日経グッデイ

月イチゴルファーが2年でシングルを目指す!!

2016年に暗雲!?打ち納めゴルフでスコア103の悪夢

第22回…ダブルパー、4パット、ギブアップ…負の連鎖を断つ秘策メモ 

 池田 悟

鬼編集長の業務命令で、「2年でシングルを目指す」という途方もない目標のゴルフ企画を担当することになった40代記者。連載もいよいよ2年目を迎えて、スコアアップを目指すラウンド術の実践することになった。昨年12月のプライベート・ラウンドでは、スコアで「84」の自己最高を更新した一方で、打ち納めで「100叩き」の惨たんたる結果をつきつけられた。今回は、ゴルフにおける「精神力」、心のマネジメントについてご紹介しよう。

 旧年12月にラウンドした2回のゴルフは、新たに迎えた2016年の記者の行方を暗示する、いや、この連載「月イチゴルファーが2年でシングルを目指す!!」の七転八倒ぶりを表すような結果であった。

「天国と地獄」

 この一言に勝る言葉は思いつかない。まさしくゴルフの“面白さ”と“恐ろしさ”を一度に味わった1カ月となった。

 先にお伝えした言葉の順番通りに、まずは「天国」が訪れた。12月5日・土曜のラウンドでのこと。自己最高のスコアを記録した。

12月上旬のラウンドは自己最高のスコアを記録。いよいよ70台が見えてきたと思いきや…。(写真は西宮高原ゴルフ倶楽部)

 IN43+OUT41=スコア84!!!

(皐月ゴルフ倶楽部 鹿沼コース 南・東コース6253ヤード)

「まだまだ伸びしろがあるぞ!!」

 当日のドライバーショットは、前々回にご紹介した「魔法のルーティン」効果(関連記事:「気持ちは五郎丸選手! OBを防ぐ魔法のルーティン」)のおかげか、ほぼノーミスで終えた。パー4のホールでは、「パーオン2パット」のペースを続けながら、グリーンに届かなかったホールはアプローチショットが冴えて“寄せワン”で上がるいいリズムで回れた(前半15パット、後半16パット)。

 この連載で指導をお願いしているゴルフ作家・山口信吾先生の「ゴルフはアプローチ!」という助言を胸に、「50~100ヤードのアプローチを3m以内に寄せる」「8IとAW(アプローチウェッジ)で10~30ヤードをピッタリ寄せる」を練習の要として取り組んできた成果を実感できた(関連記事:「 アプローチショットの練習が上達の早道になる!」)。3回もバーディチャンスを逃したことは“ご愛敬”だとして、旗竿(ピン)にボールが直撃する「あわやカップイン!」のアプローチも2回あった。以前、奇跡的にハーフで39台を出したこと(関連記事:『リスク回避の3つの決め事で「ハーフ39」の奇跡!』)よりも、前後半ともに40前半のスコアでまとめられたことの方がうれしかった。

 「まだまだ伸びしろがあるぞ!!

 と、シングルスコアの70台まで「あと5打」まで迫る結果(ただし、まだ白ティーからではあるが)に、まさに「天国」にいる気分を味わった1日だった。

なんと、100を叩いてしまった…

 しかし。問題なのは、これから綴る「地獄」のほうである。

 読者の皆さまには包み隠さずお伝えするのがこの連載の使命であるから、結論から先に申し上げよう。

 IN50+OUT53=スコア103!!!

(奈良若草カントリークラブ パー72 若草コース、生駒コース 6435ヤード)

 なんと、100を叩いてしまったのである。

 「初コースに弱い」「全ホール、ポテトチップスグリーン(*1)」「風邪気味で体が動かない」「この冬一番の冷え込み」「クラブを握ったのが3週間ぶり」…云々。言い訳の材料はいくらでもあるのだが、記者が「風邪気味」だったことを除けば、一緒にラウンドしたプレーヤーも同じ条件である。つまり、「80台を出せても、100も叩く」という結果は、

「まだ本当の力がついていない」

 ことを示す教訓である。前後半のどちらかで大崩れをした訳ではなく、どちらも50台というショッキングな「打ち納めゴルフ」の結果に、風邪を一段とひどくこじらせ、貴重な正月休みを布団の中で過ごす羽目となった。

自己最高記録を更新したわずか3週間後に、2015年の打ち納めゴルフでは「103」を叩く結果に。(写真は西宮高原ゴルフ倶楽部)

 3週間前にベストスコアを更新した勢いはどこへやら…。ドライバーショットは「曲がる」「引っかける」「チョロ」をする。生命線だと肝に銘じたアイアンショットは、アプローチの距離が合わないを連発。加えて、強烈なうねりのあるポテトチップスグリーンは、ピンをオーバーしたり横につけたりしようものならば、パーオンしても3パット、4パットという惨たんたるホールもあった。とどめはパー4のホールで、ギブアップの「12打」を宣言する始末。まるで第一関門の「スコア100」を切れずにもがく、1年前の記者の姿そのものであった。

 気を取り直して臨んだ後半戦は、前半戦よりもひどい「負のスパイラル」が待っていた。一打ごとに一喜一憂しながらも、やることなすことが悪い方向に出る。「メンタルスポーツ」だと譬えられるゴルフで、記者がどれほど

弱い=ヘタレ

 であるかをまざまざと知らされた1日となった。

*1)アンジュレーション(うねり)が大きく、芝目が複雑なグリーンのこと。ポテトチップスのような形状に似ていることから、このように例えられる。ラインが読みにくく、パットに手こずるため、非常に難しい。

『その日の心がけ』を決めてスコアカードにメモ

 この連載の撮影で山口先生とラウンドしたときにも、先生自身の調子がとてもよくないことはしばしばあった。ドライバーを曲げたり、アイアンを打ち損なったりすることもあるのだが、シングルプレーヤーである山口先生は悪くても85前後でスコアをまとめていく。もちろん、叩いても「90台」になることはない。ボロボロになって行く記者との違いは、「技術力」にもまして「精神力」の差なのだろうか。

山口先生5時間もかけて18ホールを回る長丁場のゴルフは、最初から最後まで好調ということはまずあまりせん。例えば、『短いパットを外した』『どうも体が動かない』といったことをきっかけに、調子が悪くなることはよくあることです。何か思い当たることはありませんか」

記者「あります! 当日はスタートホールでパー、次をボギーで上がった、3ホール目のパー3でのことです。自信を持って打ったショットが、距離をオーバーして凍ったグリーンの最上段に乗ってしまい、15m近い下りから4パットしたことを引きずりました。挽回しようと意気込んだ次のホールでは、ティーショットをトップチョロして、ハザードに入れてしまい、2打目が岩に当たって後退、3打目は木に当たってまた後退、4打目がトップ、5打目が池…と、結局、ギブアップホールになってしまいました。2打目の状況から、『ダブルボギーでいい』と気を取り直して、素直に真横を向いてボールをフェアウェイに戻さなかったことが招いた結果です。それからは、気分がジェットコースターのように一喜一憂が激しくなりました」

山口先生「今まで取り組んできたマネジメントのミスですね。1つのミスから、ショットが狂い出すことはよくあることです。ですが、それを修正しようとしてスイングを調整しはじめると、ますます収拾がつかなくなる。そういった感じでしょうか」

記者「おっしゃる通りです。当日はパーでスタートできたので、『今日も80台が出せる』との欲が出たのだと思います。前半でギブアップしたホールはあっても、スコアは『50』だったので、後半は『42で回る!』と根拠のない宣言を周囲にしたものですから、かえって力みが取れなくなりました。ティーショットが悪いと、2打目、3打目、パットまでどんどん力が入る。結局、何も出来ずに1日が終わったというのが正直なところです」

「ラウンドに入る前の練習のときから『その日の心がけ』を決めて、スコアカードの片隅に書いておきます」(山口先生)
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山口先生「それはそれで、いい教訓になったのではないでしょうか。先にお伝えしたように、ゴルフは全ホールで好調が続くことはほとんどありません。ドライバーは好調なのにパットはダメ、アイアンがどうしても左に引っかかるといったことが必ず起こります。ですから私は、ラウンドに入る前の練習のときから『その日の心がけ』を決めて、スコアカードの片隅に書いておきます。主に『両足を踏ん張る』『肩を地面と平行に回す』『ゆったり振る』『振り切る』『肩とクラブを同調させる』の5つ。もちろん、これらをすべて行うのは難しいので、1つか2つを前半と後半のホールで『戒め』としておくのです」

記者「どれも今まで先生に指導していただいた基本動作ばかりですね。たしかに、練習場でやらなかったことを試みて状況をさらに悪化させるより、普段取り組んでいることを早く取り戻す方がいい訳ですね。スコアカードに、当日の心がけを記載しておくというのは、いい『おまじない』にもなりそうです」

山口先生「以前のラウンドで、『フェアウェイの右を狙う』『ドライバーは振り切る』といったチェックポイントを声に出してから打ったことがありましたね。すると面白いとに、ナイスショットを連発していました。あの時と同じイメージを心がけられるように、スコアカードに記しておくわけです。特に上がりの3ホールは、スコアを気にしたり、反対に、体力が消耗して体が硬くなっていることに気づかなかったりして、“大叩き”をすることが少なくありません。通例として、最後の3ホールは『難しいレイアウト』に設計されていることが多いためでもあります。崩れる前に防ぐことが理想ですが、ミスしたら『おまじない』を見て、平静を取り戻すように心がける。これもラウンド中のルーティンの一つとして取り入れるといいでしょう」

記者「まさしく、メンタルがゴルフに大きく関わる要因でもあるわけですね」

ホール設計者の術中にはまった訳

 年が明けて間もなく、「感想戦」の一環として、ラウンドノートを開いて直近のスコアカードを見直していると、ハタと気づいたことが2つある。まずは、スタートホールで「パー」を取れたラウンドよりも、「ボギー」だったときの方が「総じてスコアが良い」ことがわかった。これは恐らく、最初のつまずきから、その後は「用心深く行こう」「丁寧に打とう」とする心理が働くからだと考えられる。

 もう一つは、スコアカードの横に示される「ハンデ」の数字が小さいホールほど、ダブルボギーやトリプルを叩いていることが多いことが分かった。これまでラウンドしたコースを思い起こせば、ハンデが1や2、3といったコースは、きついドッグレッグや急なアップダウン、狭いフェアウェイや難しいグリーンなど、“曲者揃い”であることが多い。

ラウンドが進むにつれて、体の回旋が不足して「クラブを振り切る」ことを忘れてしまう癖があるようだ。左写真は、ラウンド中にドライバーをOBしたときのフィニッシュ。右写真は、打ち直しでしっかり振り切ったときのフィニッシュ。違いが一目瞭然だ。

 つまり、難しいホール設定をスコアカードが教えてくれているにもかかわらず、無警戒のままで「まんまと罠にはまった」という可能性が大きいともいえるのだ。それを証拠に、先にお伝えした打ち納めで100を叩いたラウンドでは、4パットをしたパー3は「ハンデ2」、続くギブアップのパー4は「ハンデ1」のホール。「落胆した後にトドメを刺された」とでも言えるような、ホール設計者の術中にはまった訳である。

 「心(精神)」があっても「技(基本)」が伴わなければ上達は望めない。「技」があっても、「心」がなければスコアにならない。いわんや、心と技とともに、18ホールを乗り越える「体(体力)」がなければゴルフにならない。

 まさしく、ゴルフが「心技体を求められる究極のゲーム」だと言われる所以である。

 「落ちるところまで落ちたら、後は登るだけ

 と、心を入れ替えて、2016年は前に突き進もう。さてはて、「打ち初め」は「吉」と出るか、「凶」となるか。

 本年も引き続き、ご声援のほど、よろしくお願いします。

(写真:水野浩志)

山口信吾(やまぐち しんご)さん
ゴルフ作家
山口信吾(やまぐち しんご)さん 1943年生まれ。九州大学工学部を卒業後、同大学院を修了。69年に竹中工務店に入社。72年にハーバード大学大学院を修了後、シカゴの大手設計事務所に勤務。75年に帰国し、竹中工務店に復帰。43歳からゴルフを始め、還暦を前に一念発起し、独自の練習法によって2年でシングルを達成した。ベストハンデキャップ8。新聞および雑誌に寄稿多数、ゴルフの著作は14冊にものぼる。現在、「WEBRONZA」(朝日新聞社)において、『ゴルフがある喜びと幸せ』を連載中。