でドライバーを振れるようになっている。その要因は、次に挙げる3つがかみ合ってきたからではないかと自己分析している。

ドライバーで安定したショットを目指して、ルーティンを改めて見直した。自分のリズムにあったパターンを見つけて、毎ホール、同じ作業を繰り返す。普段の練習から、試行錯誤を続けた。
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 まずは、狙った場所に絶対打つという「意志」を持つこと。次に、目標物を見つけてボールまでの飛球線を引く際に目印にする「スパット」(参照記事:「ボウリングの基本技術でアドレスを見直す」)を設定すること。これら2つの基本については、この連載で指導を仰いでいるゴルフ作家の山口信吾先生からも常々「絶対、あそこに打つという強い意志を持ちましょう」「スパットに集中してください」との助言を受けてきた。しかし、意識して取り組んではいたものの、それだけではショットが今一つ安定しなかったという経緯がある。

 そして最後にたどり着いたのが、「ルーティン」をしっかり見直すことだった。自分のスイングのリズムや感覚に合うように、素振りの目的や回数、ボールの前で両足を揃えて構えたときに、左と右のどちらの足から開いてスタンスを決めるか…。そんな細かいことまで意識しながら、自分にしっくりくるルーティンを探し続けた。

上級者は必ずボールの後ろに立ってからルーティンを始めている

 ラグビーのワールドカップにおいて、日本代表の五郎丸歩選手がプレースキックの前に必ず行って話題になったあの「謎の儀式」も、ルーティンである。五郎丸選手はキックするまでに、「右の手のひらを体の中心に向けて揺らす」「ポーズを取る」…といったいくつかの動作からなるルーティンを取り入れている。こうしてキック成功率80%以上という、ラグビー界では驚異の数字を保ち続けている。

 多くのゴルファーたちも同様に、様々なルーティンを意識の有り無しにかかわらずスイングに入るまでに行っている。ボールの前で構えてからクラブを何回かワッグル(体幹や肩、腕、手首などを動かしながらヘッドを軽く動かすこと)したり、クラブヘッドを剣先のように目標物に向けてから構えに入ったり。その方法はどれも個性的だが、上級者ゴルファーたちを観察して気づくことは、「必ずボールの後ろに立ち、狙う場所を決めることからルーティンを始めている」ことだ。

 「スポーツにおけるルーティンは、心と体を平静に整えることを目的にしています。ゴルフにおいては、どんな状況下にあっても『不安』や『邪念』といったことを振り払うことにもつながります。言うなれば、いつも通りの自分になるための儀式です」(山口先生)

練習場でもコースと同じルーティンをして1球ずつ打つ

 緊張で体が動かない、気持ちが高ぶって力が抜けない…といった経験は、どんなゴルファーにもあるだろう。そうした中でルーティンを取り入れると、いわば「心と体のリセット術」としての役割を果たしてくれる。先の五郎丸選手のエピソードではないが、記者のドライバーショットが安定してきたこととも無縁ではなさそうだ。

 「ルーティンを行う度に違う動作を加えたり、省いたりしていては、本来の役割は果たしません。つまり、本コースに来てから身に付けるものではない。すると、ルーティンは練習によって身に付けることが大切なのですが、練習場にも問題はある。今の練習場は、ボールが床下などから自動で出てくる『オートティーアップ』の施設が多いために、ルーティンもせずに機械的にボールを打ち続ける人がほとんどです。私は練習場に特製のゴムティーを持って行き、コースと同じルーティンを取り入れて1球ずつ打ちます。こうした些細なことに取り組むだけでも、実践に結びつく要素はいくらでもあるのです」(山口先生)

ルーティンの大半は“しつこい”ぐらいの基本の確認作業

 ご参考までに、記者がドライバーでティーショットを打つときのルーティンは以下の手順だ。

1 ティーグラウンドの後ろに立ち、コース全体を見渡し、狙い場所を決める。

フェアウェイ、ラフの広さはどうなっているか。ハザードまでの距離など、目視で得られる情報を確認する。


2 ティーグラウンドの「傾斜」を確認し、できるだけ平らな場所を探す。

よく観察すると、地盤の沈下や水勾配によって、左足やつま先の上がり下がりになっていることが多い。少し後ろに下がるだけで平坦なところにティーアップできることがある。また、ティーグラウンド全体がわざとOB方向に向いていることも少なくない。


3 ボールを打ち出す先の目標物とスパットを見つけて飛球線を引き、ティーアップする。

「狙い先」の奥に目標物を作り、「スパット」まで真っ直ぐに飛球線をイメージして引き、その延長線上にティーアップする。ティーの先30㎝ほどに落ち葉やディボット跡などを見つけてスパットにする。小技ではあるが、ボールに記されたブランドマークなどを飛球線に沿ってセッティングしておけば、「マークに沿って打ち出せばいい!」との心理的な安心材料にもなる。サインペンなどを使ってボールにラインや印をつけるゴルファーもいる。


4 両脚を揃えてボールの前に立ち、背すじを真っ直ぐ伸ばし、クラブのヘッドをボールの右側に合わせる。

飛球線に対して、両肩、両足先を結んだラインがそれぞれ平行か、クラブのフェイスは直角になっているかを確認する。


5 左右の順に足を開き、左手、右手の順にグリップを握る。腰を入れて前傾姿勢で構える。

グリップを握る場所がいつも同じになるように注意する。記者の場合、左手の親指をグリップに記された「YAMAHA」のロゴと真っ直ぐつながるようにしている。


6 上体、腕、クラブの動きを同調させながらワッグルを3回行う。

 力を抜くように意識して、ワッグルを少しずつ大きくしながら3回行う。終わったら息をゆっくり吸いながら、ゆったりとバックスイングに入る。

 ご覧いただければ分かるように、内容の大半はしつこいぐらいの「基本」の確認作業である。

 こうしたルーティンを丁寧に、かつテキパキと行うためには、ティーショットを打つまでの間、実は発火しそうなぐらい頭を使う。前回の記事でもご紹介したように、記者はティーグラウンドに上がる前後で「コースのヤーデージとレイアウトを確認」し、次に「グリーンまで2~3打で運ぶパターンをあらかた計算してしまう」ことにした。しかし、せっかくのラウンドであるから、同伴プレーヤーたちとの世間話やゴルフ談笑も捨てがい。さらには、水分を補給したり、スコアを記入したり、クラブやボールを拭く、素振りをする、「ナイスショット!」の声を掛ける、風向きを感じる…などなど。初めてラウンドするコースともなれば、ティーショットまでにこなさなければならならい“業務”は、それこそ日常でこなす仕事をするよりも膨大になる。

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【写真をクリックすると拡大してご覧いただけます】この連載で撮影の協力してもらっている西宮高原ゴルフ倶楽部の例でご紹介しよう。写真左は、やや打ち上げのパー4。フェアウェイがひょうたん型になっており、ティーショットを「手前」と「奥」のどちらに落とすかがポイント。左右のラフにはバンカーが待ち構えており、失敗してもラフまでが必須条件。写真右、左にドッグしたパー5。230ヤードを示す吹き流し手前に大きな木が聳えており、ティーショットのコントロールが求められる。木の左手側は、グリーンまでのショートカットになるが、ラフにつかまるリスクが高い。木の右側が定番ルートだが、行き過ぎるとラフの斜面か谷へ落ちる。万が一、木に当たると2打目がスタイミーになる。

「ショットに入る前の動作から意識を変えていくべき」

 今回はドライバーでティーショットを打つ時のルーティンに特化してご紹介したが、ゴルフは第1打目からパターでボールをカップに沈めるまで、同じような作業が18ホールで毎打繰り返され続ける。ラウンド終了後、体だけではなく、頭もくたくたになっているワケだ。

「ルーティンでミスショットを確実に減らしていけるのですから、疎かにせず、しっかり見直すべきです」(山口先生)
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山口先生 「自分で決めたルーティンを省略してしまうと、とんでもないミスショットが出ることがあります。例えば、雨や風が強い日などは、早く打ち終えようとしてルーティンを省略してしまいがちです。また、コース上にある視覚的な要素で心理的なプレッシャーが強くかかるときほど、淡々とルーティンをこなすことが大切。こうした所作を丁寧に繰り返すことで、ミスショットを確実に減らしていけるのですから、初心者のゴルファーも含めて、ショットに入る前の動作から意識を変えていくべきなのです」

記者 「たしかに、これまで私自身“ルーティンらしき”はしていましたが、順序と方法がまちまちでした。ですが、『願掛け』のように自分流のルーティンを取り入れたことで、自分でも驚くほどドライバーが安定してきたことを実感しています。失敗するときは決まって、ルーティンの途中で頭の中に余計なことを思い浮かべているときです」

ラウンド術トは『大叩きをしないため』のエチケットに通じる

山口先生 「淡々とルーティンをこなしたら、『決めた通りに打つ』ことがミスショットを防ぐことにもつながります。これから次のステップに向かうに当たり、『ラウンド術』や『コースマネジメント』といったことを実践して行くわけですが、その目的はそもそも何だか分かりますか?」

記者 「スコアアップをするための上達法…とは違うのでしょうか」

山口先生 「そうした側面も確かにありますが、実は『大叩きをしないため』なのです。林や斜面に打ち込めば、同伴者にボール探しを手伝ってもらうことにもなるし、それが続けば時間をたくさん費やす原因にもなる。つまりスロープレイにつながるのです。コースマネジメントを身に付けることは、スコアアップや技術の習得はもちろんですが、同伴者とのプレイを速やかに進めることにつながる。同じコース上にいるゴルファーに対して、スムーズにゲームを進めてもらうためのエチケットにもつながるのです」

記者 「まさに、その通りですね! 私も含めてスコアの良し悪しに目を向けがちですが、ゴルフのルールブック『ゴルフ規則』の第1章はエチケットで始まっていることにも通じているわけですね」

山口先生 「ラウンド術が身に付いてくると、技術の向上とともに、『無謀な挑戦』と『果敢な挑戦』を見極められるようになってくる。スコアカードから7打、8打といった数字がだんだんと無くなっていくはずです」

 直近のラウンド…。100ヤードを残したアプローチショットを打つ前に、五郎丸選手のルーティンを真似してパーティーの笑いを誘ったはいいが、悪ふざけが災いしたのか、仕切り直して放ったショットは痛恨のバンカー入り。先輩ゴルファーたちからは、笑いとともにすかさず鋭い突っ込みが入った。

 「笑いとってもスコアは縮まねぇ~ぞ! 2回も違うルーティンしたからスロープレイで1打罰な!!」

 ショットに不安を抱えているゴルファーは、ぜひ自分のルーティンを再確認してみてください。きっと変わるハズです。

ヤマハの2016年モデルは藤田寛之プロが新コンセプトを設計

 昨年の連載開始より「110の王」の記者が使用するクラブをサポートしてくれるヤマハが、2016年モデルを10月23日に発売した。今回は藤田寛之プロが新たなコンセプトを提案。ドライバー(2タイプ)、フェアウェイウッド(3・5・7W)、ユーティリティー(3・4・5UT)、アイアン(3シリーズ)の全シリーズがフルモデルチェンジとなった。

ヤマハの2016年モデルの発表会場では、新しいコンセプトを提案した藤田寛之プロと、谷口徹プロが登壇。開発中の試作エピソードなどが披露された。
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 特にドライバーは、「たわみのヘッド」と「しなりのシャフト」を組み合わせたRMX(リミックス)コンセプトを継承し、旧モデルよりも最大6.4ヤードの飛距離アップを実現した。新モデルの発表会場には、藤田寛之プロ、谷口徹プロの2人の元賞金王がステージに登場。「年齢は上がっても、まだ飛距離は伸びている」(藤田プロ)、「計測機器が壊れたのかと思うぐらい飛距離が伸びた」(谷口プロ)と感想を述べた。

ドライバー、フェアウェイウッド、アイアン、ユーティリティーの全タイプがフルモデルチェンジ。写真はフラッグシップモデルのRMX・116ドライバーと116アイアン。
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 ちなみに、身長173㎝、体重60㎏、筋骨隆々では決してない標準体型の記者が、マン振りでドライバーを打ったときの飛距離は260ヤード前後。体型に見合わない飛距離に周りが驚くことしばしばだが、その秘密はやはりヤマハのドライバーにあると確信している。ぜひ、ヤマハが主催する試打会や、ゴルフショップなどで、その「飛び」を実感してみては。詳しくは、ヤマハのホームページで。

(写真:水野浩志)

山口信吾(やまぐち しんご)さん
ゴルフ作家
山口信吾(やまぐち しんご)さん 1943年生まれ。九州大学工学部を卒業後、同大学院を修了。69年に竹中工務店に入社。72年にハーバード大学大学院を修了後、シカゴの大手設計事務所に勤務。75年に帰国し、竹中工務店に復帰。43歳からゴルフを始め、還暦を前に一念発起し、独自の練習法によって2年でシングルを達成した。ベストハンデキャップ8。新聞および雑誌に寄稿多数、ゴルフの著作は14冊にものぼる。現在、「WEBRONZA」(朝日新聞社)において、『ゴルフがある喜びと幸せ』を連載中。
撮影協力
西宮高原ゴルフ倶楽部


衣装協力/山口先生、ポロシャツ9180円、パンツ9720円、ゴルフインナー5400円、ベルト8100円。記者、ポロシャツ7560円、パンツ9720円、コンプレッションインナー4536円、ベルト8100円。以上、すべてアンダーアーマー。