日経グッデイ

月イチゴルファーが2年でシングルを目指す!!

100切り達成を支えた、ミラクル「8番アイアン」

第16回 コントロールショットに、転がしに、自在に操れ!

 池田 悟=日経Gooday

鬼編集長の業務命令で、「2年でシングルを目指す」という途方もない目標のゴルフ企画を担当することになった40代記者。6月某日、プライベートでのラウンドのこと。ついについに、その日がやってきた…。ドライバーを始めとするウッド系クラブでは「マン振り」を封印し、8番アイアンではアトランダム練習法と、転がしアプローチを繰り返してきた成果がうまく結果に結びついた!

 この連載が始まって以来、暖かいご声援を送って頂いている読者の皆様に、ご報告させて頂きたいことがある。残念ながら!? ご好評を頂いている「月イチゴルファーが2年でシングルを目指す!!」が終わる…わけではない。

 ちょっともったいつけてしまったが、皆様へのご報告とは、上記タイトルにもある通り。

 「100切りしたどぉ〜!!!

今年の春先から、意識的に8番アイアンの練習を積んできた成果が現れたようだ。記者の場合、5と6I、7と8I、9IとPWをペアとして考えて、アトランダム練習を続けてきた。(写真は、西宮高原ゴルフ倶楽部でのラウンドの模様)
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 昨年6月に、東京・銀座のゴルフバーなるところでティーオフ!?をして以来、ちょうど1年。やっと、やっと、やっと「100切り」を達成した。この連載でご指導して頂いているゴルフ作家の山口信吾先生をはじめ、いつも写真で“ナイスショット”を納めてもらっているカメラマンのM氏とⅠ氏、そして、ゴルフクラブをサポートして頂いているヤマハさん、カッコいいウェアをご提供してもらっているアンダーアーマーさん、この場を借りて御礼申し上げます。大変お待たせしました!!(ただし、プライベートでのラウンドだったので、オフィシャル記録ではないのですが…)

久々のラウンドなのにやけに順調だった

 6月某日。記念すべき100切りの達成は、「芝山ゴルフ倶楽部」(千葉県)でのことだった。同コースは「キャディーバッグの中にあるクラブはすべて使う」とのコンセプトで、レギュラーティーからの距離は6011ヤードと少し短いが、池やバンカーが随所に絡む“いやらしい”、いや、とても面白いコースである。鬼才デズモンド・ミュアヘッドが設計した芸術的造形美を持つコースとしても知られている。

 ラウンドは、初対面の3人という組み合わせだった。1人は50代男性のシングルプレーヤー(ハンデ5)、もう1人は記者と同じ45歳で平均スコア90のアベレージプレーヤー。当日、マスター室前のボードに掲示されていたグリーンスピードは10フィート。8.5~9フィートぐらいが標準なので、10フィートはアマチュアゴルファーには早くて難しい設定に入る。

 前半9ホール。ナイスボギー!でスタートした後、久々のラウンドなのにやけに順調だった。7ホールを終えた時点でスコアを集計した瞬間、手が震えた。きっと暗算を間違ったに違いないと思い、何度もラウンドを振り返り、目をこすり、3回も計算し直した。

 なんと、ここまでのスコアは「31!!!」。

 残り2ホールのパー4と5をどちらもダボ(ダブルボギー)で上がったとしても、44! すわ、「100切りどころか90台前半、いや、このまま行けば80台?」と想像するや否や、急に緊張感が増してくる。

 だが、そうは問屋がおろさない。8番ホールはアイランドグリーン(浮島)風。ティーショットをトップし、続く2打目を無理せず池の前まで運んだまではよかったが、3打目を再びトップして池ポチャ…。打ち直しの5打目でグリーンに乗せたものの、ここから3パット…。痛恨の“ダブルパー(8打)”をやらかした。続く、9番のパー5ではトリプルを叩く。スコア47で前半を終えた。

もはやこれまでの実績からは絶望的な状況

 午後は、午前の好調とは打って変わり「防戦一方」となった。

 コースのすぐ目の前にある成田空港に着陸する飛行機の轟音が響く(会話ができないほどであった)ことはまだいいとしても、「成田名物」だとされる風がひっきりなしに吹きつける。ティーアップしたボールはすぐにこぼれ、ショットが吹け上がれば強風に煽られて、あれよあれよと各所にある池へと吸い込まれる。そのうえ、大雨が降った翌日だったためであろうか、体やボールにハエらしき虫が時折止まったり、いくつかのティーグラウンドではボールの周りに蟻がチョロチョロと歩き回ったりしている。ゴルフは自然との闘いであるワケだが、気が散ることこのうえない…。

午後は防戦一方に…。前半のスコアに気を良くし過ぎて、大盛りの「カツカレー」で満腹にしてしまったことも、体の動きを鈍らせた要因か(笑)。(写真は、西宮高原ゴルフ倶楽部)
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 我慢に我慢を重ねながら、ようやく17番ホールまで漕ぎつけた。スコアを数えると…43。残り2ホールのパー5と4をパーで上がらなければ、「100超え」が決定してしまう。もはやこれまでの実績からは絶望的な状況であった。

1人ぶつぶつ呟きながら、ボールの行方を天に任せた

 ますます緊張感が高まる中で、「とにかく集中!」「この一打に全力!!」「絶対、あそこに打つ!!!」と1人でぶつぶつ呟きながら、ボールの行方を天に任せた。

 17番、484ヤードのパー5。

 緩く左にドッグレッグしたホール。ティーショットはとにかく曲げないように、肩とクラブの同調を心かげながらスイング。240ヤード先、フェアウェイのど真ん中へ。第2打目は4FW(フェアウェイウッド)を選択。ここでも「マン振り」はせずに、股関節を意識してスイープに振ることだけを心がける。グリーンまで残り80ヤードの地点まで運ぶ。第3打目、AW(アプローチウェッジ)を選択。フェイスがやや薄く入ってしまい、グリーンまで届かず手前のカラーに。第4打目、8Iを迷わず選ぶ。上りラインを転がし、あわやチップインバーディーのアプローチ。難なく1パットで沈め、パーでホールアウト。

 18番、355ヤードのパー4。

 打ち下しのティーショットと、2打目が「池越え」という心理的プレッシャーの中で、コントロールを要求されるホール。「池ポチャ」になったらすべて終わりである…。

 前のホールでのいいリズムを思い出しながら、無心でドライバーを振る。これが250ヤード先のフェアウェイど真ん中にポトリ(強風がここでは味方してくれた)。第2打目、残り105~110ヤードと見てPW(ピッチングウェッジ)を選択。カップの右手5mにパーオン。第3打目、「ラインはやや上りで、真っすぐ」と読めたが、パターが打ち切れずに80㎝ほどショート。嫌な距離を残した、運命の第4打目…。

スコア、「99」!(あぶねぇ……)

当日のスコアカード。1段目がアベレージさん、2段目がシングルさん。1日を共にさせて頂いたお2人のゴルフを見ながら、これからの課題もよくわかる収穫の多いラウンドになった。悪筆はどうかご勘弁を。
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 18番ホールでボールがカップに入ったときの「音」と「映像」は、恐らくこれから先のゴルフ人生で忘れることは決してないだろう。ちなみに、一緒にラウンドしたメンバーのスコアは、シングルさん77、アベレージさん89であった。

「100球のうち30球は8番アイアンの練習をします」

 さて、今回は100切りの報告に終始するだけではなく、それを「密かに支えてくれた」ショットについてご紹介したいと思う。ポイントは2つだった。1つ目は、以前この連載でも取り上げた『ドライバーで「100ヤード」を狙い打ちするわけ』でもご紹介した通り、「マン振り封印」でティーショットのOBを避けることに留意したこと(それでも後半は2回の池ポチャを含む乱れが続いたが…)。

ドライバーは「マン振り」をひたすら封印。一緒にラウンドした仮称“シングルさん”からも、「ゴルフは距離を競うスポーツじゃない。250ヤード先のラフに入れるぐらいならば、200ヤードに満たなくても50%の力でフェアウェイにコントロールできる方ほうが、スコアアップや上達のカギになりますよ」といった名言を授けられた。(写真は、西宮高原ゴルフ倶楽部)
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 2つ目は、山口信吾先生からも常々、「よく練習しておくように」と助言されていた8番アイアンの成果が出てきたことにあると思う。山口先生自身、「8番アイアンの練習には最も時間をかけています。100球練習するとして、およそ30球は打ちます。この番手は、調子が悪いときでも上手く(素直に)打てるので、スムーズに練習に入っていけますし、ロフトによってボールが無理なく上がるので『すくい打ち』をせずに済む利点があります」と説明する。

 記者にとっても、8番アイアンはコース上での出番が意外に多い。例えば、380~400ヤードのパー4での第2打。記者のドライバーの飛距離は220~250ヤードで、残りの距離からいくと次は7番か、8番のアイアンを選ぶことになる。7番も好きなクラブではあるが、選んだときに限って「芯喰い」してしまい、150ヤードを超えてグリーンをオーバーしてしまうことがある。そこで「グリーン手前の花道に刻む」「しっかり距離を合わせて乗せる」、万が一トップしたときにもグリーンを突き抜けない「けが防止」のために、8番アイアンの使いこなしが欠かせないことに気が付き、練習を重ねてきた経緯がある。

 一方、パー3のホールでは、「打ち下ろし150ヤード」「打ち上げ120ヤード」といった設定も少なくない。記者の8番アイアンの飛距離は120〜140ヤードであるから、コースの高低差を考慮すると、7番では大きく、9番では足りない…といった状況がしばしば訪れる。さらに、初心者にはグリーンの脇から転がして寄せるシーン(関連記事:『初心者のアプローチショットは徹底して「転がせ」! 』)でも、8番アイアンがとても威力を発揮してくれる。今回のラウンドでも、転がしでカップまでワンクラブ以内に寄せられたアプローチショットが幾度となくあり、あわや「チップイン!」といったシーンも2回あった。まさに、ミラクル「8番アイアン」になってくれたのだ。

スイングのチェック機能を果たしてくれる

 「めでたく100を切ったとの報告、何よりです。8番アイアンは、とにかくコントロールショットを覚えるのに最適なクラブだと私は考えています。先に申し上げたように、練習の30%を8番アイアンに費やすことに加えて、締めくくりも8番です。というのも、例えば、ドライバーで練習を終えたりすると、強く打ち過ぎたり、アッパーブローの感覚が残ったりしたままになる。それを避けるために、左足に踏み込んだダウンブローの感覚で練習を終える。8番アイアンは、言うなれば『スイングのチェック機能』を果たしてくれるのです」(山口先生)

 ちなみに、山口先生が所属されているゴルフクラブの研修会では、「4本のクラブでプレーする競技」があるそうだ。山口先生の選択は、ドライバー、7番ウッド、8番アイアン、パター。やはり8番アイアンが入っている。

 「8番アイアンは距離をコントロールしやすいクラブです。ピンを見て風を感じるだけで距離を合わせることができます。これ1本さえあれば、フェースを開いたり、ワンクッションさせたりして、ほとんどのアプローチショットにも対応できます。距離感がパターと似ているのでグリーン脇からの転がしにも最適。バンカーショットもなんとかこなせます。以前もお伝えしたように、練習場には8番アイアンを常に携えて、一打ごとに方向と距離が異なる目標を狙うアトランダム練習に励んでください」(山口先生)

再び「110の王」に返り咲く!?可能性だってある

 かつてコースでの撮影中に山口先生から、「グリーンの脇から寄せるときは8番で転がしましょう!」とアドバイスを受けたときには、正直、そうしたクラブの使い方があることすら記者は知らなかった。今ではよほどのことがない限り、グリーンの脇からSW(サンドウェジ)を使うことはない。

 わずか1打とはいえ、「100切り」は達成した。だが、また再び「110の王」に返り咲く!?可能性だってある。いやはや、シングルプレーヤーの証である70台のスコアで回るためには、まだここからスコアを20打以上も縮めなければならない。もちろん、研鑽あるのみだ。

 近く、春先のリベンジ(関連記事:『ハーフ「58」でギブアップ…。開花宣言の前にサクラ散る』)を兼ねてロケを予定している、ホームコースの「西宮高原ゴルフ倶楽部」で100切りを達成してこそ、第一関門をクリアした“お墨付き”を頂くこととしよう。シングルプレーヤーに向けた挑戦は、これからが本番!

…で、いいですよね、山口先生?

(写真:水野浩志)

山口信吾(やまぐち しんご)さん
ゴルフ作家
山口信吾(やまぐち しんご)さん 1943年生まれ。九州大学工学部を卒業後、同大学院を修了。69年に竹中工務店に入社。72年にハーバード大学大学院を修了後、シカゴの大手設計事務所に勤務。75年に帰国し、竹中工務店に復帰。43歳からゴルフを始め、還暦を前に一念発起し、独自の練習法によって2年でシングルを達成した。ベストハンデキャップ8。新聞および雑誌に寄稿多数、ゴルフの著作は14冊にものぼる。「WEBRONZA」(朝日新聞社)において、ゴルフ連載『ゴルフがある喜びと幸せ』を連載中。
撮影協力
西宮高原ゴルフ倶楽部


衣装協力/ポロシャツ7560円、パンツ9720円、ゴルフインナー6480円、ベルト8100円。すべてアンダーアーマー。