日経グッデイ

月イチゴルファーが2年でシングルを目指す!!

リベンジラウンドでスコア92の大躍進! 目指すは80台

第18回 基礎探しの1年間を経ても「伸びしろだらけですよ」

 池田 悟=日経Gooday

鬼編集長の業務命令で、「2年でシングルを目指す」という途方もない目標のゴルフ企画を担当することになった40代記者。今年3月に無念のギブアップをして以来、4カ月ぶりに再挑戦となった西宮高原ゴルフ倶楽部でのリベンジラウンド。ゴルフ作家・山口信吾先生の御前ラウンドで、ようやく100切りを果たすことができた記者。今回は、これまでの厳しい道のりと、次なるステップについてお届けしよう。

 「合格! 文句なし!! ここまでよく頑張りましたね!!!

 記者がホールアウトすると同時に、この連載でゴルフの指導をお願いしている山口信吾先生から一声が上がる。

 7月某日、西宮高原ゴルフ倶楽部(兵庫県西宮市)での山口信吾先生とのラウンド。3月のロケで屈辱の途中ギブアップ(関連記事:ハーフ「58」でギブアップ…。開花宣言の前にサクラ散る)をして以来、実に4カ月ぶりのリターンマッチとなった。

前半48と苦戦したものの、後半は44でまとめてスコア「92」を達成! 苦節1年!? ようやく第一関門をクリアしました。
[画像のクリックで拡大表示]

 既に本編でもお伝えしたように、6月にプライベートのラウンドでようやく100切りを達成(参照記事:100切り達成を支えた、ミラクル「8番アイアン」)したが、いつものロケ地である西宮高原ゴルフ倶楽部で、そして、山口先生の前で100切りを達成することが今回のミッションだった。

「絶対に100は切りたい人」に少しでもお役に立てれば

 では、恒例の結果から先にお伝えしよう。

[画像のクリックで拡大表示]

 スコアは、「92」!!!

 イン・スタートの前半は48と防戦に近かったが、3番ホール・パー5では人生で2度目となるバーディーを奪取するなど、リズムは悪くなかった。今までのラウンドであれば、後半からガラガラと崩れていくのがお約束だが、例によってこの日も(?)根拠のない「確信」があった。昼食を挟み、アウトは4連続パーを含む「44」でホールアウト。6月のラウンドに続き、アマチュアゴルファーの最初の壁とされる「100切り」を連続で達成したことになる。

 ちなみに、100切りを達成して以降、8月の現時点までにプライベートで3回ラウンドを消化したが、すべて初めてのコースでレギュラーまたはフロントティーから回り、「93」「97」「94」というスコアだった。

 そこで今回は、この1年間を振り返り、これまでのプロセスをたどってお伝えしてみたい。「絶対に100は切りたい」という読者に少しでもお役に立てればと思う。中上級者であれば、「そんな時代もあったなぁ…」とニヤけて頂けたら是幸いだ。

エレベーターの中でもシャドウスイング

 2014年6月に13年ぶりにゴルフクラブを握り、7月下旬にティーオフをしてからおよそ1年(参照記事:13年ぶりにクラブを手にした40代オヤジでもシングルになれる!?)。この間、ほぼ月1~2回のペースでラウンドし、15回目にして「100切り」を達成できた。これが果たして「早いのか」「遅いのか」は定かではないが、「あれだけ練習してきた割に、なかなかクリアできなかった」というのが、記者の本音だ。

 ネットで調べたいくつかの情報によれば、我々アマチュアゴルファーの70~75%が100切りを達成できていないと推察されている。その要因に挙げられているのが、「練習量」と「ラウンド数」の不足だ。

90の大台に乗ったとはいえ、まだまだ3パットも多い。山口先生が魅せる「いつもカップに吸い込まれるようなパット」を目指したい。
[画像のクリックで拡大表示]

 たしかに、記者をはじめとする月イチゴルファーで、なおかつ時間や小遣いにも制約があるサラリーマンともなれば、頻繁に練習できない事情は痛いほどよく分かる。週末に200ヤードを超える大型練習場に行けば、1球20円前後が相場。気合いを入れて200発も打つと、打席料やナイター料を加算して、1回2時間半でおよそ5000円の小遣いが消える。なるほど、一般的なゴルフ親父のランチは決まってコンビニのパンかおにぎり、または1コインランチが常になるのも頷ける。

 残業が続いた週の土日などは、「今日はさすがに休みたいなぁ」と思うこともあったが、練習に行かないとかえって心も体も落ち着かない。諸事情で練習に行けない週末の夜には、マンションの下にある広場に行き、15分でも素振りをした。もしも平日に早く帰宅できることがあれば、2時間2500円で打ち放題の練習場へと、迷わずキャディバッグを担いで向かった。自宅ではパターの練習をできる限り続け、会社の中でひと気がなければ今もシャドウスイングをしている。絶好の場所は、鏡付きのエレベーターの中で、「防犯カメラ」が付いているのもお構いなしにアドレスを確認した。監視モニターをチェックしている管理会社の人には、さぞや笑いを提供できたに違いない。

正月の打ち初め、第1打は「超ド・フック」

 こうして練習量を知恵!? でカバーし、熱心にボールを打ち込んだから「さぞや上達したか」といえば、これがまた恐ろしいほど上手くならない。土曜には真っ直ぐボールを打てていたアイアンが、翌日の練習ではフックやスライスを繰り返す。ドライバーはよく当たるのに、フェアウェイウッドになればトップを連発。ショートアイアンはきっちり打てるのに、6番、5番アイアンに持ち変えた途端にダフってばかり。

 練習場でこの有様なのだから、コースではさらに悲惨だ。

 曲げる、ダフる…は当たり前(参照記事:『「ゴン」が再発! リベンジラウンドで124の大叩き』)。ティーショットでOB、池ポチャでロストを繰り返しては、大切な「戦友(=ボール)」を大量に失う。いつもボールを1ダース購入してから次のラウンドに向かっていたが、それでも心許なくて予備のボールをキャディバッグにたくさん忍ばせていた。

 「どうしてこんなにセンスがないんだ、こんなに練習しているのに!

 と自分に呆れ、自信を失い、時にはキレて、ラウンドや練習の後に悔し涙を流したことは数知れない…というのは嘘ではない。忘れもしない、今年正月3日の打ち初め。願をかけてドライバーで打った1球目は、まるでコンパスで描いたかのようなキレイな弧の「超ド・フック」で、練習場の左側にあるネットを揺らした。

 練習は積めど、コースで跳ね返されて、弱点を修正したと思ったら、新たな問題が現れる…の連続だった。この春先までは「このまま100も切れないのではないか…」と本気で危惧していた。

ミスの要因は「スウェー」と「打ち急ぎ」だった

 変化するきっかけをつかんだのは、ふとした思いつきからだった。山口先生からいつも指摘され続けた「手打ちです!」「股関節を使って!」という2つの助言を冷静に思い起こし、「何をすると手打ちになるのか」「どうすれば股関節を使えるのか」を原点に戻って確認することに、一縷の望みを託した。

 格好をつけずに言えば、半ば開き直って“破れかぶれ”であらゆる打ち方を試し始めたことにあった。

 体を好き勝手に使ってボールを打ったら、反対に体の動きに一定の制約を設けて打ってみる。ミスショットが続けば、そのときの体の動きや姿勢、クラブの振り方までを覚えている限りノートに書き出し、同じようなミスに関連する事柄をインターネットで一つひとつ調べた。例えば、ボールが右に曲がるミスは「体が早く開いた」や「ヘッドアップ」、左であれば「手首をコネた」…などと、自分が体を動かしたときに出る癖をミスと照合し、洗い出していった。そんなことをしばらく続けているうちに、上達を阻む大きな要因が、ひざの「スウェー(左右にスライドするように動くこと)」と「打ち急ぎ」であることにハタと気がついた。

 こうしてひざのスウェーを抑える意識とともに、声を出してカウントを取りながら、いろいろなリズムでも打ってみた。記者の場合、バックスイングが早くなると、それに連動して「トップ」「切り返し」も早くなり、結果的に腕に力を入れて振ってしまうことがわかった。特にドライバーでは、「いちっ、にっ、さんっ、しっ」といった小気味よいリズムでのスイングでは球筋が安定せず、「いーち、にー、さーん、し」とゆったり振る方がマッチすることに気が付いた(そのヒントはテレビで女子プロゴルファーのゆったりとしたスイングを見たことにあった)。このリズムはアイアンのスイングでも同じだった。

ゴルフをした翌日にありがちの「腰が痛てぇ~」が無くなった

 こんな試行錯誤が功を奏したのか、今までのミスショットは見違えるほど減り、股関節を使ってスイングするコツがつかめてきた。

 まずは、股関節から上体をしっかり前傾させて、腰を入れて構える。次に、右の股関節に上体を預けるように重心を乗せながら、体幹を右に回してトップを作る(やや感覚的な表現だが、前傾したまま右足1本で立ち、股関節に意識を向けてスクワットするようにして記者はコツをつかんだ。実際に床に体を沈める際、ひざやふくらはぎを使うのではなく、右の股関節を使ってスクワットをする感覚に近かった)。こうしてトップを作ったら、右の股関節を伸ばす力を使いながら、体幹をスイングする左方向に回旋させていく。すると、重心が左足にスムーズに移り、腕と上体を同調させながら下半身主導のスイングができるようになってきた。

 「そうか、これだったのか!!」というコツがつかめてくると、どんどん強い球が打てるようになり、ゴルフを始めた頃にありがちだった「真っ直ぐに打てるかな…」といった心配が一気に払拭された。おまけに、練習やラウンドの途中、さらにその翌日にありがちだった「腰が痛てぇ~」ということがまったく無くなったことも、何よりありがたかった。股関節を存分に使えるようになれば、脊椎の根元に負担がかからなくなり腰痛も出なくなるのだ。

 やがてドライバーとアイアンは、手打ちをしている頃よりも飛距離は10~20ヤード伸び(芯を喰えば…だが)、ヘッドスピードは2~3m/sも速くなった(現在、ドライバーでマン振りすると45m/s)。打ちっぱなしで練習したことをコースで試し、コースで失敗したことを再び持ち帰って修正練習をする。ラウンドしたコースのスコアカードは2枚追加でもらい、使用したクラブの番手とミスを覚えている限り記入して清書する。

 こうしてようやく「100切り」を達成すると、今度は100を叩かないように練習を続けて現在に至っている。

この1年は「基礎作り」ではなく「基礎探し」

 少しばかり陳腐だったかもしれないが、この1年を簡単にまとめると先にある通りだ。

 もちろん、上達の道筋は様々にあるに違いない。なかには「数回のラウンドで100を切った」「1年でシングルになった」というゴルファーもいたりするが、少なくともそうした運動神経や資質を記者は持ち合わせていなかった。「練習の虫」になっても、1年で100切りがせいぜい。かつてゴルフをした経験はあったものの、平均的な40代男性がゴルフを始めて、誰しもが通る道を右往左往しながらやってきたに過ぎない。そういう意味では、誰にだって上達するチャンスは平等に与えられているといってもよい。

 だが、もう1つだけ率直な感想をいえば、

 「ゴルフは本気で取り組まないと、本当に上達しない

 との現実は身を以って知った。挫けそうな中でも「辛抱、辛抱」と言い聞かせ、「基礎作り」というよりは「基礎探し」を続けた。やっと下半身を主導としたスイングができるようになってきた結果が、「上体だけの手打ちゴルフにならない」ことにも通じていたのだ。

ゴルフの醍醐味は『コースマネジメント』が出てきこそ

記者 「…というわけでして、今申し上げたように、先生から常々助言して頂いたことがだんだんと実感できて、実になってきた気がするのです」

山口先生 「そうですか。今日のラウンドを見ても、『構え』を含めて随分と雰囲気が出てきています。前半はどうなるのかと少し肝を冷やしましたが、後半は安心して見ていられました。スコアも100をギリギリ切るのではなく、余裕しゃくしゃくで92というのが素晴らしい」

記者 「次の目標は、今年中にレギュラーティーから90切りができるように目指します」

次のステップである「90切り」を目指して、コンスタントに80台を出すには、コースマネジメントも学んでいく必要がある。
[画像のクリックで拡大表示]

山口先生 「わかりました。今まではスイングの基本技術の習得を目指してきましたが、次からはラウンド術に進むことにしましょう。つまり、『コースマネジメント』です。これからが本当のゴルフの醍醐味ですよ」

記者 「はい。まだどこに狙いをつけて打てばいいのか、グリーンのどこを狙えばいいのか、そもそもゴルフコースにはどんな仕掛けが隠されているのかが全然わかっていません」

山口先生 「例えば、今日の10番ホール・パー5での第2打目。FW(フェアウェイウッド)で強打してOBにしましたね。そもそもツーオンが難しいパー5ですから、2打目はしっかりフェアウェイをキープして、次の3打目、4打目をどうつなぐかを考えておく必要があります。17番ホールのパー4では、左のラフにつかまって、2打目は前方に小山と高い木がある状況でしたね。何番で打ちましたか?」

記者 「残りが110ヤードぐらいだったので、PW(ピッチングウェッジ)で高く上げて越せれば、グリーンまで届くかと…」

山口先生 「その結果は、高い砲台グリーンの手前にある、入れてはいけない深いバンカーに入っていましたね(笑) あの状況からは、一度、フェアウェイにしっかり戻してから3打目のアプローチで勝負するのです。それで十分にパーのチャンスが作れる。これがマネジメントです」

 なるほど! 目の前にある風景を見たがままに認識し、「真っ直ぐ打てた!」「残り150ヤードでツーオンだ!」「グリーンに乗った!」は、まだまだ初心者の域を拭えないわけだ。コースに仕掛けられた設計者の巧な罠を見抜き、マネジメントしていく。ボールの落とし場所1つをとって見ても、「危険なフェアウェイ」もあれば、「難を回避できるラフ」だってあるわけだ。

記者の心境はあの名言と同じ「伸びしろだらけですよ!!」

さあ次は「90切り」! いよいよシングルプレーヤーを目指して、新しいステージに向かいます。
[画像のクリックで拡大表示]

 次の目標である80台に向けて、マネジメントを含むスコアメイクを支えるためには、ショットの精度をもっと上げ続ける必要があることはいうまでもない。今回のラウンドでも、スリーパット5回、OB1回を含む「3オーバー」「4オーバー」もあるが、次のステップで取り組むべき課題は見えている。

 上達すればするほど、ゴルフの本当の面白さが待っている-。そんな予感を抱きながら、まだ見ぬ世界に向けて挑戦を続けていこうと思う。まだ100切りをしたばかりの記者だが、その心境は、サッカー日本代表の本田圭佑選手が放ったあの「名言」とまさしく一緒だ。

「課題があるのは、伸びしろがあるということ。伸びしろだらけですよ!!」

(写真:水野浩志)

山口信吾(やまぐち しんご)さん
ゴルフ作家
山口信吾(やまぐち しんご)さん 1943年生まれ。九州大学工学部を卒業後、同大学院を修了。69年に竹中工務店に入社。72年にハーバード大学大学院を修了後、シカゴの大手設計事務所に勤務。75年に帰国し、竹中工務店に復帰。43歳からゴルフを始め、還暦を前に一念発起し、独自の練習法によって2年でシングルを達成した。ベストハンデキャップ8。新聞および雑誌に寄稿多数、ゴルフの著作は14冊にものぼる。現在、「WEBRONZA」(朝日新聞社)において、『ゴルフがある喜びと幸せ』を連載中。
撮影協力
西宮高原ゴルフ倶楽部


衣装協力/山口先生、ポロシャツ9180円、同7020円(ブルー)、パンツ9720円、ゴルフインナー5400円、ベルト8100円(ホワイト、ブラック)。記者、ポロシャツ7560円、パンツ9720円、コンプレッションインナー4536円、ベルト8100円。以上、すべてアンダーアーマー。