「1球ずつ『あの目標に向かって打つ!』と自分に言い聞かせることが大切です。ゴルフのショットは、ハザード(池やバンカーなど)や林を意識すると、不思議とそこに打ち込んでしまうものです。ティーグラウンドがそもそもOB方向に向いているホールもあります。構えに入ったら、スパットの助けを借りながら、1球ごとに異なる目標に向かって打つ練習を繰り返しましょう。練習場でもコースでも打球の方向性が良くなってきます。『スパットゴルフ』を重ねていれば、ハザードに心を乱されて打ち込んでしまう失敗は徐々に減ってきます」(山口先生)。
実際に練習場で3つのスパットを作り、「左」「真ん中」「右」を打ち分けてみると、狙った目標に向けて真っすぐ飛ぶようになってきた。試しに、飛球線とアドレスを合わせずに3方向へ打ってみると、球筋は定まらなくなり、ミスショットが増える。今さらながら、「ゴルフの基本」を実感できた気がする。
2階の左右両端が上達への特等打席!?
ところで、読者のみなさんは練習場を訪れた際、何を基準に打席を選んでいるだろうか。飛距離がわかりやすく、また短いアプローチ練習ができる「1階」の打席。それとも、1球でもボールをたくさん打つとの目的で、1階よりもボール代が安い「2階」や「3階」の打席。現在、記者は4つの練習場を目的によって使い分けているが、土日ともなれば「1階の中央打席」はどこも満席が常である。
先にご紹介した「スパット」に続いて、山口先生に薦められたのが「2階」の打席を使った練習法だ。しかも、右または左の両端が「特等打席」になるそうだ。
「1階の打席は、無意識にボールを打ち上げようとして、左肩を上げて打っていることが多い。こうした癖の蓄積を防ぐためにも、下に視界が広がる2階の打席を活用するのです。自然体で構えることができて、球筋が最も分かりやすい。打ち下ろしホールを想定した練習もできます」(山口先生)。
さらに、左右の両端の打席を選ぶのは、視覚的なプレッシャーが加わったときに、体がどんな癖を出すのかを知っておくためだという。「練習場では、目の前や背後に迫るネット、鉄柱、壁面など、視覚的に気になる要素をあえて自分に与えてみます。左右どちらの打席でミスが多くなるのか。コースの左右の危険を避けながら斜めに打つ練習にもなります」(山口先生)。
なるほど、前回のラウンドでも、目の前に林が迫ってくるようなティーグラウンドがあったり、左側にクリーク(小川)が続くフェアウェイがあったりと、視覚的なプレッシャーがかかるホールがいくつも続いていたことを思い出した。
ちなみに記者の場合、左端が苦手だった。スイング後にクラブが背後のネットにぶつかるイメージが出るためだ。コース上では、自分の前後左右にある「危険情報」に心を乱されないようにするためにも、普段の練習のときから自分の癖を修正しておく。「スパット」や「2階打席の両端」を活用した練習は、まさに打ちっぱなしをコースに変える方法になるのだ。
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