日経グッデイ

月イチゴルファーが2年でシングルを目指す!!

痛恨! 再挑戦の1人ラウンドも「120」の大叩き

第7回 スコア比較でミスを起こす原因をやっとつかんだ!?

 池田 悟=日経Gooday

鬼編集長の業務命令で、「2年でシングルを目指す」という途方もない目標のゴルフ企画を担当することになった40代記者。前回、山口信吾先生との打ち納めラウンドでなんと「124」も大叩きしてしまった悔しさを晴らすべく、年も押し迫った12月26日に再度リベンジラウンドを強行。今回は舞台を変えて、都心からも近い千葉県の名門コースに決死の覚悟で向かったが…

 「舌の根も乾かぬうちに…」とは、まさしく次のようなことを指すに違いあるまい。

 前回の記事で打ち納めをしたと書いたはずなのに、新年に向けて誓い新たに練習に励むと決めたはずなのに…。

 今回お届けするはずだった「練習場をコースに変える目からウロコの練習法」を急きょ、変更することをお許し願いたい。前回のラウンドにどうしても納得がいかず、年の瀬も押し迫った旧年12月26日に、再リベンジ!? を強行したというのがその理由である。世間では仕事納めに当たるその日、カメラマンを説得し、ゴルフコースに懇願し、ラウンドを敢行したのだ。

世間では仕事納めに当たる12月26日に、「武者修行」と称して1人ラウンドを強行。ときおり風速10m近くの風が吹き荒れ、力なく上がったボールだと見事に流されるコンディションだった。
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 「あんたのスコアより、山口信吾先生の練習法を知りたいゾ!」といったお叱りの声が寄せられることは重々覚悟のうえだが、これも世のため笑いのため…。いや、上達の手応えをなかなかつかめずにつらい思いをしている初心者・初級者のため、この連載をご愛読くださるベテランゴルファーも、達人ゴルファーも、どうかご容赦頂きたい。

冬の武者修行!? 名門コースを1人でラウンド

 実は冬にコースを回るのは初めての体験である。仕事納めの日というのは、打ち納めを兼ねたコンペが意外に多く、ゴルフ場はそこそこ混み合うそうだ。

 そんな事情をつゆとも知らない記者の撮影依頼に快く応じてくれたのが、「太平洋クラブ 成田コース」だった。ゴルフ通ならば知らない人はいないであろう、名門クラブに数えられる1つ。全国で17のコースを運営する中には、男子プロゴルフツアー「三井住友VISA太平洋マスターズ」が開催される御殿場コース(静岡県)を筆頭に、「2015年 日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯」の江南コース(埼玉県)、男子シニアゴルフツアー「マルハンカップ 太平洋クラブシニア」の六甲コース(兵庫県)などがあり、どこもゴルファーたち憧れの名コースである。基本的にはクラブメンバーの紹介・同伴でのラウンドのみにはなるが、ネットを使った一般的なゴルフ場予約サイトなどでも、ビジター予約を受け付けてくれる日もある。機会があれば何度も挑みたいコースばかりだ。もちろん、腕が伴えばの話ではあるが…。

 そんな名門コースなのに、ラウンドしたのは山口信吾先生とではなく、旧知のゴル友とでもなく、いわんや会社の仲間でもない。なんと、記者1人でラウンドする「武者修行」のわがままを特別に許可してもらったのだ。

 これぞまさしく、太平洋ひとりぼっちラウンド! だったのである。

異なるコースだから気が付いた大叩きを起こす共通点

 話しをどんどん進めて行こう。まずは新年のごあいさつを兼ねて、お約束(?)のご報告をせねばなるまい。

 今回のスコアは堂々の、「120」!

スタート後の5~7ホール目に飛び出す10打、9打の大叩き。打ち上げのホールでミスしていることが多かった。
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 前回のスコア(124)が納得できないからと強行したラウンドだったのに、わずか4つしかスコアが縮められない結果となった。


 

 たしかに、初めて訪れる「難しいコース」であったこと、その日は「とても風が強くて冷え込んだ」こと、スタート時間が遅かったためにラスト4ホールは「日没が気がかりだった」こと…などなど、言い訳になる要素はたくさんある。加えて、「東北地方で育ったのに寒さにチョ~弱い」という情けない“ヘタレ” ぶりが、初体験の冬ゴルフにおいて発揮されてしまった面もある。

 ゴルフが業務命令でなければ、きっとクラブを再び封印していただろう。がしかし、前回(スコア124)と今回(同120)のスコアカードをつぶさに比較してみると、大きくスコアを崩すときのホールの傾向やショットに共通点があることに、ふと気が付いたのである。

■打ち上げホールの2打、3打目でミスすることが多い。フェアウェイウッドやユーティリティーは左に引っ掛け、アイアンは「スライス(右曲がり)」か「トップ(ボールの上側を叩く)」。

■パー3でのティーショットのミスは、決まってアイアンの「シャンク(右に出る)」または「どスライス」。

■グリーンでの3パットは、ピン奥からの下りラインでオーバーし、返しの上りラインで2パットを頻発している。

 山口先生とラウンドしたときに繰り返した大ダフリは2回に減った代わりに、球筋が右へ左へと安定しなかったのは、まずは「アドレス(ボールの後ろにクラブヘッドを置いて構えること)」したときの肩のラインを「飛球線(ボールが打ち出される方向)」と平行にするという基本ができてないからだと推測される(下写真)。

アドレスが右に向いている
アドレスがやや右に向いている。構えたときのグリップの位置も体に近すぎる。この後のティーショットは見事に右一直線に飛んでいった…。
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アドレスが左に向いている
狭いティーグラウンド上で、正面に迫る林(写真の枠外の右側にある)の威圧感を避けるように、アドレスの向きが明らかに左向きになっている。ドライバーで左の林へ一直線のOBを連発…。
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 次に、大叩きをやらかすのは5~7ホール目に多く、ほとんどが「打ち上げ」ホールに集中していた。振り返るに、クラブを構えた時点で左肩が大きく上がり過ぎ(あるいは右肩が大きく下がり過ぎ)で、すくい上げるようにクラブを振っているのかもしれない。また左足上がりのライで、右脚一本を重心にする意識でスイングしている(右利きの場合)と、軽いフェアウェイウッドでは左に引っ掛ける一方、重いアイアンだとトップが出てしまう。これは山口先生からもよく指摘があるように、腰の回転が不十分であるため、右手主導の「手打ち」になっているからだと思われる。

 ちなみに、こうした大ミスは「打ち下ろし」ホールではあまり起こらない。例えば、第1打目のドライバーでは250ヤード越えのショットが一直線に飛んで行くし、フェアウェイウッドでも、アイアンでも、ボールは比較的真っすぐに飛んで行く。こうした違いは恐らく、打ち下ろしであれば「前方斜め下」に狙いを定めていることで、左肩の上がり過ぎが自然と防がれるためだと考えられる。

不意に現れる大ミスは数打前からの「身体記憶」!?

 ミスショットを分析する中で、ハタと気が付いたのが、クラブ重量の変化との関係である。ウッド系クラブでいい当たりをした後、2打目、3打目のアイアンが番手に関係なく「ど・スライス」や「シャンク」が飛び出す。これも過去のラウンドを記録したノートを調べて発見した共通点だった。ウッド系を振ったときの軽さが「身体記憶」に残っているためなのか、アイアンのスイングでもドライバーと同じように、無意識にフルスイングに近いスピードで腰を回転させている。すると、重たいアイアンでは腰の回転に腕がついていかずにフェースが開いた状態でボールに当たる。すなわち、右にボールが飛び出しているものだと想像できる。

打ち上げのパー3でのティーショット。インパクトの前にかなり左肩が上がり、体が開き気味になっている。このときの8Iのショットはやや右方向へ飛んでいった。
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打ち上げの6番ホールでの第3打。つま先下がりのライから5UTで見事に「芯喰い(ボールを真芯で捕らえること)」したが、目の前にあった木もボールを“クリーンヒット”。なんとボールが150ヤードも後ろに飛んで、転がっていった。後方で待つゴルファーたちの“大笑い”を誘った。
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 ドライバーが当たった後は、アイアンでミスが出る。アイアンが真っすぐ飛ぶようになれば、今度はドライバーやフェアウェイウッドが曲がり始める。まるで「モグラ叩き」か「いたちごっこ」のようだが、ミスショットの原因はアドレスやライといった身体バランスを崩す問題に加えて、その数打前からの“身体記憶”も案外に影響を受けているかもしれない。

ピン奥からの難しい下りのラインを外して、返しの上りで2パット。グリーンに乗っても、ボールはほとんどピンの奥。弱々しくパッティングしたボールを、強風がぐいぐいと押したり、曲げたりすることもしばしばあった。
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 最後に、3パットの問題は、上り下りのラインの違いを認識することはもちろん大前提なのだが、ボールをグリーンのどこに狙うかをあまり意識していなかったことにも原因があった。中上級者のゴルファーには「基本中の基本」として踏まえられているを実は初めて知ったのだが、グリーンに切られたカップは手前からが「上り」、奥からは「下り」のラインになっていることが多いのだ!

 もちろん、「上り」よりも「下り」のラインのパッティングのほうがボールの転がりをコントロールするのが格段に難しい。

 つまり、記者を含めた初心者にありがちな、「グリーンに乗ったぜ! チャ~ンス!」と喜ぶのはまだ早計で、たとえボールがカップの奥1mに乗っていたとしても、下りのパットミスから3パット、4パットをしでかすことは少なくないのだ。特にワンオンが可能なパー3のホールは、なにも“サービスホール”になっているわけではなく、距離が短い分だけグリーン周りがとても難しい設計になっていることにようやく気が付いた。山口先生がいつもラウンド中に「ピンの手前から攻めましょう!」「パー3のティーショットは大切に」とアドバイスしてくれるのは、まさしく3パット防ぐ「定石」にもなっていたのだ。

「太平洋クラブ成田コース」の名物ホールの1つ、15番ホールの「アーメンコーナー」にあるクリーク(小川)に見事にはまってしまった。当日のラウンドを象徴するようなひとコマ。
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 このように、1日のラウンドを振り返りながら、前回、前々回のラウンドでのミスをつき合わせていくと、ほぼ同じような状況で同じミスを繰り返していることが改めて浮き彫りになったわけだ。

 練習場ではそこそこうまく打てるようになってきたが、本コースで同じように打てなくなるのは、まずはアドレスのまずさに加えて、つま先の上がり下がり、左足の上がり下がりなどの身体バランスを崩すライの影響が1つ。

 そして次に、1打ごとに「長さ」も「重さ」も違うクラブを無意識で振り続けてきた蓄積が、「林」「池」「バンカー」「傾斜」、OBを示す「白杭」といったコース内にある視覚的、心理的な要素が引き金となり、10打も叩く「暴発」を起こす原因になっているものだと思われる。

 ゴルフは、ドライバーで200m以上もボールを飛ばす1打からパターで1m先のカップに入れる1打まで、14本のクラブを使い分けながらスコアを競うスポーツである。しかも同じコースを回ったとしても、天候や季節が同じだとは限らないし、ラウンド中でも気象条件が刻々と変わっていく日もある。いやはや、恐ろしく難しいスポーツであることを改めて痛感したのと同時に、自己分析をもとに立てた仮説を確かめるためには、練習場でもラウンドしている想定をしながら1打ずつ丁寧に打つように意識をしなければならないわけだ。

多くの人が「計画」と「実行」ばかり繰り返す

 この日のラウンドを振り返り、自己分析したポイントを山口先生に報告すると、次のようなアドバイスが送られてきた。

まだまだ「110の王」にも至らない“ヘタレ”ですが、本年も引き続きご声援のほど、よろしくお願いします。
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 「次回のラウンドでは、その課題を私と共有しながら、問題が出たらそこで潰していきましょう。私は、ゴルフの上達にはPDCA(Plan、Do、Check、Action)サイクルを使いながら、課題を達成したり、解決したりして行くことが欠かせないと考えています。ですが、多くのゴルファーはPlan(計画)とDo(実行)を繰り返してばかりで、肝心なCheck(評価)と次に向けたAction(改善)が抜け落ちています。ご自身のチェックで立てた仮説は、私の練習法を使いながらActionにつなげていってください」

 今回のラウンドも決して満足行くものではなかったが、これまで点になって散らばっていた課題が、少しずつ線としてつながりはじめ、難問を解決するためのかすかな手ごたえをつかんだ感覚がある。

 「100を切ったら長いトンネルの先に明かりが見えてきます。今年は一気に90切りを目指しましょう!」(山口先生)

 いや~、それにしても冬の1人ゴルフは本当に寒かった…。

 

太平洋クラブ 成田コース 酒見寛人支配人

 東京都心から約60分というアクセスのよさに加えて、成田空港からも車で20分の距離ですので、外国人ゴルファーにもたくさんご来場頂いております。女性ゴルファーもおよそ2割と高い割合です。コースがある千葉県成田市は、関東圏の中でも温暖な地域でもあり、特に冬シーズンは雪の心配がほとんどありません。

 コースは、かのグランドスラマーであるゲーリー・プレーヤー氏が設計した国際レベルの戦略性の高さが特徴です。クリークやバンカーが巧みに配され、アンジュレーションも効いているため、「いいショットにはご褒美が」「ミスするとケガしやすい」というコースだと思います。特に13番、14番、15番は、「アーメンコーナー」と呼んでいるクリークが配された名物ホールです。ぜひ、攻略してみてください。すべてのゴルファーに心地よくプレーして頂けるよう、私どもスタッフ一同、おもてなしの心と笑顔で、皆様のご来場をお待ちしております。

次回は、「練習場をコースに変える目からウロコの練習法」をご紹介する予定です。ぜひ、ご覧ください。

(写真:相田克己)

山口信吾(やまぐち しんご)さん
ゴルフ作家
山口信吾(やまぐち しんご)さん 1943年生まれ。九州大学工学部を卒業後、同大学院を修了。69年に竹中工務店に入社。72年にハーバード大学大学院を修了後、シカゴの大手設計事務所に勤務。75年に帰国し、竹中工務店に復帰。43歳からゴルフを始め、還暦を前に一念発起し、独自の練習法によって2年でシングルを達成した。ベストハンデキャップ8。新聞および雑誌に寄稿多数、ゴルフの著作は14冊にものぼる。
 
撮影協力
太平洋クラブ 成田コース
衣装/ウィンドジャケット1万4040円(ホワイト)、パンツ(グレー)1万800円、ベルト1万260円(ホワイト)。以上すべてアンダーアーマー