100ヤード先に打てなければ、200ヤード先も狙えない
思えば、どんなスポーツでも、100%の力でパフォーマンスを続けることは不可能に近い。野球、サッカー、バスケットボール、テニス…といった球技では、淡々とプレーが流れている間は、50~80%の出力で競い合っているではないか。そして、ゴルフのフルスイングにあたる100%の力はここぞという勝負時に使うわけだが、例えば野球のピッチャーが渾身の力を込めて投げたとしても、必ずしもコントロールが効いてストライクが取れるとは限らない。いやむしろ、コントロールがつきにくい方がほとんどだろう。
しかしながら、記者を含めた初心者ゴルファーの多くは「一球入魂」よろしく、いつも全力でクラブを振ってしまう。普段の練習から「マン振り」を無意識にすり込んでいるとするならば、力を上手く加減してコントロールをつけるなど、夢のまた夢になるはずだ。いわんや、コース上で縦の距離を合わせる必要がある場面になると、急に力を抜いて「手打ち」になる記者のような初心者が多いに違いない。力の使い方がまさに「いい加減」なのだ。
すると、今すぐ練習で取り組むべき課題は、出力を50~80%に抑えたまま、狙ったところにしっかりボールをコントロールできる「同調」が取れたスイングを身につけることだ。
なんで、今までこんな初歩的なことに気づかなかったのだろうか…。
山口先生 「100ヤード先を狙って真っすぐ打てないのに、200ヤード先の目標にコントロールしてボールを打てるわけがありません。たとえドライバーで100ヤードを打つときにも、『腰を使う』『同調』を心がけること。短い距離でもしっかり打てるスイングを身につければ、あとは少しずつ力を調整しながら距離を合わせていくだけです。『100ヤード』と『フルスイング』を交互に取り入れてもいいでしょう。特に100~150ヤードを狙って打つときには、体もクラブもゆっくり動かすので『肩とクラブが同調しているかどうか』を確かめながら練習ができます。繰り返し言いますが、腰や肩、腕のどこかの力だけを『抜く』『加える』といった加減でスイングしてはいけません」
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- インパクト効率を上げれば距離ロスは防げる