日経グッデイ

月イチゴルファーが2年でシングルを目指す!!

5ヤード刻みの練習が“伸び悩み”を打開する特効薬!

第23回…「100叩き」3連発! 基本練習をもう一度見直す

 池田 悟

鬼編集長の業務命令で、「2年でシングルを目指す」という途方もない目標のゴルフ企画を担当することになった40代記者。昨年末の「打ち納め」の後、「初打ち」、そして2ラウンド目で、なんと3連発で「100叩き」という結果に。折れそうな心を支えるために、もう一段上のレベルを目指して、基本練習の見直しに取り組むことにした。前号でも予想していた「2016年に暗雲!?」は、なんと驚きの結末に!

 実力も身についていないのに「スランプだ…」と言うのは滑稽だが、ここ3回のラウンドは“なんだかヘン”なのである。前回の記事でもお伝えした“2016年に暗雲!?”という嫌な予感は、見事に的中したともいえる(関連記事:『2016年に暗雲!?打ち納めゴルフでスコア103の悪夢』)。

年明け2回のラウンドスコアは、

In46+Out55=スコア101(太平洋クラブ美野里コース=6148ヤード パー72)

Out54+In47=スコア101(ゴールド栃木プレジデントカントリークラブ 7001ヤード パー72)

 という始末。旧年12月に84のスコアレコードを更新した後、

 「100叩き」を3連発中

 なのである。年末年始は例年にない慌ただしさで、週2回の練習が1回になり、やがて2週間に1回になり…という事情はたしかにある。練習不足のままでラウンドを迎えた日もあった。そんな現状は即、乱れとなってスコアに現れる。いやはや、ゴルフは恐ろしいほど難しいスポーツである。

誰にでも訪れるとされる「伸び悩み」。打開するためには、「練習にひと工夫」が必要だ。

 特定の技量を習得する過程で、一時的な停滞が起こることを「プラトー(高原)現象」と呼ぶそうだ。スポーツや楽器といった身体的技量はもちろんだが、語学の習得やダイエット、仕事でのキャリアプランなどいわゆる精神的な活動に関わるものにも出現するという。いわゆる“伸び悩み”である。いずれにしても、心身に新しいことを覚えさせるための「脳」の抵抗とでも言うべきか、まさしく、「人生、何事も順調には進まないものだ」の言葉に象徴される人の不思議である。

 話が横道に逸れたが、ものの本によれば、プラトー現象の解消に効果が期待される方法は主に4つあるらしい。「練習方法や環境を変える」「体を休める」「結果より過程を楽しむ」「能力の限界だと決めつけない」。

 ん? 今の記者に全部足りてないことばかりではないか!!!

強い向かい風で60ヤードを“池ポチャ”

 小難しい前置きはこれぐらいにして、今回は「練習方法の見直し」をテーマに取り上げたい。要するに、練習は続けているのに、「100叩き」が3回続いて精神的に“凹んだ”ためである。ちなみに、“伸び悩み”が打開できずに、ゴルフから遠ざかる人は意外に多いようだ。

「5ヤード刻みで正確にコントロール術を徹底して身につけてください。やがてコース上でも、狙いを見た瞬間に脳が自動的に距離を目測して、それに合ったスイングが自然にできるようになります」(山口先生)

 「ゴルフの上達に求められる練習」とひと口に言っても、初心者も上級者も、その方法にあまり違いがないというのが、この1年半余り、ほぼ毎週のように練習を続けてきた記者の実感である。では、何を変える必要があるのか。

 たどり着いた結論の1つが、ショットの「精度」をもう一段上げる練習に、真剣に取り組むことである。

 例えば、PW(ピッチングウェッジ)を使った練習。練習場では真っ直ぐの球筋を基本に、「110ヤード先のグリーンを狙う」といった漠然とした打ち方を繰り返してきた。もちろん、大まかに右・左・真っ直ぐには打ち分けられる。それを改め、狙ったグリーンの「右」「左」「手前」「奥」の4方向にもっと正確に打ち分ける意識に変えた。実を言うと、かつて練習場に行った際に、「もしかしてプロ?」というレベルのアマチュアゴルファーの練習方法を目撃し、“拝借”したに過ぎない(上級者の練習方法を見ているととても参考になることが多い)。いわゆる「ライン出し」と「距離感」をきっちり体で覚えていくことが狙いだ。

 いざ練習を始めてみると、微妙にコントロールすることはとてつもなく難しい半面、なかなか奥深い発見の連続でもあった。中上級者にとっては「必須」の技術なのかもしれないが、試行錯誤を繰り返すうちに、同じ距離を番手の違うアイアンで打ち分けるコツもつかめてきたのだ。例えば、アプローチショットの練習で50~60ヤードを狙う想定では、以下に挙げる3つの方法が選択できることが分かった。

1. PWではグリップを短く持ち、クオータースイングで打つ(低い弾道とランで<目標に>寄せる)

2. AWはグリップの真ん中を握り、ハーフスイングで打つ(やや高い弾道とランで寄せる)

3. SWならばグリップエンドを握り、ゆったりしたフルスイングで打つ(高い弾道でピンポイントに寄せる)

山口先生がアプローチショットを練習するときのひとコマ。グリップをギリギリまで短く持ち、小さくてコンパクトなスイングでボールをコントロールしていく。

 こうした試みは、かつて強い向かい風のラウンドで残り60ヤードをAWで打ったら、見事に“池ポチャ”になったことや、凍ったグリーンで転がしたら全く止まらずにバンカーに落ちたことあって、何かいい方法はないものかと考えついたことである。先と同様に、7、8、9I、PW…と、隣り合う番手でも「グリップを握る位置」「足幅」「スイング幅」をいろいろと組み合わせながら、距離とコントロールの良し悪しをすべて携えたメモ帳に記していった。練習したことは「すぐに忘れてしまうから」である。

 練習を重ねるうちに、フルスイングよりもハーフ、さらにクオーターとスイング軌道を小さくコンパクトにしていくほど、コントロールがつけやすく、ミスも減ることにやっと気がついてきた。PWを例にすれば、110ヤード先を狙ってフルスイングするよりも、9Iをやや短く持ってゆったり打てば、ミスは減るうえに同じ距離になる。同様に、グリップを握る位置と足幅を調整すれば「115ヤード」といった中間距離も臆せず狙える。コースでも練習場でもフルショットばかりで、ボールの行き先がいつも“ナリユキ”では、コースマネジメントもままならなくなるわけだ。かつてこの連載でもご紹介した記事『ドライバーで100ヤード先を狙うワケ』の理由もここにあったのだ。

 これで自由自在に狙える!…とまではいかないが、なるほどゴルフのクラブはグリップがあれほど長くて、握る場所を変えるだけで多彩なショットが引き出せるワケだ。

5ヤード間隔の目標に向けて正確に落とす

山口先生 「コントロールショットをしっかり練習していると、ほかのショットにもいい影響を及ぼします。理由は2つあって、まずは飛ばそうとして大振りをしなくなります。距離を合わせて正確に打とうとするために小さいトップからコンパクトなスイングになり、その結果、クラブヘッドの芯で捕えられる“ミート率”が高まることです。次に、スイングするときの下半身に無駄な動きが抑えられるようになること。この2つが身につくと、ロングアイアンやウッド系のクラブでも安定して打てるようになります」

記者 「以前、アプローチショットの精度が高くなると、すべてのショットが上手くなる(関連記事:『アプローチショットの練習が上達の早道になる!』)との話に通じるものをやっと実感できてきました。狙いの精度を上げようとすると『飛ばそう』といった意識がなくなるので、“最適な力”を練習から探るようになります。練習では8I、PW、AWを基本にして距離とコントロールを意識し続けています。コースでのアプローチショットはほとんどAWを使えますが、この冬のラウンドでは強風にやられて、距離が合わないことが多かったために、その対策として他のクラブでアプローチする練習を取り込みました。PWの選択肢が増えれば、よりAWが安心して選べる気がします」

アイアンショットの精度を高めるために、「距離の短いアプローチは5ヤード刻み」「100~150ヤードは左・右・手前1m以内」を目標にコントロールしていく練習に取り組むことにした。コンパクトなスイングを身につけることが狙いだ。

山口先生 「できたらアプローチショットは、AWを使うと決めたら“バカの1つ覚え”でいいから、1本で押し通す勇気もアマチュアゴルファーには大切だと思っています。SW、AW、PWを使い分けるのは、練習量が多いプロや真の上級者の技だと思っています。練習では5ヤード間隔に目標を定めて、AW1本で正確に落とす取り組みを続けてください。集中力が格段に上がりますよ」

記者 「自宅の近くにある練習場は、奥行き80ヤードの小さな“鳥かご”で、先生が勧めるアプローチ練習には最適です。グラウンドの左右30と50ヤードに標識、同じく40ヤードにネットのカゴ、50ヤード中央部に小山のグリーン、最奥の左右80ヤードに標識があり、1球ごとに目標を変えて打てます。150ヤード、200ヤードを狙う練習をするときには別の大型練習場に行きますが、今ではドライバーやフェアウェイウッドをぶんぶん振る練習はそれほどやりません」

山口先生 「それはいい練習場ですね。5ヤード刻みで正確にコントロール術を徹底して身につけてください。やがてコース上でも、狙いを見た瞬間に脳が自動的に距離を目測して、それに合ったスイングが自然にできるようになります。短い距離の練習を繰り返すことは、距離感を体で覚えるためにもいいのです。100ヤードまでを正確にコントロールできるスイングになれば、どんなクラブでも狙いに向けて打って行けるはずです」

記者 「では、次回のロケでは、クラブ選択をテーマに練習ラウンドをしてみましょう。今の停滞期を必ず打開しておきます。先生の“冬の練習こそが上達に通じる”の言葉を信じて頑張ります!」

鬼編集長の様子がいつもと違う…

 しかし…。記者が次回の「月イチ」のロケについて、鬼編集長に報告に行ったときのことである。いつもならば、「ああ、そうか」「わかった」と二つ返事なのだが、今回は何だか様相が違うのである。

編集長 「ちょっといいか…」

記者 「えっ、は、はい」

 このあと、これまで予想だにしなかった展開が…。続きは次回。ぜひ来月をお楽しみに。

(写真:水野浩志)

山口信吾(やまぐち しんご)さん
ゴルフ作家
山口信吾(やまぐち しんご)さん 1943年生まれ。九州大学工学部を卒業後、同大学院を修了。69年に竹中工務店に入社。72年にハーバード大学大学院を修了後、シカゴの大手設計事務所に勤務。75年に帰国し、竹中工務店に復帰。43歳からゴルフを始め、還暦を前に一念発起し、独自の練習法によって2年でシングルを達成した。ベストハンデキャップ8。新聞および雑誌に寄稿多数、ゴルフの著作は14冊にものぼる。現在、「WEBRONZA」(朝日新聞社)において、『ゴルフがある喜びと幸せ』を連載中。