日経グッデイ

月イチゴルファーが2年でシングルを目指す!!

リスク回避の3つの決め事で「ハーフ39」の奇跡!

第19回 ゴルフの女神が降臨? 「ミスのドミノ倒し」をこう防いだ

 池田 悟=日経Gooday

鬼編集長の業務命令で、「2年でシングルを目指す」という途方もない目標のゴルフ企画を担当することになった40代記者。今回は「コースマネジメント」というキーワードとともに、プライベートでラウンドしたときに記者が実践したことをご紹介しよう。3つの決めごとで、本人も驚きの結果が…。

 9月某日。「幸運の女神」が突如として舞い降りてきた。まさかサマージャンボ宝くじで1等が当選…、それとも競馬で大穴馬券が的中した…。いずれでもない。

 舞い降りたのは、「ゴルフの女神」。

下手は下手なりに、「ミスをしない」「ミスを続けない」作戦が、自分でも驚きの結果に結びついた。(写真は西宮高原ゴルフ倶楽部でのラウンドの模様)
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 イン39・アウト49 =88

 なんと、スコア90を切ってしまいました(栃木県・皐月ゴルフクラブ 鹿沼コース<北・南コース>パー72・6127ヤード)。

スコアカードをご覧頂ければ分かるように、当日のラウンドは変則的で、昼食を挟んだ後は、急きょ2サムからベテランの元シングルプレーヤーを含む4サムでプレイすることになった。すっかりリズムを崩してしまったが、それも言い訳か…。
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 前回の記事(関連記事:「リベンジラウンドでスコア92の大躍進! 目指すは80台」)では、過去1年を振り返りながら、次の目標として「80台を目指す」ことを掲げた。この高い目標を、6月の「100切り」から、わずか3カ月で早くも達成してしまった。

 ただ、あまりに順調な進み具合に、編集部内では逆にアゲインストが強まりつつある。

 「仕事を怠けて、随分と練習に励んじゃってるみたいだなぁ。来月から仕事を増やすか?」

 記者の七転八倒の姿だけを楽しみにしている我がGoodyのドS編集長は、最近、ちょっとご機嫌斜めである。背中のトラブルでラウンドを途中リタイアしたあの時(関連記事:『 ハーフ「58」でギブアップ…。開花宣言の前にサクラ散る』)にかけてくれたような優しいまなざしは、今はもうない。

ハーフ39という未曾有!?の出来事

 くだらない前置きはさておき、スコア80台はプライベートラウンドにおける初めての経験であるワケだから、コンスタントに80台を出せる腕前が身に付いたとは思っていない。後半で10打も余計に叩き、大きく乱れたのがその証だ。すなわち、まだまだ未熟者。調子やリズムが崩れれば「110の王」に逆戻り…といった可能性も十分にあり得る。

 しかし…である。いまだに達成した実感を伴わない90切りに加えて、ハーフ39という未曾有!?の出来事が、記者に与えてくれたヒントは数知れない。前号でも予告したように、今回は「コースマネジメント」というキーワードとともに、プライベートでラウンドしたときに記者が実践したことについてご紹介したいと思う。

 果たして、これから綴ることが「正解なのか」「偶然だった」のかは見当もつかない。恐らく、中上級者ならば当然のことなのかもしれないが、もしもそうであるとしたら、この先「もっと上達したい」「スコアアップにつなげたい」というゴルファーにとっては、意外と役立つことなのかもしれない。

リスク回避のための決め事を徹底してみた

午後からのハーフは、午前中の決め事もどこへやら…。気の緩みによってあっという間に、2打、3打とミスを重ねてしまうことに。(写真は西宮高原ゴルフ倶楽部)
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 当日のラウンドは、ドライバーでのティーショットが好調だったことに加えて、「コースマネジメント」という言葉をより意識したことが好結果につながったと自己分析している(後半は防戦一方で、危うく50台に突入するところだったが…)。

 コースマネジメントとひと口に言っても、この連載でゴルフの指導をして頂いている山口信吾先生のような、攻守を自在に使い分けるシングルプレーヤーの領域には、到底及ばない。とはいえ、腕に覚えがなく経験も乏しい記者が、スコアアップを目指すとすれば、下手は下手なりに考えてプレーするしかない。そこで、当日は、リスク回避のための3つの決め事を徹底してみたのだ。

  • 1つ目
    ティーグラウンドでヤーデージ(距離表示)を見て、ピンまでの距離を自分の飛距離に合わせて『足し算』する」こと。
  • 2つ目
    ライに応じてミスする確率が高いショット・クラブは選ばない」こと。
  • 3つ目
    ピンの手前から攻める。グリーンに届かず…は許す」こと。

 たったこれだけである。こう決めた理由は、自分がスコアを崩す最大の原因と考えられた、「ミスのドミノ倒し」を防ぐことにあった。

記者がパー4でツーオン狙いは「奇跡2連続」に匹敵!?

 まず、『足し算』については、自分がグリーンに2打、3打で運ぶためには、どういった組み合わせがあるかをティーグラウンドで計算してしまうのだ。

ティーアップするまでに、必ずヤーデージを確認し、グリーンまでの番手と距離を計算してしまう。コースレイアウトの確認も忘れずに。
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 例えば、400ヤード・パー4のホールだとしよう。記者の場合、「ドライバーで250ヤード、7番アイアンで150ヤード」だと決めれば、2打でグリーンまで運べる。一方、3打でよければ、「ドライバー220、9番アイアン120、AW60(ヤード)」、「3W200、PW110、AW90(ヤード)」…などと選択肢は広がる。

 グリーンまで2打では運ぶには、ドライバーもアイアンも「マン振り」で「芯喰い」の条件が求められる。すなわち、上級者でもない限り、最初の選択肢は今の記者にとって「奇跡が2回起こる」に等しい。言わずもがな、ミスをする確率が極めて高い。

 一方、3打でグリーンに届く方法を選択する場合、ティーショットでドライバーにこだわる必要はなく、打ち出す方向にあるラフの幅やハザードの有無によってフェアウェイウッドを選択する手もある。もちろん、ドライバーの調子がよければ、力を抜いたコントロールショットを心がけて200ヤードを狙う手もある。

 もしも、想定していた距離よりも飛んでいれば“ラッキー!”で、2打目の選択肢がまた1つ増やせると考える。しかし、想定より飛んでいなかった場合は、「ミスを重ねやすいから次打は注意」と警戒をする。これは実際に、山口先生と一緒に撮影でラウンドしているときのアドバイスにもあった。

 「ゴルファーがミスしたときの心理は、決まって『距離損を取り戻そう』とすることです。するとこれが面白いことに、また無理をしてミスショットを重ねてしまう。こうした“負の連鎖”に陥らないことが何より大切です。例えば、林に打ち込んだり、深いラフやバンカーに入ったりしたら、まずはしっかりフェアウェイに戻すこと。ゴルフの基本中の基本です」(山口先生)

密集したラフからは「フェアウェイウッド禁止」にした

 もちろん、ゴルフにトラブルやミスショットはつきもの。快心のティーショットで250ヤードを超すビッグドライブを放ったとしても、2打目のライが「傾斜地の深いラフ」「ディボット跡(芝が削れたところ)」「樹木がスタイミー(飛球線上に障害物があること)」といった状況はよくあることだ。記者も過去のラウンドで、目の前の木がスタイミーな状況でフルショットしたら、ボールが見事に当たり、80ヤード近く後ろに跳ね返された経験もある(関連記事:『痛恨! 再挑戦の1人ラウンドも「120」の大叩き』)。

写真にあるような、「つま先下がり」「深いラフ」といった難しいライから飛距離を稼ごうとしたり、ピンを狙ったりすると、これまでの経験から記者は大概ミスになった。こうした状況では、フェアウェイに戻すことを実践した。(写真は西宮高原ゴルフ倶楽部)
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 よくあるトラブルのケースは、「ラフにつかまった」という状況だろう。そこで、心がけたのが2つ目の決め事である「ミスをする確率が高いショット・クラブは選ばない」ことだ。

 記者の場合、ボールが半分まで隠れるような密集したラフからは「フェアウェイウッド禁止」にした。パー5、もしくは400ヤードを超えるような長いパー4の2打目では、どうしても距離を稼ぎたくなるもの。だが、深いラフにつかまっている状況からでは、フェイスがボールとの間にある芝に喰われてミスショットになりやすいことは、過去のラウンドを振り返れば明らかだったのだ。そこで先の山口先生の助言にもあったように、「とにかくフェアウェイに戻す」ことを心がけ、深いラフでは8、9番アイアン、PWから選び、“負の連鎖”に陥らないように努めた。

「ピンの手前から攻める。グリーンに届かず…は許す」

 もちろん、どんなに心がけを実行したとしても、結果的にはミスショットは出てしまうものだ。そのミスを無理して取り返そうとすると、ホールの最終舞台であるグリーン周りで悲劇に見舞われることになる。

 そこで3つ目に掲げた決め事が、「ピンの手前から攻める。グリーンに届かず…は許す」なのである。

 無理を承知でピンをデッドに狙って打とうとすると、無意識に1番手大きいクラブを選んだり、力んだままマン振りのフルショットをしたりしがちだ。するとそんなときに限って、トップやダフリ、あるいは芯を喰ってグリーンオーバー…という結果になる。そこでグリーンの手前に狙いを定めてショットに入る。ライによっては番手を下げる。番手が1つ小さければ、万が一、ひどいトップをしてもグリーン奥まで突き抜けることはない。上手くグリーンに乗れば「ラッキー!」と思い、ショートしたとしても「たくさん練習してきたアプローチを試す機会だ!」と気持ちを切り替える。

 こうして前半9ホールを終えた時点で、1バーディ、4パー、4ボギー…の39という結果となったのだ。

自分に基準を設け『攻める』『守る』を判断していく

 ここまで紹介した内容は、単なる決め事で、適切な判断で攻守を柔軟に切り替える「コースマネジメント」からは程遠いかもしれない。それを象徴するかのように、午前中の好スコアで気が緩んだせいか、午後は「3つの決め事」などどこへやら…。後半は、前半とは打って変わりダボ、ボギー、ダボが続き、10打も余計に叩いてしまう有様。

 でも、結果が出ればやっぱりうれしい。早速、ラウンドを振り返った後に、「90切り」をした報告を、いの一番に師匠である山口先生に報告した。

山口先生 「それはそれは嬉しい知らせですね。早くも88とは素晴らしいです! コースマネジメントを意識したとのことですが、実は多くのゴルファーが場当たり的にプレーをして、ただでさえ難しいゴルフをかえって難しくしているように見受けられます。ゴルフも将棋と同じように、次の一手、その次の一手、そのまた次の一手と、先を読みながら『悪手』を避け『最善手』を見つけることが面白さであり、醍醐味でもあると私は考えています。ちなみに、私は、いつもショットに入る前に、3つの作戦を立てて臨みます」

記者 「やっぱり私と同じ3つなのですね」

ピンを狙うばかりがマネジメントではない。特にグリーンの面が見えないようなライから無理に狙って、ガードバンカーや奥にある深いラフに…という経験は誰しもがあるだろう。(写真は西宮高原ゴルフ倶楽部)
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山口先生 「内容は随分違います(笑)。私の場合は、残りの距離やグリーン周りやピンの位置などの状況に応じて、真っ向からピンを狙う『バーディ作戦』、花道などの安全なところを狙って打ち、次のアプローチでぴったり寄せてパーを拾う『パー作戦』、得意な距離を残して刻んで悪くてもボギーを確保する『ボギー作戦』の、どれかを選ぶようにしています。多くの人が、状況を考えずに自動的に残りの距離に応じたクラブを選んで打ち、深いバンカーや池、ライの悪いところへ打ち込んで大叩きをしています。状況に応じて自分の技量に見合った作戦を立てることが重要です。私が『バーディ作戦』を選ぶのは150ヤード以下で、難しいハザードが待ち受けていないときです。150ヤードを超えれば、即、『パー作戦』か『ボギー作戦』に切り替えます」

記者 「先生の場合は、1打ごとに状況判断をしながら、臨機応変に作戦を変えていくのですね」

山口先生 「コースマネジメントとはまさに『敵(コース・状況)を知り、己(技量)を知る』ことだと思っています。先にご紹介した『パー作戦』では、カップに寄せやすいところから前向きな気持ちでアプローチを打てるので“寄せワン(アプローチショットを1パットで決めやすい位置につけること)率”が高いのです。もしも、『バーディ作戦』でグリーンを外せば、ライが悪いところから、『あー、失敗した』という後ろ向きの気持ちでアプローチを打つことになる。そんなときには寄せワンなど望みようもありません」

記者 「なるほど。今回のラウンドを振り返ると、ミスショットをしないための自分なりの判断基準を作ることの大切が分かったことは大きな収穫の1つです。ただ、これは技術的な課題ですが、ショートゲームに難があるとスコアアップにならないことを改めて痛感しました。グリーン手前のラフからピンまで20ヤード前後というような状況では、距離を合わせようとクラブを手で操作して、結局、長い距離のパットが残る…というような。『アプローチとパターが下手な上級者はいない』という先生の言葉が、ますます身に染みています」

「ゴルフも将棋と同じように、次の一手、その次の一手、そのまた次の一手と、先を読みながら『悪手』を避け『最善手』を見つけることが面白さであり、醍醐味でもあると」と山口先生。(写真は西宮高原ゴルフ倶楽部)
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山口先生 「私にとって、残り150ヤードは、バーディやパーを確実に狙う『有効射程距離』だとしています。ある程度のレベルに達するとショットの確実性が増すので、自分なりの基準に沿って、『攻める』『守る』の適切な判断ができるようになってきます。上を目指していくほど、『大叩きをどれだけ避けるか』が課題になってくるので、状況に応じたマネジメントの重要性もさらに高まるのです。次回のロケでは、パー3、パー4、パー5のホールを丁寧に打ち進めながら、ケーススタディを交えた練習ラウンドをしてみましょう。腕前はスコアの安定性で測ることができます。これからは10回に1回、さらには5回に1回と、コンスタントに80台が出せるように、ますます精進してください。それと次回のラウンドからは『ストロークコントロール(*1)』にスコアを記録し、同伴者のサインをもらっておくことをお薦めします。10枚貯めてハンデを取得すれば、一段と励みになるはずです」

 初めての80台に自分自身でも驚いたうえに、前半39という分不相応なスコアが現実になってしまうと、「何か悪いことでも起きやしないか」との不安もよぎる。しかし、まぐれと言われようが、やっぱり「チョーうれしい!」。

 下手は下手なりに頭を使って、精進、精進…。「幸運の女神」がまた力を貸してくれることを願って。

(*1)ハンデキャップを取得するために、ラウンドで使用するスコアカードとは別に記入するカードのこと。「ラウンドした日付」「選択したティーグラウンド(バック・レギュラー・フロント…など)」「スコア」「競技者名」「6インチリプレースの有無」などをプレーヤーが記入し、同伴競技者に確認のサインをしてもらう。10枚集めてJGA(日本ゴルフ協会)に提出すれば、公式のハンデキャップが認定される。

(写真:水野浩志)

山口信吾(やまぐち しんご)さん
ゴルフ作家
山口信吾(やまぐち しんご)さん 1943年生まれ。九州大学工学部を卒業後、同大学院を修了。69年に竹中工務店に入社。72年にハーバード大学大学院を修了後、シカゴの大手設計事務所に勤務。75年に帰国し、竹中工務店に復帰。43歳からゴルフを始め、還暦を前に一念発起し、独自の練習法によって2年でシングルを達成した。ベストハンデキャップ8。新聞および雑誌に寄稿多数、ゴルフの著作は14冊にものぼる。現在、「WEBRONZA」(朝日新聞社)において、『ゴルフがある喜びと幸せ』を連載中。
撮影協力
西宮高原ゴルフ倶楽部


衣装協力/山口先生、ポロシャツ9180円、パンツ9720円、ゴルフインナー5400円、ベルト8100円。記者、ポロシャツ7560円、パンツ9720円、コンプレッションインナー4536円、ベルト8100円。以上、すべてアンダーアーマー。