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【香港発】 新旧の共存と進化が進む“食い倒れの街”のヘルシー志向

定番の「アフタヌーンティー」と伝統の「亀ゼリー」が独自に進化

 甲斐美也子=香港在住ライター

伝統の亀ゼリーで子どももニキビや整腸対策

カップ入りの亀苓膏は3タイプ。左から霊芝入りの高級タイプ58香港ドル、標準タイプ48香港ドル、喉と肺にいい海底椰と川貝入りタイプ48香港ドル。
[画像のクリックで拡大表示]

 欧米発のヘルシー志向を取り入れる一方で、中国の伝統的な健康の知恵が脈々と生きているのも、香港の奥の深いところ。なかでも注目なのが、亀苓膏(グイリンガオ・亀ゼリー)だ。昔から、手頃に食べられる滋養食として、特に女性には美容食として、老若男女問わず親しまれてきたもの。

 亀苓膏を代表的商品に据えながら、徹底してモダンなアプローチを取るのが鴻福堂(ホンフックトン)。忙しい香港人のライフスタイルに合わせて、地下鉄の駅やショッピングモールに100店以上のコンビニスタイルの店舗を展開している。

 ここでは、伝統的な亀苓膏だけでなく、いつでもどこでも食べられるチューブタイプのゼリー飲料の亀苓膏も販売。なんと「にきびで悩むティーンに大変人気」の商品なのだそう。そしてその横には、10歳以下の子ども向けの亀苓膏のゼリー飲料が!

 蜂蜜を入れて食べやすさをアップした子ども用の亀苓膏は、ポテトチップスのような油の多いジャンクフードを好む子どもの胃腸を整えるために購入する親が多いとか。

香港でも最も混雑する地下鉄の銅鑼湾(トンローワン)駅構内にある鴻福堂。一日中人通りが絶えない。

 中国の伝統を頑固に守る店もあれば、新しいアイデアを柔軟に掛け合わせて、若い世代にアピールする店もある香港。ヘルシー志向の広がりも、新旧東西の文化が融合する、香港ならではの展開をしているところが興味深い。






1日250杯限定、伝統回帰の亀ゼリーも大人気
2階の調理場には、草亀という亀の甲羅が入った大鍋がある。亀の甲羅にはカルシウムと滋養がたっぷり。亀の肉を使うことも可能だが、日持ちが非常に短くなるため、春回堂薬行では使用しない。28種類の成分を3回に分けて少しずつ調理する。メインの材料である土茯苓(ドブクリョウ)は底にこびりつきやすいので、ずっとかき混ぜている必要があるなど、非常に手間がかかる工程だ。

 「28種類の漢方薬材が使われている亀苓膏(グイリンガオ・亀ゼリー)のレシピは、500年以上前の文献からも見つかっているほど、 歴史のあるものなんですよ」と教えてくれたのは、中環(ジョンワン)の一等地で1916年に創業し、伝統の製法を頑固に守る漢方薬局・春回堂薬行(チョンウィートンジョクハーン)のマーティン・ラムさん。ビジネスパーソンにも観光客にも便利な地区にある(香港中環閣麟街8號・営業時間は8時30分~20時・日曜休み)。


亀苓膏1杯35香港ドル。好みでシロップをかける。体の熱を冷ますとされる涼茶(ローンチャ・漢方ドリンク)のスタンド販売も人気だ。
店主のマーティン・ラムさん。自身でも週に2回は亀苓膏を食べるそうだ。
 品質に納得できる漢方薬のみを扱うことをモットーとする春回堂が亀苓膏を作り始めたのは30年前。チェーン展開する老舗が多い中、 品質維持のために1店舗にこだわり、店舗の上階で毎朝作る約250杯を売り切れ御免で販売。新鮮な材料を使っているため、冷蔵庫で 保管しても賞味期限は3日のみ。


 次から次へとやってくる常連客は、近くの金融街に勤める若い女性から年配の男性まで、まさに老若男女さまざま。「体の中の余計 な熱を冷まし、排毒効果があります。便秘、肌荒れ、痔などに悩む人にとって、食べると効果を即実感しやすいのが、衰えない人気 の理由です」とマーティンさん。




(取材・文・写真/甲斐美也子=香港在住ライター)

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