練習場でもコースと同じルーティンをして1球ずつ打つ
緊張で体が動かない、気持ちが高ぶって力が抜けない…といった経験は、どんなゴルファーにもあるだろう。そうした中でルーティンを取り入れると、いわば「心と体のリセット術」としての役割を果たしてくれる。先の五郎丸選手のエピソードではないが、記者のドライバーショットが安定してきたこととも無縁ではなさそうだ。
「ルーティンを行う度に違う動作を加えたり、省いたりしていては、本来の役割は果たしません。つまり、本コースに来てから身に付けるものではない。すると、ルーティンは練習によって身に付けることが大切なのですが、練習場にも問題はある。今の練習場は、ボールが床下などから自動で出てくる『オートティーアップ』の施設が多いために、ルーティンもせずに機械的にボールを打ち続ける人がほとんどです。私は練習場に特製のゴムティーを持って行き、コースと同じルーティンを取り入れて1球ずつ打ちます。こうした些細なことに取り組むだけでも、実践に結びつく要素はいくらでもあるのです」(山口先生)
ルーティンの大半は“しつこい”ぐらいの基本の確認作業
ご参考までに、記者がドライバーでティーショットを打つときのルーティンは以下の手順だ。
1 ティーグラウンドの後ろに立ち、コース全体を見渡し、狙い場所を決める。
フェアウェイ、ラフの広さはどうなっているか。ハザードまでの距離など、目視で得られる情報を確認する。
2 ティーグラウンドの「傾斜」を確認し、できるだけ平らな場所を探す。
よく観察すると、地盤の沈下や水勾配によって、左足やつま先の上がり下がりになっていることが多い。少し後ろに下がるだけで平坦なところにティーアップできることがある。また、ティーグラウンド全体がわざとOB方向に向いていることも少なくない。
3 ボールを打ち出す先の目標物とスパットを見つけて飛球線を引き、ティーアップする。
「狙い先」の奥に目標物を作り、「スパット」まで真っ直ぐに飛球線をイメージして引き、その延長線上にティーアップする。ティーの先30㎝ほどに落ち葉やディボット跡などを見つけてスパットにする。小技ではあるが、ボールに記されたブランドマークなどを飛球線に沿ってセッティングしておけば、「マークに沿って打ち出せばいい!」との心理的な安心材料にもなる。サインペンなどを使ってボールにラインや印をつけるゴルファーもいる。
4 両脚を揃えてボールの前に立ち、背すじを真っ直ぐ伸ばし、クラブのヘッドをボールの右側に合わせる。
飛球線に対して、両肩、両足先を結んだラインがそれぞれ平行か、クラブのフェイスは直角になっているかを確認する。
5 左右の順に足を開き、左手、右手の順にグリップを握る。腰を入れて前傾姿勢で構える。
グリップを握る場所がいつも同じになるように注意する。記者の場合、左手の親指をグリップに記された「YAMAHA」のロゴと真っ直ぐつながるようにしている。
6 上体、腕、クラブの動きを同調させながらワッグルを3回行う。
力を抜くように意識して、ワッグルを少しずつ大きくしながら3回行う。終わったら息をゆっくり吸いながら、ゆったりとバックスイングに入る。