日経グッデイ

月イチゴルファーが2年でシングルを目指す!!

「100切り」の手ごたえ、ハーフで「-12打」は偶然なのか?

第10回 30ヤード以内のアプローチで「トップ」「チョロ」の新たな課題も…

 池田 悟=日経Gooday

鬼編集長の業務命令で、「2年でシングルを目指す」という途方もない目標のゴルフ企画を担当することになった40代記者。山口信吾先生が考案したアイデアあふれる基礎練習をみっちりこなし、いよいよ今年初のラウンドに向かった。今回は山口信吾先生の提案で、スコアだけに一喜一憂しないよう、コースの前半を「練習編」、後半を「実践編」に分けてラウンドした。これまでの練習の成果を確認しながら、問題点と解決策を見つけることが目的だ。

 次こそ100を切る。100切りなんて通過点…。未だ「110の王」の勲章!? ですら返上できていないのに、まるで呪文か、念仏を唱えるかのように、日々、上達の道筋を思い描いてきた。今ではすっかり習慣となった週3回の練習では、「スパットゴルフ」と「アドレスでの構え」を取り入れ、さらに「傾斜ショット」も繰り返し行ってきた。

 そうした成果を試すべく、意気揚々と「打ち初めラウンド」に向かった。コースはいつもの「西宮高原ゴルフ倶楽部」だ。当企画の立ち上げから取材・撮影で惜しみないご協力を頂いているお陰で、関西のコースだというのに、すっかりホームグラウンドになりつつある。

午前中の練習ラウンドでは、1打ずつショットを確認しながら進む。ミスショットが出たら、その場で原因を探りスイングを修正する素振りをして、もう1回打つ。2回目の方が、明らかにいいショットになる。
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 クラブハウスに到着するや否や、記者のはやる気持ちを見透かしていたかのように、指導をお願いしている山口信吾先生から次のような提案があった。

山口先生 「午前のハーフはスコアをつけない練習ラウンドをしてみましょう」

記者 「えっ!? スコアを記入せずにラウンドしてもいいものなのですか?」

山口先生 「もちろん、スコアをつける、つけないはそもそも自由ですよ。ですが、スコアが気になり始めると、練習してきたスイングができなくなるものです。もしもミスショットが出たら、その場ですぐに原因を探ります。前後に回っているゴルファーの流れを見て、余裕があればもう一度打ち直しをしたって、グリーンの手前から打ち始めたっていい(※1)。こうしたコースでの実践練習も上達方法の一つです」

 その日の混雑状況などによって、練習ラウンドを許可してくれるコースがあることを記者は初めて知った。

※1練習ラウンドであることをコースに申し出て、許可を取ること。また、ラウンドはプレイファーストが大原則なので、前組、後続との間を見計らいながら行いましょう。

「もう少しなんとかならなかったか…」というのが本音

 午前中のラウンドは、「練習場で正しく習得できたもの」「コースで打つとミスがでるもの」「そもそも練習でもミスが多いもの」を実践形式で確認をしていく。連載第7回(「痛恨! 再挑戦の1人ラウンドも『120』の大叩き」)でもご紹介した「PDCA」サイクルのうち、「C(Check)」と「A(Action)」を行っていくわけだ。

コースに出る前に、練習場でこれまでの成果を見てもらうと、真っ先に、「へっぴり腰になっている」との(厳しい?)指摘があった。「股関節から上体を前傾させ、体重を両足の母指球に乗せて、腰を入れて構えます。そうすれば、体重移動により股関節を使って骨盤を回して、しっかり振り切ることができます」(山口先生)。
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 「練習の成果がかなり表れてきましたね」との評価を山口先生から頂いたが、練習場では見違えるほど変わったとの手応えがあっただけに、「もう少しなんとかならなかったか…」というのが記者の本音ではあった。

 昨年7月にゴルフを再開した頃に連発していたダフリはほとんどなくなっていたが、課題克服のために重点を置いて練習してきた「左足の上がり」のライではしばしばミスが出る。まだ練習に取り組めていない「つま先の上がり・下がり」のライでは、やはりミスが多い。ただし、ミスをした場所から、アドレスをするときの構え、軸足への加重を念入りに確認しながら打ち直すと、自分でも驚くほどのショットが出る。シングルプレーヤーの山口先生のように、どんなライからでも “一発必中”のスイングを身につけられれば、10打近くのスコアアップが望めるはずだ。

記者 「練習場ではスイングもショットもかなり安定してきたと思っていましたが、コースではまだまだですね。もしもスコアを付けて回っていたら、1ホール目からかなりへこんでいたと思います」

山口先生 「練習ラウンドを見ていると、『軸足に加重する』『重心移動によって股関節を使って腰を回し切る』という重要な動きがおざなりだったり、不足していたりすることがまだ多いようです。練習場でいい球を連発したとしても、コースで別人になってしまうのは“一発必中”の実践的な練習が足りていないからです。私がいつもアドバイスしている2つの基本は、練習場でもコースを想定しながら1球ずつ心がけてください。午前中にチェックした基本を意識しながら、午後のラウンドにつなげていきましょう」

トップやチョロが出てしまう新たな課題も

 こうして、午後がスタートした。ちなみに、10番ホールからのINスタートである。

10番ホール、パー5…2打目の「左足上がり」、FWで軽くトップしたが、ボギーで凌ぐ。
11番ホール、パー4…谷越えの1打目を左へ少し曲げ、「左足下がり」のラフから2打目をFWで少しトップ。ダブルボギーで堪える。
12番ホール、パー3…ピン奥にワンオンして、2パットでパーをセーブ!
13番ホール、パー4…ティーショットをOB。ここで痛恨の8打。
14番ホール、パー5…ティーショットでトップ。5打目でグリーンオンも、3パット…。またしても8打。
15番ホール、パー4…グリーン手前からトップして、奥の谷へ…。グリーンに戻して2パットでダブルボギー。
16番ホール、パー3…打ち上げで、1打目を左奥に大きく曲げる。3打目でグリーンに戻すも3パット。痛恨の6打。
17番ホール、パー4…やっと覚醒したかのように、ティーショットから快調。2オン、2パット。パーをセーブ!
18番ホール、パー4…1打目を曲げるも、ラフからのナイスショットで2オン。2パットで沈め、連続でパーをセーブ!

当日のスコアカード。OUTコースの欄には、、ミスショットを振り返るため、練習ラウンドで使用したクラブをすべて記載する。
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スコアは、「51」!

 「100切りの手ごたえをつかんだぞ」と内心では思っていたものの、とても微妙なスコアであることも事実である。40台を記録したならばまだしも、午前中にしっかり練習ラウンドをした後の「51」である。

 この日、西宮高原ゴルフ倶楽部のグリーンは、推定11フィートという速い設定(標準的な速さは9フィート前後)で、パッティングでは3パットがよく出てしまった。同様に、エッジからピンに寄せる10~30ヤードのアプローチでは、トップやチョロをしてピンに寄らないといった新しい課題も出てきた。グリーンに近くなるほど、重心移動によって股関節を使って腰を回すことを忘れ、つい手先だけでクラブを操作して距離を合わせようとしているためだと考えられる。

山口先生 「冬場のゴルフは、寒くて体が思うように動かなかったり、気温や気圧の影響、ボールの反発が下がる関係で飛距離が落ちたりと、難しい面はあります。グリーンやラフが凍っている日だってあります。こうしたケースでのラウンド術はゆくゆく習得するとして、まずはどんな条件下であっても、『軸足に加重する』『重心移動をさせて股関節を使って腰を回し切る』というスイングの基本をしっかりと身につけることです。ミスショットには必ず原因がありますが、そのほとんどはスイングの基本が崩れたときです。練習できない日はせめて『素振り』をして、体で覚えてください」

 なるほどたしかに、「アドレスして構える」「バックスイングする」「切り返しからダウンスイングに入る」…といった一連のスイングの間に、ときおり「今の動きで本当によかったの…?」とつぶやくもう一人の自分が登場したりする。そんなときには決まってミスをしている。つまり、基本が体に染み付いていないために、余計なことを考えてしまうともいえる。

3カ月でハーフのスコアが「12」縮まった

山口先生 「全体的にはかなり上達してきましたが、午後のラウンドから見えた次の課題は、『アプローチ』と『パター』精度をもっと上げていくことですね。ゴルフのスコアのうち、パターは4割、アプローチが2割も占めています。スコアが100だとすれば、そのうちの60打は『ショートゲーム(100ヤード以内の短いショット)』です。これをどうやって縮めていけるかがスコアアップの鍵になりますし、シングルプレーヤーならばアプローチとパターが下手な人はいません。次回は、15~30ヤードのアプローチの練習を加えて行きましょう」

みっちり練習を積んできた50~80ヤードのアプローチはかなり自信がついてきた。しかし、10~30ヤードというグリーンに近くなる距離で、トップやチョロが出る新たな課題が出てきてしまった。
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西宮高原ゴルフ倶楽部のグリーンは、この日、推定11フィートというかなり速い状態だった。下りのラインでタッチが強いと、5mもオーバーしたり、グリーンの下までこぼれたりすることも。必然的にピンの手前から寄せるアプローチの精度も求められた。
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 昨年11月にラウンドしたとき(「『ゴン』が再発! リベンジラウンドで124の大叩き」)を振り返れば、今回と同じINのスコアは「63」だった。およそ3カ月でスコアが「12」も縮まったのだから、初心者ゴルファーとしては悪くない進歩だといってもいいのかもしれない。

 …が、目指すはシングル。ゴルファーの多くが最初に直面すると言われる「100の壁」をさっさと乗り越えなければ、次なる、「90切り」「80切り」の世界は夢のまた夢…。しかもまだバックティー(最も後ろにあるティーグラウンド)からのラウンドも経験していないのである。

 100切りは、「サクラ咲く」より早いか、「サクラ散る」が早いか。それとも、春はまだまだ先なのか…。

【コラム】 アドレスで正しく構えるための「ルーティン」を身に付ける

 ゴルフ用語には横文字が多いからなのか、複数の意味が混在して使われているものが少なくない。ここでは、本編でもよく登場する用語「アドレス」について、もう一度おさらいしてみよう。

目標に肩のラインを向けたまま構えがちな初心者には、「飛球線」の手がかりになる竹ざおなどを活用するとよい。飛球線、肩のライン、スタンスの向きの3つがすべて平行になるように注意しておこう。
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 アドレスはそもそも、「ボールを打つ前に足の位置を決めて構えること」を指しているが、そこには「姿勢(ポスチャー)」や「足の位置」「肩のライン(アライメント)」といったすべての要素を含んでいる。例えば、「アドレスと飛球線を平行に合わせる」と一言でいっても、右利きの場合「足の位置が飛球線と平行でも、左肩が少し内側に入っている」といった構えでアドレスをしているゴルファーも少なくない。山口先生によれば、「両足と両肩のラインが飛球線に対して平行になるように構えることが基本中の基本。この基本を身につけずにいくらボールを打っても“下手を固める”ばかりです。クローズドやオープンで構えるアドレスは確かにありますが、基本が十分に身についていない初心者には絶対に勧めません」とアドバイスする。

 記者をはじめとする初心者によくあるのが、「両肩のライン」「スタンスの向き」「飛球線」がバラバラで構えてアドレスしていること。「目標を意識すると、無意識に肩のラインを目標に向けて構えてしまいます。両肩のラインが左を向いていると感じるぐらいで飛球線と平行なのです。コースの形状や風景によっては、脳が錯覚して構えを乱すこともあります。そこで、いつも飛球線に対して平行で構えられるように、練習場でアドレスのルーティンを身につけて、コースでも必ず実践するのです」(山口先生)。

 ルーティンとはルーティンワークの略で、ご存じの通り「定型業務」のこと。メジャーリーガーのイチロー選手が、バッターボックスでユニフォームの右肩を左手で軽くつまんでからバットを構えたり、テニスプレーヤーの錦織圭選手が、ボールを4回コートについてからサーブを打ったりするのも、ルーティンの1つだ。「ショットに至るまでに決まったルーティンをすることで、体と心を整えて緊張をほぐしたり、周りの環境に影響されずに一定の動作を体に再現させたりする役割があります」(山口先生)。簡単にいうならば、ナイスショットを打つのに必要な正しい構えを再現するための “おまじない”みたいなものだ。

 山口先生のルーティンのプロセスは、下の写真で示したとおり。「どんな状況下でも、ルーティンを経てから、スイングに入ります。雨の日でも、暑い日でも、決まったリズムを保つことが大切です」(山口先生)。

1. 右手でクラブを持ち、ボールの後ろに立つ。クラブのヘッドを持ち上げ、目標からボールまでの飛球線をイメージする。
2. ボールの前に右足を前に出して立ち、右手で持ったクラブのフェイスと飛球線を直角に合わせる(目標に向けてフェイスを正面に向ける)。
3. 先に置いた右足に左足をそろえ、股関節から上体を倒して前傾姿勢をつくる。次に、左足を左、右足を右へ順に開いて、足幅(スタンス)を決めて構える。
4. 最後に、左手でしっかりグリップを握り、再び右手を添えてアドレスが完了。山口先生は、ワッグル(クラブヘッドを左右に小さく動かす動作)はせず、アドレスを終えたら、即バックスイングを始める。
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(写真:水野浩志)

山口信吾(やまぐち しんご)さん
ゴルフ作家
山口信吾(やまぐち しんご)さん 1943年生まれ。九州大学工学部を卒業後、同大学院を修了。69年に竹中工務店に入社。72年にハーバード大学大学院を修了後、シカゴの大手設計事務所に勤務。75年に帰国し、竹中工務店に復帰。43歳からゴルフを始め、還暦を前に一念発起し、独自の練習法によって2年でシングルを達成した。ベストハンデキャップ8。新聞および雑誌に寄稿多数、ゴルフの著作は14冊にものぼる。
 撮影協力

西宮高原ゴルフ倶楽部


衣装協力/山口先生、ウィンドジャケット1万4040円、ウィンドパンツ1万1880円、ベルト8100円。記者、トップスエレメンツ 1/2 ZIP 1万800円、パンツ1万800円、ベルト8100円。以上すべてアンダーアーマー。