日経グッデイ

月イチゴルファーが2年でシングルを目指す!!

13年ぶりにクラブを手にした40代オヤジでもシングルになれる!?

第1回 13年間のブランクを経てゴルフに再チャレンジ

 池田 悟=日経Gooday

がんばって練習を積み重ねても、「100」を切るどころか、「110」すら切れないゴルファーは少なくない。そんな“永久ビギナー”でもある記者が、鬼編集長の業務命令で途方もない目標のゴルフ企画を担当することになった。伸び悩み中の人はもちろん、これから始めたい人や女性ゴルファーも必見! 13年ぶりにクラブを握る万年“110の王”の40代記者が、2年でシングルを目指す!

練習を続けても、スコアがなかなか「100」を切れない苦い過去

 記者にとってゴルフは、どこかほろ苦くて甘酸っぱい、夏の思い出ばかりである。

 あれは19歳の夏だった。父親に連れられて訪れた練習場で初めてクラブを握った。今の40代にしては、デビューは意外に早いほうだと思う。見よう見まねでドライバー(1W)を振り回していたのに、これが実にうまく芯に当たった。若い肉体から打ち放たれるボールは矢のように飛んで行く。

 ちなみに、中高校生時代はテニスで鳴らし、こう見えても高校時代には国体の“県強化メンバー”にも指定された経験もある。運動神経において“プチ自慢”をしたいのだが、無論、今やその面影は微塵もない。

鬼編集長の業務命令によって、泣く泣く!? ゴルフを再開することになった。この先、果たして…。

 「ゴルフって気持ちいい~。俺って天才かも!?」

 こう思いながら力任せにスイングしたその刹那、

 「あぢゃあぁぁ~~~」

 という奇声とともに、5打席奥にいた紳士がその場にうずくまった。ボールが真横に飛ぶ 「シャンク」をしてしまったのだ。何がなんだか分からず、父親と一緒に平身低頭、謝り続けた。その後、被害に合われた紳士を練習場で見かけることは二度となかった。ほろ苦い夏の思い出であった。

 それ以降もゴルフの「女神」は、私に満面の笑みは与えてはくれず、一歩進めば二歩“下がる”どころか、四歩も五歩も“落ちる”の繰り返し。

 トドメは、会社のコンペにあった。ようやくアベレージゴルファー(100を切るスコアでラウンドできる技量)になってきたかという矢先、参加費が安いとの甘い言葉に誘われて訪れたのは、日本男子プロツアーも開かれる屈指のチャンピオンコース。ただの頭数合わせで参加させられたことは本人もつゆ知らず、上級者用の「フルバック(最も奥にあるティーグラウンド)」からラウンドすることになった。

 同組だった印刷会社の営業マンとは午後のハーフから急に会話がなくなり、途中から熟練キャディーからは「体が開いてますよ!!」「ドンマイ、ドンマイっ!」などと、スイング指導やら慰めやらが加わる始末。みんなさっさと前に進みたかったのだろう。ボールを探して一人、コース上を右に左にと走り回る姿は、まるで“捜査犬”のようだったに違いない。結局、140も叩いた。31歳、このときも灼熱の夏だった。

 屈辱のコンペを最後にクラブを封印し、既に13年の月日が流れていた…。

普通のサラリーマンでも2年でシングルを目指す方法

記者 「ゴルフは大好きですよ。でも、いま話した通り、私には向かないんです」

編集長 「ん? だって好きなんだろ? 再デビュー企画で行こう。子育てでブランクがある読者もいたり、これから始めたい人や伸び悩んでいる人だって、中年記者のヘボぶりを見れば勇気をもらえるって。女性読者から応援メールも来るかもしれないじゃん。それにお前、現場の撮影は得意だろ?」

記者 「ええ、まあ~。いや、その…、ゴルフはお金かかりますし、今、クルマも持ってないんです。それに家庭のね、ね、懐事情もありますし。既にプライベートでも人生のOBを打ってますし、二度は避けたいんですよ。ゴ、ゴ、ゴルフは嫌いじゃないのですが、もっと適任者が」

編集長 「4人の部員のうち、3人は企画が決まっているのに、ほかに誰が担当できるんだ。これは『業務命令』だ。もう一度、(人生の)OB打ってこい! ゴルフ担当を命ず! 」

 その瞬間、頭の中でソロバンが猛烈に弾かれる音が響く。昔から損得勘定の暗算はやけに早い。ちなみに、記者は珠算も2級だ。

 クラブの14本フルセット、キャディバッグ、ウェア、シューズ、ボール、ラウンド用小物一式、室内練習用具、コースラウンド代、練習場代、コーチ料、交通費、レッスン本やDVD、かつての“ゴル友”への再開宣言などなど、想定予算はとっくに給料の手取り額を突破し、うなぎ上りのうなぎも驚くほど跳ね上がる。クラブは実家の物置きに眠っている…、いや待て、20年落ちだぞ。うわぁ、これはマズイ。下手すると年間100万円近く出費するぞ…。ましてクルマを購入するなんてことになったら。人生、二度目のOBどころか、余生もロストする!!!

・・・呼吸が浅くなり、意識が遠のいていく。

 こうした葛藤を経て、13年ぶりにゴルフの扉を再び開くことになった。現在、44歳…。奇しくもまた夏の出来事なのである。

 記者の身上と担当に至る経緯はこれぐらいにして、早速、前に進むことにしよう。

 だって、「業務命令」なのだから…。

たった4つの体操がゴルフの上達と関連していた

 このゴルフ企画を立ち上げるにあたり、5つの狙いを踏まえることにした。

  1. 記者自身が実践し、これからゴルフを始める人100を切れずに伸び悩んでいる人女性ゴルファーの上達のきっかけになる手本(道化とも言う)になること
  2. 始めるからにはシングル(ハンデ1~9)を目指す。ただし、時間と小遣いに制約があるビジネスパーソンが、効率よく上達できる練習法を提案すること
  3. ゴルフを通じて体の構造や仕組みを学びながら、自分の体の特長に関心を向けること
  4. クラブの無駄な買い替え、最新ゴルフ理論は追求しないこと。夜のクラブ活動は禁止
  5. ゴルフに関心がある人はもちろん、関心がない人にもゴルフの魅力を伝えること
今もサラリーマンゴルファーのバイブルとなっている山口先生の名著。その第一弾の新版が今年10月2日に発売。

 アイデアが浮かんでは消え、消えては浮ぶ、を繰り返している中で、一冊の本がこの企画の進むべき方向を啓示してくれた。それが、『普通のサラリーマンが2年でシングルになる方法<新版>』(山口信吾著、日経ビジネス人文庫・756円)だ。2004年に出版して以来、これまで14回もの増刷を続けるロングセラー本である。

 早速、山口先生に連絡を取り付けて、記者の身上と企画の意図を説明する。今思えば、さぞや強引で厚かましいお願いを並べたてたものだと感心、いや、反省している。

 記者「弟子にしてください。もしもダメならば、せめてレッスン指導でも…」

 先生 「それではクラブをお持ちになって7月30日に大阪の自宅までいらっしゃい。それまで、私の著書に書いてある『真向法(まっこうほう)体操』をやっておいてください」

 もしや、厳しい入門テストが待ち受けているのだろうか…。自分で設けた「シングルを目指す」という途方もないハードル故に、先生からの課題は必死で達成するしかない。

 真向法体操とは、4つの簡単なポーズからなるストレッチ系メソッドのことだ。1ポーズおよそ3分、呼吸に合わせながら反復を繰り返し、股関節と骨盤の周りをほぐす。体のゆがみを整え、全身の血流を高めて「肩こり」や「腰痛」などの不調を改善するほか、アンチエイジング効果も期待できるとされる。

 頭は硬くても体は少し柔らかいと思っていたが、四十半ばの肉体にはなかなか手ごわい。

 これから紹介するメソッドを、読者のみなさんにも挑戦してもらいたい。シングルへの第一関門だ。

真向法体操 第一体操(1)
足の裏を合わせて、かかとと股の間をこぶし1つ分空けて床に座る。足首または足の甲を両手で包んで押さえ、背すじを真っすぐ伸ばす。胸を張って、ゆっくり呼吸を整える。
[画像のクリックで拡大表示]
第一体操(2)
上体を最大まで倒しながら、息を深く吐く。おへそをできるだけかかとに近づけ、 腰は丸めないように。息を吐き切ったら、最初の位置に戻る。これを10回繰り返す。
[画像のクリックで拡大表示]
真向法体操 第二体操(1)
床の上で脚を前に伸ばして座り、背すじを伸ばす。つま先は 上に向け、両手は太ももの上に置く。呼吸を整える。
[画像のクリックで拡大表示]
第二体操(2)
上体をお腹、胸、顔の順で、床に近づけるように倒す。 息を吐き切ったら、最初の位置に戻る。これを10回繰り返す 二つ折りになる“ガラケー”のような形(ポーズ)になるのが理想だ。
[画像のクリックで拡大表示]
真向法体操 第三体操(1)
床の上で脚を左右に大きく開いて座り、背すじを伸ばす。 つま先は上に向け、膝の上に手のひらを置く。呼吸を 整える。
[画像のクリックで拡大表示]
第三体操(2)
上体をお腹、胸、顔の順で、床に近づけるように最大 まで倒す。息を吐き切ったら、最初の位置に戻る。こ れを10回繰り返す。ひざの裏が床からできるだけ離れないように。記者の体は膝の裏が床から離れてしまい、 まだまだ硬い。
[画像のクリックで拡大表示]
真向法 第四体操(1)
床の上で正座になり、背すじを伸ばす。呼吸を整える。
[画像のクリックで拡大表示]
第四体操(2)
正座していた足のかかとを体の側面に出し、割り座になる。腰は丸めないように。
[画像のクリックで拡大表示]
第四体操(3)
上体をゆっくり背中側に倒し、両ひじで支える。呼吸は止めない。
[画像のクリックで拡大表示]
第四体操(4)
さらに上体を床まで倒したら、両手をバンザイする。両腕を耳に密着させるように意識したまま、1分ぐらいキープする。この間、呼吸は深くゆっくり続ける。腰と膝が床から離れないようになるまでほぐそう。
[画像のクリックで拡大表示]

ゴルフに欠かせない筋肉がカチカチに固まっている

 「楽勝!」とは思っていたものの、長年の運動不足で、体は想像以上に硬くなっていた。股関節や骨盤の動きを高めるために必要な、背中にある「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」をはじめ、太もも前部の「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」、太もも裏の「ハムストリングス」、太もも内側の「内転筋」、そしてお尻の側面にある「中殿筋(ちゅうでんきん)」といった筋肉群が伸びてこない。なるほど、これでは体幹の筋肉が使えないどころか、クラブを振るレベルに達していない。恐るべし中年の肉体、そして恐るべし真向法体操…。

 体がようやくほぐれだしたのが、体操をやるようになって1週間を過ぎたころだった。その間、毎夜深夜1時過ぎに、「うぉ~~」「あっ、ぎゃぁ~~」といった“事件性”を帯びた野太い男の声が、隣り近所に不気味に響いていたに違いない。

 「大阪、夏の陣」まで、あと2週間。

 山口先生の宿題をクリアすることが、明るい未来を約束してくれる。

(写真:水野浩志)

(次回は、「ゴルフが上達しなかったのは体の使い方がマズかった」の予定です。ぜひ、ご覧ください)

山口信吾(やまぐち しんご)さん
ゴルフ作家
山口信吾(やまぐち しんご)さん 1943年生まれ。九州大学工学部を卒業後、同大学院を修了。69年に竹中工務店に入社。72年にハーバード大学大学院を修了後、シカゴの大手設計事務所に勤務。75年に帰国し、竹中工務店に復帰。43歳からゴルフを始め、還暦を前に一念発起し、独自の練習法によって2年でシングルを達成した。ベストハンデキャップ8。新聞および雑誌に寄稿多数、ゴルフの著作は14冊にものぼる。

撮影協力
西宮高原ゴルフ倶楽部
衣装/ポロシャツ(オレンジ、イエロー、ブルー)7020円、パンツ(ホワイト・ブラック)1万800円、ゴルフインナー(ホワイト)5400円、ベルト(ホワイト、ブラック)8100円、コンプレッション3/4レギンス(黒)6480円、コンプレッショントップス(グレー×ブルー)8424円。以上すべてアンダーアーマー