世界に名だたるブランド、「シャネル」「サンローラン」「ゲラン」「ディオール」…から次々と最新高級スキンケア製品を生みだすフランスは、エステティック(美容術)の本場でもある。一方、パリは世界で最もスポーツ愛好家が多い都市ともいわれ、ジムやスポーツクラブは高額にも関わらず大人気。およそ105k㎡(東京23区はおよそ621k㎡)のパリ市内には公営のプールだけでも39あり、朝一番に行かないと思い切り泳げないこともしばしば。世界の美容・健康トレンドの発信地であるパリから、最新のアンチエイジング情報をお届けしよう。
歯磨き粉、シャツ、洗剤までビオ商品が広がる
“華の都・パリ”は、その美しい街並みに負けまいと、人々も我が美と健康に関心が高い。特に成熟した女性が美しいとも言われるパリで、昨今のマダムたちはどのようなアンチエイジングを心がけているのかをご紹介しよう。
マリー・アントワネット(1755-1793年)の時代から、フランスの女性たちは美しさに磨きをかけ、さらに美しさを保つために、様々なトライを続けてきた。 また、更なる効果を謳(うた)い文句にした新製品も誕生し続けている。そして今、到達したアンチエイジングケア…それは、“シンプル&ナチュナル“である。
この背景には、昨今のパリのビオ(=オーガニック)ブームが関係していると言えそうだ。
野菜や果物から始まったブームは、肉や魚、パン、パスタ、ワイン、コーヒー、ジュース、クッキー、アイス…など、あらゆる食品から広がり始め、今ではシャンプー、シャツ、歯磨き粉、洗濯洗剤といった日用品にまでビオ商品が存在する。ブーム初期は高価だったため、それらの使用はスノッブな人々の“特権”でもあったが、供給が増えたことで価格が下がり、今や誰でもが気軽に買えるようにもなったこともファンが拡大した一因だ。
こうしたトレンドから、ここ数年、スキンケア製品にも様々な有機素材を使ったビオ商品が増えている。ラベンダーやローズのウォーター、シアバターやアルガンのクリーム、オリーブやホホバのオイル…などなど。
例えば、ザクロのクリームには「ザクロに含有されるビタミンB5、ビタミンC、カリウム、ポリフェノールが肌にエネルギーを与え、日焼け後の肌や、肌の老化防止によい」「ザクロの種の油に含まれているオメガ脂肪酸は、肌を再生するため、“若さの霊薬“ともいわれる」などと、広告のコピーやメーカーのウェブサイトをはじめ、あらゆるところまで記されており、その効果に対するユーザーたちからの信頼性も高い。
何の原料から作られているかも分からないのに、効果は抜群だと書かれている高価なブランドのクリームを塗り、「翌日のミラクルを待ったが、しかし…」という度重なる経験(失敗 !?)の反動も、ビオ人気を高める一因かもしれない。特に「メルティバ」や「ソー・ビオ」といったブランドのビオクリームが人気だ。
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