日経グッデイ

金哲彦式ウォーキング術 目指せマイナス10歳ボディ!

「太りにくい体」になりたいなら、ゆっくり長く歩く!

LSDトレーニングで「遅筋」を鍛える

 高島三幸=ライター

歩くだけでシェイプアップ効果が期待でき、若々しい姿が手に入る「体幹ウォーキング」。今回はその“日常筋トレ”シリーズの第3弾「LSD(ロング・スロー・ディスタンス)」を紹介しよう。長い時間かけてゆっくり歩き続くと「遅筋(ちきん)」が鍛えられ、疲れにくく、やせやすい体になるという。

 すっかり春めいた陽気になり、歩き出すとすぐじわっと汗ばむことも多くなった。歩くことが気持ちいいこの時期。体幹ウォーキングを習慣化するには絶好のタイミングだ。

今回は、長い時間をゆっくり歩き続ける「LSD(ロング・スロー・ディスタンス)」を習得しよう。だらだらと歩き続けるわけではなく、ここでも体幹ウォーキングの基本を意識し続けることが大切だ。
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 しかし、同じ動作を毎日続けていると、特定の筋肉ばかりを使うことになるうえ、何よりも飽きてしまう。そこで前々回から、もうワンランクアップ上のウォーキング・トレーニング法として、階段や坂道を利用し、少し負荷をかけた練習メニューを紹介してきた(「階段を使えば体幹ウォーキングは“筋トレ”になる!」「筋トレ効果大! 体幹フル稼働させる「坂道」ウォーキング」)。早速、試した読者の中には、太ももの裏などの筋肉に刺激を感じたり、ヒップが引き締まってきたりと、体の変化を実感した人もいるのではないだろうか。

 「体幹ウォーキングの基本は1つですが、目的に応じてトレーニング法を組み合わせれば、筋力や持久力のアップ効果も高まります。マンネリ化を防ぐためにも、いくつかのトレーンング方法を知り、日常から試すのがいいですね」とプロランニングコーチの金哲彦さんは話す。

ゆっくり長く歩いて“燃える体”に

 そこで今回からは、「速さ」と「距離」を使い分けて、それぞれに異なる効果が得られるトレーニング方法を紹介したい。まずは、長い時間ゆっくりと歩き続ける「LSD(ロング・スロー・ディスタンス)」だ。そもそもLSDとは何だろう。

 「LSDは、もともとゆっくりしたペースで長時間走るランニング練習であり、ウォーキングのトレーニングにも十分役立ちます。軽い負荷を長時間かけ続けることで、足腰が鍛えられます。また、血流の循環が上がることで毛細血管が拡張する、心肺機能が向上する、脂肪が燃焼するといった効果が期待できます。疲れにくい体になり、ケガの予防にも役立ちま す」(金さん)。

体幹ウォーキングの基本「腕振り」「骨盤」「着地」「重心移動」の4つを意識しながら歩き続けることが大切。
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 LSDは、ゆっくり丁寧に行う筋トレの方法の1つ「スロートレーニング」と同様に、長い時間、筋肉にじわじわと刺激を与え続けることで、有酸素運動時に使われる「遅筋(ちきん)」を鍛えられる。遅筋はその名からも想像できる通り、日常生活での動きをはじめとする「ゆっくりした動きを生み出す筋肉」のこと。全身の70~80%を占めるともいわれており、脂肪を効率的にエネルギーとして使う役割もある。

 つまり、遅筋の衰えを防ぎ、また日常から刺激しておくことは、「太りにくい体」「疲れにくい体」を手に入れることだともいえる。

「できれば1時間半から2時間を目安に歩く」

 LSDの特長は、スピードを上げて歩き続けるときよりも、体の隅々まで意識が届きやすくなることにもある。肩甲骨や骨盤、重心移動といった体幹ウォーキングの基本で学んだ体の使い方やフォームなどを、自分の体とじっくり対話するようにチェックできる。

 「長い時間歩き続けると疲労が少しずつ蓄積されるため、『腕振り』や『骨盤』の動きがだんだん小さくなり、フォームが崩れてしまいがちです。崩れてきたなと感じたら、『もう少しがんばって肩甲骨や骨盤をもっと動かそう』などと意識するだけでも筋肉は鍛えられ、運動効果が高められます」(金さん)

「長い距離をゆっくり歩き続けていると、うつむく、腕を使わないといった歩き癖がでてきます。これは体幹の力が抜けている証拠で、遅筋もしっかり刺激できません」
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 では、実際にどのようなペースでどれほどの距離を歩けばいいのか。

 「できれば1時間半から2時間を目安に歩いてほしい。ペースは人それぞれで構いませんが、人と会話できるぐらいのリラックスできるスピードでいいと思います。もちろん、最初から無理はせず、少しずつ歩く時間を伸ばしていけばいい。ただしLSDは『休み休み歩く』のではなく、『休憩を入れずに連続して歩く』ことをお勧めします。ちなみに、歩き始めて15~20分ぐらいで脂肪の燃焼が高まると考えられています」と金さんはアドバイスする。

音楽を聴いたり、大会に出場したりするもお勧め

 長い距離を黙々歩くのが得意ではない人は、好きな音楽を聴きながら歩いたり、友人や家族と一緒に話しながら歩いたりするのもお勧めだ。また、ウォーキング大会に参加するといった方法を活用してもいい。「日本ウォーキング協会」のホームページを見ると、全国各地で開催されている大会情報が掲載されている。その土地の景色を楽しみながら知らぬ間に2時間以上歩くこともできるだろう。さらに少し中・上級者向けになるが、「坂道ウォーク」と「LSDウォーク」を組み合わせた「ハイキング」や「山登り」も、楽しみながらできるトレーニングの1つだ。

 長く歩いた後は、体のケアも忘れずに行おう。いつもより長く歩くので、翌日以降、脚に張りや筋肉痛を覚えるかもしれない。「LSDの後はすみやかに整理体操やストレッチで体をよくほぐしてほしい」(金さん)。

 次回は、全身の筋力アップにつながる「スピードウォーキング」について紹介していこう。

金哲彦(きん てつひこ)さん
プロ・ランニングコーチ
金哲彦(きん てつひこ)さん 1964年生まれ。早稲田大学在籍時に箱根駅伝で4年連続で山登りコースの5区を担当し、区間賞を2度獲得した。現在は、五輪出場選手向けのランニング指導から、一般向けのウォーキング指導まで、幅広い層に向けたコーチングを行っている。駅伝やマラソンの解説者としても活躍している。