日経グッデイ

月イチゴルファーが2年でシングルを目指す!!

ゴルフは『生涯の友』

最終回 才能もセンスもない!…ならば、師の言葉を信じて進むのみ

 池田 悟

鬼編集長の業務命令で、「2年でシングルを目指す」という途方もない目標のゴルフ企画を担当することになった40代記者。昨年12月にベストスコア84まで到達したが、その後「100叩き」を連発するという、相変わらずの七転八倒ぶり。いよいよ春のゴルフシーズンが幕を開けたが、目標のシングルスコア70台は、はるか遠い先。読者の皆さまから温かいご声援をいただいた連載の行方は…。

 一昨年の11月のことだった。コースでのラウンド撮影を終えて、西宮高原ゴルフ倶楽部から帰る車中での取材と反省会。スコアで100を切れる気配さえ見えず、懊悩とする記者に向けて、山口先生がポロリと呟いた。

 「もしかしたら、プロにレッスンを受けた方が上達は早いですかねぇ」

2014年7月。13年ぶりにゴルフを再開した記者が、山口先生とラウンド前の練習をしているひとコマ。今から思えば、初心者ムードたっぷりのフォームだ。

 日経Goodayの創刊(2014年10月10日)に合わせ、記者が13年ぶりにゴルフを再開した経緯(関連記事:13年ぶりにクラブを手にした40代オヤジでもシングルになれる!?)は、既に読者の皆さまもご存じであろう。2014年7月にティーオフ(第1ホールの第1打目のこと)をしてから1年8カ月あまり。今年も春のゴルフシーズンが幕を開けたが、連載タイトルに掲げた「2年でシングル」という壮大な目標の達成は、残された時間を考えるとはほぼ絶望的な状況である。

 スコアがつけられないほど叩いた「再開デビュー戦」から、ベストスコア84まで進歩したことが、果たして「立派」なのか、「たいしたことない」のかは記者自身では判断がつけられない。しかも、年明けから3連発での100叩き…と、相変わらずの「七転八倒」ぶりである。

 だが、ゴルフを13年ぶりに再開してから、レッスンプロに指導を受けたことは一度もない。そもそも、山口先生の著書にある「サラリーマンの月イチゴルファー」との条件で、「シングルになれる」とのコンセプトに共鳴して、指導をお願いしたのがその理由だ。恐らく、「月イチ」の条件にあるサラリーマン・ゴルファーが主流を占めると思われ、同じ境遇で、どこまでゴルフが上達できるのかとの試みを、リアリティーのある記事で伝えたい意図もあったからでもある(実際には、練習場やラウンド中に有益な助言をたくさんいただいたので『レッスン』ともいえるのだが…)。

 穴が開くほど山口先生の本を読み返し、練習場で愚直に試し、コースで挑戦し、失敗も成功も、すべてノートに記録を続けた。そうした蓄積が、上達に向けた試行錯誤を自然に身につけさせ、ほかのゴルファーたちの練習やラウンドからでもヒントを得ようとするどん欲さにつながった。こうして「自分に足りないもの」を探して練習していくだけでも、80台のスコアまで到達(関連記事:リスク回避の3つの決め事で「ハーフ39」の奇跡!)することができた。

レベルアップをするための壁は“どんどん高くなる”

 ベストスコアをどんどん更新している時は、「70台まであとひと超え!」と意気揚々としていた。だが、そんな不遜な態度!?にゴルフの女神が天罰を与えたのか、このところのラウンドや練習では「なぜ?」「どうして?」ばかりが続いている。山口先生に毎回指摘を受け続けた「手打ちです!」「腰をもっと切って!」のいいつけ。この2つを頑なに守り続けて上達してきたはずなのに、いつの間にか「変な動き」がスイング動作に加わり、修正のためにまた一から出直す。レベルアップをするための壁は“どんどん高くなる”というのが、今も変わりない記者の実感である。

 まずは、どんなクラブを使っても、「ボールを真っ直ぐ飛ばすこと」がゴルフの基本。

 そして、タテやヨコの目標に向けて、「ボールをコントロールしていくこと」のが次のステップ。

 最後に、「アプローチとパットを上達すること」がレベルアップの道筋であろう。

 簡単に考えれば3つのことなのだが、それらがとてつもなく難しくなるのがゴルフの恐ろしさであり、また魅力でもある。悩んだら「原点回帰」と心を改め、これまで読者の皆さまにお届けしてきた記事を記者自身が「第1回」から振り返っている状況なのである。

ゴルフがある喜びと幸せをもっと実感したい

 これから本格的なゴルフシーズンだというのに、何だか湿っぽい話から始めてしまったが、皆さまから温かいご声援をいただいていた連載「月イチゴルファーが2年でシングルを目指す!!」は、今回が最終回になる。

 「無謀な挑戦だと分かって逃げたな!」

 と、苦笑される読者もいらっしゃるに違いない。突然、最終回を迎えてしまう理由は「人事異動」である。

山口先生「それはとても残念です。いいゴルフ仲間が1人いなくなるようで、寂しい限りです」

ゴルフの基本は、どんなクラブを使っても「真っ直ぐボールを打てるようになること」。両足のスタンスと飛球線を揃えることをみっちりと練習で覚えて行く。

記者「長い間、不出来な弟子をご指導いただきまして、ありがとうございました」

山口先生「まさかゴルフもこれで止めるのですか」

記者「いいえ。ここまで情熱を注ぎましたから、これからも研鑽していきます」

山口先生「ぜひ、続けてください。今度は仕事を離れて、プライベートでラウンドをしましょう。そのときは2人で真剣勝負ですよ!」

記者「先生についていけるようにがんばります。四十半ばで新しいことに挑戦して、学ぶことの『楽しさ』や上達することの『難しさ』、試行錯誤を経て『進歩する実感』という貴重な体験を、ゴルフを通じて得ることができました。でも、図に乗り過ぎると『大けが』をしたり、すぐに『リズム』を崩したり。そのうえ、誰かの真似ごとや道具頼みだけでは『自分のゴルフ・スタイルがいつまでも作れない』という現実にも気が付きました。少し大げさですが、『人が生きてゆく上での注意点』をゴルフから教わったと思います。これからもゴルフがある喜びと幸せをもっと実感したいと思います」

山口先生「初めてのラウンドではへっぴり腰で下半身をまったく使えていませんでした。1年8カ月で見違えるような下半身主導のスイングができるようになりました。下半身主導のスイングを身に付けなければとても80台前半のスコアで回ることはできません。引き続き精進して、私が提唱している“7つの基本動作(『普通のサラリーマンが2年でシングルになるための7つの基本動作』<山口信吾、日本経済新聞出版社、918円>)”を体得し、安定して80台で回れるようになってほしいと思います。上達すればするほどゴルフをもっと深く楽しめるようになります。

記者「先生からの“通信簿”ですね。ありがとうございます」

山口先生「年をとって身体が衰えても、ゴルフは上達します。一生続ける決心をすれば、それを目標に心身ともに充実させられる。72歳になった私も証明しています。ぜひ、ゴルフを『生涯の友』としてください。それから。毎日の『腰切り体操』もお忘れなく」

 山口先生に最後のご挨拶を終えると、一冊の本が手渡された。

 「死ぬまでゴルフ! ゴルフ人生を全うするための18訓」(山口信吾、幻冬舎、1512円)

 記者にとってのゴルフ人生はこれからが第2ステージ。才能やセンスなんて元々ない。ならば、師の言葉を信じて進むのみだ。

 「練習は嘘をつきません」

 これまで連載を続けること24回目。初心者同然の40代中年記者がお届けした内容が、少しでも皆さまの上達へのヒントになれば、これ以上に勝る喜びはない。

ヤマハ2016年モデルを新たな戦友に! 2年間でスイングは変わったか?

 およそ2年にわたり、記者と戦いを共にしたヤマハのゴルフクラブともこれでお別れ。だが、これまで連載でサポートしていただいたヤマハのご厚意に甘え、これから記者がプライベートで使うクラブを選ぶために、再び「ヤマハゴルフスタジオ高輪」)でフィッティングすることになった。今後もヤマハのクラブを使いたかったことに加えて、ゴルフ再開後の2年の間で、スイングがどれぐらい変わったのかにも興味があったからからだ。

今回、記者のフィッティングを担当してくれたのは、ゴルフフィッターの渡邊金吉さん。

 既にこの連載でもご紹介したが(関連記事:「ゴルフクラブのフィッティング、メーカーのスタジオで初体験」)、ヤマハのフィッティング方法は「スイング中のシャフトのしなり」に注目しているのが特徴だ。『自分に合ったドライバーが、一番飛ぶ!』とのコンセプトのもと、人それぞれのスイング動作から生まれるシャフトのタテ・ヨコ方向の“しなり量”とヘッドのベストマッチングを探していく。今回、フィッティングを担当してくれたのは、ヤマハ・ゴルフフィッターの渡邊金吉さんだ。

 ゴルフを再開して2年を経た結果を先に言うと、「しなり量はやや大きくなっている」という判定だった。

渡邊さん「スイングを分析すると、軌道が『インサイドアウト』の傾向で、ヘッドのヒール側に当たりやすい。その人のクラブの軌道というのは、故意にスイングの動作を変えない限り、『バックスイング』『トップ』『切り返し』『ダウンスイング』『インパクト』…という一連の動きはほぼ変わりがありません。いうなれば、“指紋”みたいなものです」

記者「そうなのですね! その人の骨格と筋肉が生み出す、動作の個性ともいえますね」

渡辺さん「スイングを拝見すると、『軌道はインサイドアウト気味』『インパクトの際に手元が窮屈』に見えることに加えて、『しなりの量』から分析すると、今までお使いだったRシャフトだと、『つかまりすぎる(左にひっかける)』、それを修正しようとすると『プッシュアウト(右斜め一直線に飛び出す)』といったミスが顕著になってきたのではないでしょうか」

今やすっかり定番になったヤマハ・ドライバーのカスタムシャフト。フィッティングでは、5社のシャフトを計10本打ち比べてみた。

記者「まったくその通りです。飛距離はそこそこ出るのですが、その分、ミスしたときのケガも大きくなりました。もちろん、『マン振り』しなければいいのですが」

渡邊さん「結果を総合すると、『インパクトでしっかりヘッドが返る』と『振り切れる』という条件を元に、シャフトを合わせていくといいでしょう。曲げるリスクを抑えながら、力を抜いて振っても、しっかりボールコントロールができるシャフトとヘッドの組み合わせです」

 その後、ドライバーのシャフト選択では、異なるメーカーのものをヘッドにつけ替えながら10本を打ち比べる。「硬く感じる」「ヘッドが追いつかない」「切り返しのタイミングが取りにくい」…など、シャフト1つで「スイング」も「打感」もまったく異なることに、改めて驚かされる。

 こうしておよそ60分のフィッティングの間に導かれたクラブセッティングは以下の通り。

ドライバー ヘッド=RMX116 ロフト9.5度、シャフト=FUBUKi Ai50(S) 44.75インチ(三菱レイヨン)

アイアン ヘッド=RMX116(5Ⅰ~PW) シャフト=N.S.PRO RMX85(R) (日本シャフト)

ヤマハの2016年モデルは、「RMX(リミックス)」ブランドとして統一し、フルラインナップでモデルチェンジした。写真左、RMX116ドライバー7万5000円~(税別・シャフトは4タイプのカスタムシャフトほか、別途料金で各種メーカーの選択もできる)。写真右、RMX116アイアン10万800円~(税別・シャフトは3タイプのスチールほか、別途料金で各種メーカーの選択もできる)

 ヤマハの2016年モデルは、ドライバー2タイプ(RMX116、RMX216)とアイアン3タイプ(RMX116ツアーブレード、RMX116、RMX216)に加えて、ユーティリティー(U3、U4、U5)、フェアウェイウッド(FW3、FW5、FW7)、ウェッジ(50度、52度、56度、58度)もフルモデチェンジした。今回はドライバーとアイアンを選び、その後の様子を見ながらユーティリティーとフェアウェイウッドをセレクトしていく予定だ。

 新たな戦友になるRMX116ドライバーは、「スーパーデュアル弾力ボディ」という設計のもと、ヘッド部分に6本の溝を設けて、インパクト時にそれらが収縮してパワーを生み出す構造を採用している。前年モデルの打球音と比べると、やや高めの金属調のだが、芯を喰った音の響きはとても心地よい。楽器メーカーのヤマハらしいこだわりでもあるのだろう。

ヤマハから届いたクラブを携えて、早速、打ちっぱなしへ。写真左、RMX116ドライバーは、ヘッド容量が446平方センチと、これまで使用していた460平方センチのものよりも小ぶりだが、とても構えやすい。「芯で打つ」ことに徹すれば、ゆったりとしたスイングでも200~220ヤードでコントロールできる。写真右、RMX116アイアンは、昨今のトレンドであるストロングロフトのタイプ。ゆっくりと丁寧にスイングするほど、ボールの方向性が安定していく。

 渡邊さんによる分析に基づき、7割の力で“芯”を意識して打てば、飛距離もコントロールも得られる。フルスイングで振り回すよりも飛ぶから面白い。

キリっとしたデザインのアイアン。クラブのポテンシャルを存分に引き出せる腕前になるよう、しっかり練習していきます!

 一方、RMX116アイアンは、軟鉄鍛造の弱点だった「飛距離」を克服した新コンセプトのもの。ソールの中間部を独自に削る加工を施し、ヘッドの後部に重みを配分したことで「深重心」を実現した。中上級者向けモデルでフェイスはやや小ぶりだが、「構えやすさ」と「振り抜きやすさ」では、それほど難しい印象はない。

 クルマに譬えると、これまで使っていたアイアンはオールラウンドな“セダン”だったのに対して、今度は“スポーツカー”に乗り換えたともいえよう。芯を喰ったときの心地いい打感をはじめ、練習を重ねるごとに、ボールの方向性が安定してくる。「どんどん上達して、存分に使いこなしたい」と思わせるクラブである。

 記者の周りにいる“ゴル友”たちも驚く「ヤマハの飛び」を、ショップや試打会などでぜひお試しを!

 3月12日のラウンドで、ようやく「100叩き」の連発から脱することができました(霞ヶ浦カントリー倶楽部・スコア95!)。…というレベルですが、今年は本気でスコア70台を目指します!

 長らくにわたり、温かいご声援を賜りましてありがとうございました。多くのアマチュアゴルファーと、これから始めようとしている人たちが、「ゴルフのある喜びと幸せ」を得られることを祈念しております。末筆ですが、連載にご協力いただきました関係者の皆様に、この場を借りて深く御礼申し上げます。

(写真:水野浩志)

山口信吾(やまぐち しんご)さん
ゴルフ作家
山口信吾(やまぐち しんご)さん 1943年生まれ。九州大学工学部を卒業後、同大学院を修了。69年に竹中工務店に入社。72年にハーバード大学大学院を修了後、シカゴの大手設計事務所に勤務。75年に帰国し、竹中工務店に復帰。43歳からゴルフを始め、還暦を前に一念発起し、独自の練習法によって2年でシングルを達成した。ベストハンデキャップ8。新聞および雑誌に寄稿多数、ゴルフの著作は14冊にものぼる。現在、「WEBRONZA」(朝日新聞社)において、『ゴルフがある喜びと幸せ』を連載中。